2012年6月26日火曜日

世界の利権構造の中での原子力


 エジプトの新大統領が、すったもんだの末にようやく選出されました。


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エジプト新大統領
国民に向け初の演説

25.06.2012, 09:43



エジプトの新大統領に選出されたムハムメド・ムルシ氏は、24日夕方、初めて国民に向け演説し、その模様は国営テレビで中継された。ムルシ新大統領は演説の中で、エジプトの人々に国民的結束を呼びかけ、国際社会には、同国が負ったあらゆる義務を守ると約束した。

エジプト中央選挙委員会は24日、イスラム運動体「ムスリム同胞団」の政治組織である自由公正党から立候補したムルシ氏が、51.7%の得票を集め選挙に勝利したと発表した。その後、ムルシ氏は「自分はすべてのエジプト人のための大統領となる」と述べ、自由公正党の戦列を離れた。

国民に宛てたメッセージの中で新大統領はまず、昨年初めムバラク政権に対する国民蜂起の際に亡くなった人々の家族及び負傷者に感謝の言葉を述べ、さらに次のように続けた―

エジプト人すべては、法の前に平等であり、司法は独立したものとなるだろう。政府は、互恵を基盤に相手の利益を尊重しながら、あらゆる国々とバランスのとれた関係を築いてゆく。 エジプトにとって肝心なのは、 国民的統一を守る事だ。 私は、国の経済の真の意味での発展を開始させる考えだ。」

リア・ノーヴォスチ

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 で、ワタシとしては、あまりイイ兆候ではないように思えるワケです。今後のシリア情勢に、更なる悪影響を及ぼすのではないかと...。

 ひとつに、ムスリム同胞団はイギリスの工作機関を母体としていること。そして、ムスリム同胞団がイスラム教「スンニ派」だということです。


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エジプト:大統領選に暗雲…
前政権幹部出馬、軍部後押しか

毎日新聞 2012年04月14日 21時29分(最終更新 04月15日 01時23分)

 「春」以降、沈黙していたスレイマン氏が出馬表明したのは立候補締め切り2日前の6日。軍人出身の土壇場の決断に、エジプトを暫定統治する軍最高評議会が権益保持のため「独自候補」として後押ししたと議論が沸いた。スレイマン氏は否定したが、軍は王制を打倒した52年のクーデター以来の「体制派」で、世論の間には今後の民政移管への不安も高まっている。

 これに対し同胞団は今月初め、米ワシントンに代表団を送り、米当局者との関係構築を模索した。カーニー米大統領報道官は同胞団を「今のエジプトで重要な役割を果たしている」と評した。

 同胞団の視野に「政権」があるのは明らかで、同胞団が第1党の人民議会は12日、前政権幹部の大統領選出馬を禁じる法案を可決し、スレイマン氏排除に動いた。法案は最終的に軍最高評議会の承認が必要で、実際に立候補できなくなるかどうかは微妙だが、双方の対立は今後さらに深まりそうだ。

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 この記事を読めば、ムスリム同胞団とアメリカが「デキてる」のが見て取れます。エジプト軍がアメリカ軍の援助を受けていているのは確かですが、それは第一次から第四次までの中東戦争にて、エジプト軍はイスラエル軍に勝てなかったからで、アメリカの近代的兵器欲しさに歩み寄っていた側面も考えられ、アメリカはアメリカで、そうしたエジプトの内部事情をイスラエルにリークするのに都合が良かったので、表向きは協力したのでしょう。商売にもなるし。

 で、表向きはどうであろうと、アメリカ、イギリス、イスラエルは強い同盟関係にあり、中東は彼らの手の内にあるワケです。したがって、「アラブの春」なんぞは「仕組まれた芝居」に過ぎず、「革命」というキャッチコピーに踊らされていたに過ぎないのです。

 で、更に掘り下げると、なんで?そうした策略に易々と「アラブ」が翻弄されるのか?という疑問が沸いてきますが、その答えのひとつとして、イスラム教内部の「宗派対立」があると考えられます。

 はじめに書きましたが、ムスリム同胞団は「スンニ派」であり、「シーア派」とは、ほぼ?敵対関係にあると言っても過言ではなく、同じイスラム教徒でありながら抗争を繰り返しています。


スンナ派 - wikipedia


 どちらかと言えば?「好戦的」なのは「スンニ派」の方で、マホメットからの「系統」を重んじる「シーア派」に対して、そうした「絶対価値」を持たない「スンニ派」は、宗派として多数派であるにも拘らず...いや、多数派であるが故に、「一子相伝」的な「シーア派」にある種の「コンプレックス」を抱き、それが過激な行動に「スンニ派」を駆り立て、他の宗派に対して過剰に「スンニ派」を誇示しようとするのでしょう。

 これを解りやすく説明すると、「北斗の拳」における、


ラオウとケンシロウ


の関係に近いのかも知れません。

 
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イラクで一連の爆弾テロ 死者60人以上
13.06.2012, 17:27



13日イラクでイスラム教シーア派の巡礼者を標的にした爆弾テロが続き、AP通信によれば63人が犠牲となった。首都バクダッドで5つの爆弾が爆発したほか、別の町でも爆破テロが起こり、武装集団による攻撃も2件あった。

 中部のヒッラーでは、爆発装置の一つが車に据えつけられ、それを自爆テロ犯が操作した。テロは、地元の警察関係者に人気があるレストランの近くで発生、少なくとも22人が死亡、38人が負傷した。

 首都バクダッドでは、爆弾が積まれた自動車2台が爆発で粉々になり4人が亡くなった。

 イタル・タス通信の情報では、今のところ一連の爆弾テロ事件に対し、犯行声明を出したものはいない。

 イラク領内では、スンニ派過激派戦闘グループ「カイダ・アル-ジハド」の戦闘員らが積極的に活動し、シーア派信徒や軍人、警察官に対する攻撃を繰り返している。

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 で、現在シリア国内で起きている事態を、ウwさんのとこでも取り上げているのですが、「ROCKWAY EXPRESS」さんのとこで紹介された、「ギリシャ正教修道院長の証言」と一致します。


シリア虐殺の嘘
2012年6月13日  田中 宇


 ギリシャ正教修道院長は、「シリア国外のスンニ派のテロリストが、シリアの市民に対して犯罪行為を行っている。」と証言し、ウwさんの記事ではもっと生々しい状況が描写されています。


アルカーイダ - wikipedia

アルカーイダ(アラビア語: القاعدة‎, al-qāʿidah, 英語: Al-Qaeda)は、イスラーム主義(イスラーム原理主義)と反米・反ユダヤを標榜するスンニ派ムスリムによるイスラーム過激派国際ネットワーク。1990年代以降、主としてアメリカ合衆国を標的とした数々のテロ行為を実行したとされ、特に2001年に実行したアメリカ同時多発テロ事件は世界に大きな衝撃を与えた。


ターリバーン - wikipedia

ターリバーン(طالبان、Tālibān、英:Taliban)は、パキスタンとアフガニスタンで活動するイスラム主義運動。1996年から2001年11月頃までアフガニスタンの大部分を実効支配し、アフガニスタン・イスラーム首長国(ターリバーン政権)を樹立した(国際的には一部国家を除いて承認されず)。日本では通常タリバン(またはタリバーン)と表記される。


ハマース

ハマース(حماس、Ḥamās)は、イスラーム主義を掲げるパレスチナの政党。1987年12月14日にアフマド・ヤースィーンによってムスリム同胞団のパレスチナ支部を母体として創設された。

設立
1980年代の第1次インティファーダ時代に、ヤーセル・アラファートが指揮するパレスチナ解放機構 (PLO) の影響力を排除した民衆レベルでの対イスラエル抵抗組織として設立された。ハマースとPLOの対立関係を見たイスラエル政府は、ハマースがPLOに対抗する勢力となることを期待して、秘密裡に援助をおこなっていた。ハマースは教育、医療、福祉などの分野で一般民衆への地道な活動を続けたため、パレスチナ人の間で支持が拡大していった。


 で、シリアですが、スンニ派が国民の多数派を占めているワケですが、歴史的に見ると、オスマン帝国(トルコ)から独立した後にフランスの統治下に置かれその後独立国となるのですが、一時期(1958年)は エジプトと合体して「アラブ連合共和国」を名乗っていました。

 時期的には、第二次中東戦争(1956年10月29日~1957年5月)の翌年ですから、目的がイスラエルに対する警戒と包囲であるのは明らかです。

 つまりエジプトとシリアは、対イスラエル(対シオニスト)という点で非常に関係が深いワケです。そして、フランスによるシリア統治時代、統治を任されたのが少数派の「アラウィー派」で、その流れが現在のアサド政権に連なります。


資料: 地理B( 西アジア)


1.イスラム社会(A:シーア派が多数派、B:スンナ派が多数派)

アフガニスタン・イスラム共和国
 パシュトゥン人(38%)他、ダリ語(ペルシャ語系)、パシュトゥー語
 イスラム教(国教・スンナ派)

イラン・イスラム共和国
 イラン人、ペルシャ語、クルド人
 イスラム教(シーア派)

トルコ共和国
 トルコ人、クルド人、トルコ語
 イスラム教(スンナ派)

④レバノン共和国
 アラブ人、アラビア語
 イスラム教、キリスト教

シリア・アラブ共和国
 アラブ人、クルド人、アラビア語
 イスラム教(スンナ派)→アサド政権は、アラウィー派(加筆)

ヨルダン・ハシミテ王国
 アラブ人(パレスチナ系が50%)、アラビア語
 イスラム教(国教、スンナ派)

イラク共和国
 アラブ人、クルド人、アラビア語
 イスラム教(シーア派)→フセイン政権は、スンナ派

クウェート国
 クウェート人(50%)、アラブ人、東南アジア系、アラビア語
 イスラム教(国教・スンナ派)

バーレーン王国
 アラブ人、アラビア語
 イスラム教(シーア派)

カタール国
 アラブ系(25%)、イラン人、インド人、パレスチナ人、
 パキスタン人など外国移民、アラビア語
 イスラム教(スンナ派)

アラブ首長国連邦
 アラブ人、アラビア語
 イスラム教(スンナ派)

⑫オマーン国
 アラブ人、アラビア語
 イスラム教

⑬イエメン共和国
 アラブ人、アラビア語
 イスラム教(国教)

サウジアラビア王国
 アラブ人、アラビア語
 イスラム教(スンナ派)


 少数派の支配に反対する多数派の反乱という見方では、ミャンマーもシリアに状況が似ていましたが、ミャンマーの場合はイギリスに対する蜂起であり、利害が一致した日本も加勢して宗主国を追い出したワケであり、ミャンマーはその後も再植民地化を拒み、自力で独立を勝ち取ったワケです。

 その点シリアの場合、フランスは自ら引き上げたワケですから、その後残されたシリア国民の大多数を占める「スンニ派」の国民が、少数派の「アラウィー派」を追い出そうと思えば不可能ではなかったはずです。

 ま、中東戦争の最中、イスラエルという共通の敵を目の前にして国内が団結していたこともあるでしょうが、「アラウィー派」の政治が、そこそこ国民に受け入れられていた証明でもないでしょうか?それが、「アラブの春」と呼ばれる一連の「革命」の余波を受け、シリア国内もオカシクなって来たワケです。

 で、「アラブの春」の指導的役割を担っているのは「スンニ派」であり、そのことは、西側と歩調を合わせる「スンニ派国家」であるトルコの動向にも表れています。


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何のためにシリアの対空防衛能力を試すのか
25.06.2012, 14:41



 シリア対空防衛軍がトルコの偵察機RF-4Eファントムを撃墜したことを様々な角度から検討してみると、実際に諜報的な任務を負っていたことが指摘されている。政治学者のスタニスラフ・タラソフ氏は次のように述べている。

 -トルコのアフメト・ダウトオール外相は、航空機が偵察機であったことを認めました。目的はトルコのレーダーシステムのチェックでした。外相も言っているように、「撃墜の15分前に航空機は短い時間シリアの領空を侵犯」していたのです。専門家なら分かりますが、そのような時間はシリアの対空防衛システムを写真に収めるのに十分な時間です。何のためにシリアの対空防衛システムを調べることが必要だったのでしょうか。また誰にとって必要だったのでしょうか。

 国際世論のなかでは、欧米諸国がシリアにおいてリビア的シナリオを繰り返そうとしているのではないかという見方が強まっている。つまり、国連安全保障理事会決議を待たずして、またロシアが提案しているシリアに関する国際会議を無視して、武力介入するということだ。そのような武力介入となれば、トルコが大きな役割を果たすことになる。最近米国の新聞「ニューヨークタイムズ」は、米国の指揮の下、トルコ領内からシリア反対派勢力に対する武器供給が行われていることを報じた。シリア国境地帯にはいわいる「自由シリア軍」が集結しており、シリア領内への攻撃を行っている。

(後略)

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 さて、上記の様々な状況を踏まえた上で、ムスリム同胞団(スンニ派)からエジプトの新大統領が選出された意味を考えると、最初に述べたように、


シリアの情勢に悪影響を及ぼす。


という推測が、ワタシのなかでは組み上がるワケです。はい。

 恐らくエジプトは新大統領の下、近日中にシリア介入に舵を切るでしょうし、そうなるとシリアは、かつて「一心同体」であった国まで敵に回すことになり、八方塞り、四面楚歌。アサド大統領の辞任は避けようもないのですが、


「それだけじゃ済まないよw?」


と、イスラエルが言い出しているワケです。


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シリア大統領辞任は問題解決ではない
イスラエル外相 24.06.2012, 17:11



 イスラエルは、シリアのバシャル・アサド大統領が辞任しても国内の問題は解決されないとの考えを示した。プーチン大統領が25日にイスラエルを実務訪問するのを前に、イスラエルのリーベルマン外相がインターファックス通信とのインタビューで明らかにした。

 シリアでの状況は、プーチン氏のイスラエル訪問中に議論される。リーベルマン外相は、エジプト、チュニジア、シリアなどにおけるアラブ世界での抗議活動の原因は、まずは高い失業率、低い生活水準、知識層の将来がないことなどだと指摘し、それゆえに改革が必要であるとまとめている。雇用の創出、資本・投資の呼び込みが問題となっている。

インターファックス

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エコノミックヒットマン #TPP




 要は、アサド大統領が辞任しても、シリア国内の混乱は収まらない(収めるつもりは無い)と脅迫しているワケで、じゃあ、この混乱の最終目的地は何処なのか?...と、考えるに、


第三次世界大戦


という不吉な文字が頭を過ぎるワケです。つまり「アラブの春」にしても、最初からそれに向かって「仕組まれていた」という推論が生まれ、何故そんなチガイじみた犯罪行為を企てるのか?を想像するに、そこに...


金融破綻の穴埋め


という格好の理由が...。



 で、今はロシアが頑張っているワケですが、西側諸国が勝手にシリアに軍事介入し、シリアの人々が戦火に巻き込まれて命を落とすのを見かねたロシアが介入となれば、それこそ火に油を注ぐことになります。

 かといって、シリアの人々を見殺しにするのは、内戦を煽っている連中に屈してしまうことになり、


世界の秩序の崩壊


を招くことになるのですが、ロシアがいくら強国でも、一国では手が出せない悩ましい状況なワケですよ。

 であれば、ロシアに協力し、理不尽な言いがかりによる不正行為を正そうという、「近代理性」に目覚めた国々、国際世論が結束するしかないでしょw!

 国際世論で、シリアへの不法介入を止めさせるしかないでしょw!

 戦争を望んでいる人なんて、「金融家」ぐらいなもんでしょ?日本の反原発運動にアメリカの市民が共鳴してくれたように、シリアの人たちの苦しみに対しても、世界中のフツーの人たちが心を痛めているはずです。


シリアに平和を!


と。

 で、シリアの問題は「脱原発」とも無関係ではないのです。「原子力ネットワーク」は世界的な枠組みの中にあるワケですから、日本だけの問題ではないという事です。日本以外の国の...外国の思惑も絡んでいるワケです。

 日本だけの問題であれば、首相官邸前に45,000人も人が集まれば日本独自で原発廃止も可能でしょうが、「原子力産業」は、ビジネス(利権)として世界中に広がっているワケです。

 もちろん「良いビジネス」のはずがありません。「原発」を抱える国は、必ず「被爆者」をも同時に抱えています。そのビジネスによって、「傷つく人」が必ず存在します。それでも経済=お金=利権のために止められない(止める気が無い)のです。

 そういった、世界中に蔓延る利権の構図を踏まえた上でないと、本当の闘いにはならないのです。「ボスキャラ」は、野田首相なんかよりずっと大きい存在だということです。

 それでもワタシたちが、日本国憲法<前文>に記された、「われらは、全世界の国民が、ひとしく恐怖と欠乏から免れ、平和のうちに生存する権利を有することを確認する。」...の精神と自らの良心を信じ、


6月29日(金)


首相官邸前であれ、経済産業省前であれ、各地方自治体の庁舎前であれ、世界を巻き込んだ「脱原発」の決意表明ができたのなら、世界は大きく変わることでしょう。

 そのくらいの「想像力」を持たないと、「革命」のその先の世界を描けないと、単に人がたくさん集まったくらいでは、「原発廃止」は成し得ないと思うワケです。


ひとりひとりの「戦力」=「想像力」


にかかっていると思うワケです。




人間ナメんなよ!


でわっ!