2012年12月3日月曜日

原子力産業の実態

  
 今回の選挙の争点のひとつは、間違いなく「廃原発」であるワケですが、以前にも示したように、原子力関連行政機構にしても複雑に入り組んであり、つまりそれは、監督する関連産業が膨大な広がりを持つということでもあります。


原子力関係行政組織(PDF)
(平成 20 年 12 月末日現在)



 したがって「廃原発」に向かうということは、それらの関連企業の整理、そして官庁の関連機関の整理を行うワケでもあり、生半可なロードマップ・・・ま、ワタシから言わせればフィクションにも等しいワケですが、そんなものは何処の政党のものを比べても、「ドングリの背比べ」と変わりません。


内閣府

├ ------原子力委員会

├ ------原子力安全委員会
│           │
│           ├ ---- 総務課
│           │
│           ├ ---- 審査指針課
│           │
│           ├ ---- 管理環境課
│           │
│           └ ---- 規制調査課

├ ------国家公安委員会
│           │
│           └ -警察庁
│               │
│               ├ --生活環境課
│               │
│               └ --警備課

├ ------食品安全委員会

└ ------原子力政策担当室
           │
           ├ -政策統括官 (科学技術・イノベーション担当)
           │
           ├ -政策統括官 (防災担当)
           │
           └ -政策統括官 (共生社会政策担当)


 しかしながら、枝葉が複雑に分岐していようが「幹」が必ず存在するワケであり、その「幹」を理解すことが、「廃原発」への最も確実な道筋とワタシは考えます。

 で、そもそも日本において原子力産業が発足した発端は何か?・・・といえば、


核兵器の保有


という、当時の「国策」に従ったものであり、この点を見過ごしてしまっては今後の「廃原発」へのロードマップにも支障が出るワケですよ。


外務省

├ ------総合外交政策局
│           │
│           └ -軍縮不拡散・科学部
│               │
│               ├ --不拡散・科学原子力課
│               │     │
│               │     ├ -国際原子力協力室
│               │     │
│               │     └ -国際科学協力室
│               │
│               └ --軍備管理軍縮課

└ ------経済局
           │
           └ ----経済安全保障課


 で、現在「脱原発」を掲げている政党に、この件に関して・・・つまり、原子力産業の「本体」は国である事実に言及している政党はあるのか?・・・と、見渡してみるに、残念ながらひとつもありません。よね?

 全ては「日本の核保有」という目的から始まったワケですよ。そして、いまだにそれを望んでいる連中がいて、グダグダと「廃原発」の足を引っ張っているワケです。

 何度でも言います。日本の原子力産業は、「核兵器の保有」を目的とした「国策」・・・つまり、国が音頭を取って始めたものであり、電力会社だけを槍玉に挙げても、実質的な解決には回り道である。・・・と。

 そんなことは原子力産業の黎明期に係わった人であれば、誰でも知っていることなのに、この期に及んでまで口を閉ざしているのは、


不誠実極まりない!


・・・と、糾弾されて然るべきでしょうなw。

 そういった「国」の後押しがあったからこそ、電力各社は強大な利権に浴することもできたワケだし、ワタシたち消費者に対して尊大な態度にも出れたワケですが、事、東京電力に関しては、もはや国営企業に等しいワケで、行政的にはいの一番に手が付けられるワケです。


経済産業省

├ -資源エネルギー庁
│   │
│   └-----電力・ガス事業部
│             │
│             ├ ---政策課
│             │
│             ├ ---電力市場整備課
│             │
│             ├ ---電力基盤整備課
│             │
│             ├ ---原子力政策課
│             │
│             └ ---原子力立地・核燃料サイクル産業課
│                    │
│                    └ -放射性廃棄物等対策室

├ ------製造産業局
│           │
│           └ ----産業機械課

└ ------原子力安全・保安院
           │
           ├ ----企画調整課
           │        │
           │        └ -国際室
           │
           ├ ----原子力安全広報課
           │
           ├ ----原子力安全技術基盤課
           │
           ├ ----原子力安全特別調査課
           │
           ├ ----原子力発電安全審査課
           │
           ├ ----原子力発電検査課
           │
           ├ ----核燃料サイクル規制課
           │
           ├ ----核燃料管理規制課
           │
           ├ ----放射性廃棄物規制課
           │        │
           │        └ -総合廃止措置対策室
           │
           ├ ----原子力防災課
           │        │
           │        ├ -核物質防護対策室
           │        │
           │        └ -原子力事故対策・防災対策室
           │
           ├ ----火災対策室
           │
           └ ----電力安全課


 発送電の分離にしても、新規発電業者の参入にしても、知恵を出し合い政策をまとめれば、全国に先駆けて東京電力が「雛形」となる次世代電力網の構築が可能なワケです。

 後は、その「雛形」を全国の電力網に適合させていけばイイというのがワタシの考えで、漠然としたロードマップより具体性が高いように思えません?

 ま、これはひとつのアイデアであり、もっとイイ考えをお持ちの方もおられるでしょから、福島原発事故直後のようにみんなが知恵を出し合えばイイんです。

 大切なのは「やる気」であり、せっかくの「やる気」が空回りしないように事実関係をシッカリ認識することが重要なワケです。つまり、


原発の親玉は官僚機構である。


・・・という現状です。


文部科学省

├ ------科学技術・学術政策局
│           │
│           └ ----原子力安全課
│                   │
│                   ├ -原子力規制室
│                   │
│                   ├ -防災環境対策室
│                   │
│                   ├ -放射線規制室
│                   │
│                   └ -保障措置室

├ ------研究振興局
│           │
│           ├ ----基礎基盤研究課
│           │        │
│           │        └ 量子放射線研究推進室
│           │
│           └ ----研究振興戦略官

├ ------研究開発局
│           │
│           ├ ----開発企画課
│           │        │
│           │        └ -立地地域対策室
│           │
│           ├ ----原子力計画課
│           │        │
│           │        └ -放射性廃棄物企画室
│           │
│           ├ ----原子力研究開発課
│           │
│           └ ----研究開発戦略官

└ -水戸原子力事務所


 で、その先に・・・つまり「官僚機構」のその先に、アメリカの軍事産業とか「安保」とかの影響を見る人もいるでしょうが、取り敢えず今は日本国内の問題として、「廃原発」に取り組むしかありません。

 「ガイアツ」によってブレる政治家もいるでしょうが、そうした政治家を国政の場から排除するためにも、「選挙」は疎かにはできないワケです。

 いずれにせよ、「廃原発」はすでに世界的な潮流であり(フクシマのおかげでもありますが)、以前と比べても「廃原発」へのハードルは格段に低くなっているワケで、しかもインターネットの普及によって、必要があれば海外の「廃原発派」と連携することも可能なワケです。

 しかしそれは、世界中から「廃原発」に向けた日本の取り組みが注目されていることでもあり、「日本人の理性」が・・・いやさ、「人間の理性」が問われているワケでもあり、ここでヘタを打てば今後の日本人に対する評価も下がり、ま、外交面でも?あまりイイ影響は及ぼさないでしょうなw。

 過去、名も無き先人たちが築き上げてきた日本人に対する「高評価」に、現代のワタシたちはタダ乗りしているようなもので、次の世代のことを思うのなら、今ここで評価を下げないためにも「廃原発」は、


日本人の理性の試金石


でもあると、ワタシ的には思うワケです。




人間ナメんなよ!


でわっ!