2013年10月10日木曜日

原子力損害賠償支援機構法 (3)

  
原子力損害賠償支援機構法



第六章 財務及び会計

第五十六条 (事業年度)
 機構の事業年度は、毎年四月一日に始まり、翌年三月三十一日に終わる。

第五十七条 (予算等の認可)
1. 機構は、毎事業年度、予算及び資金計画を作成し、当該事業年度の開始前に、主務大臣の認可を受けなければならない。これを変更しようとするときも、同様とする。
2. 主務大臣は、前項の認可をしようとするときは、あらかじめ、財務大臣に協議しなければならない。

第五十八条 (財務諸表等)
1. 機構は、毎事業年度、貸借対照表、損益計算書、利益の処分又は損失の処理に関する書類その他主務省令で定める書類及びこれらの附属明細書(以下この条において「財務諸表」という。)を作成し、当該事業年度の終了後三月以内に主務大臣に提出し、その承認を受けなければならない。
2. 機構は、前項の規定により財務諸表を主務大臣に提出するときは、これに当該事業年度の事業報告書及び予算の区分に従い作成した決算報告書並びに財務諸表及び決算報告書に関する監事の意見書を添付しなければならない。
3. 機構は、第一項の規定による主務大臣の承認を受けたときは、遅滞なく、財務諸表を官報に公告し、かつ、財務諸表並びに前項の事業報告書、決算報告書及び監事の意見書を、各事務所に備えて置き、主務省令で定める期間、一般の閲覧に供しなければならない。
4. 機構は、負担金について、原子力事業者ごとに計数を管理しなければならない。

第五十九条 (利益及び損失の処理)
1. 機構は、毎事業年度、損益計算において利益を生じたときは、前事業年度から繰り越した損失を埋め、なお残余があるときは、その残余の額は、積立金として整理しなければならない。
2. 機構は、毎事業年度、損益計算において損失を生じたときは、前項の規定による積立金を減額して整理し、なお不足があるときは、その不足額は、繰越欠損金として整理しなければならない。
3. 機構は、予算をもって定める額に限り、第一項の規定による積立金を第三十五条第二号及び第三号に掲げる業務に要する費用に充てることができる。
4. 機構は、特別資金援助に係る資金交付を行った場合には、毎事業年度、第一項に規定する残余があるときは、当該資金交付を行うために既に第四十九条第二項の規定により国債の償還を受けた額の合計額からこの項の規定により既に国庫に納付した額を控除した額までを限り、国庫に納付しなければならない。この場合において、第一項中「なお残余があるとき」とあるのは、「なお残余がある場合において、第四項の規定により国庫に納付しなければならない額を控除してなお残余があるとき」とする。
5. 前項の規定による納付金に関し、納付の手続その他必要な事項は、政令で定める。

第六十条 (借入金及び原子力損害賠償支援機構債)
1. 機構は、主務大臣の認可を受けて、金融機関その他の者から資金の借入れ(借換えを含む。)をし、又は原子力損害賠償支援機構債(以下「機構債」という。)の発行(機構債の借換えのための発行を含む。)をすることができる。この場合において、機構は、機構債の債券を発行することができる。
2. 主務大臣は、前項の認可をしようとするときは、あらかじめ、財務大臣に協議しなければならない。
3. 第一項の規定による借入金の現在額及び同項の規定により発行する機構債の元本に係る債務の現在額の合計額は、政令で定める額を超えることとなってはならない。
4. 第一項の規定による機構債の債権者は、機構の財産について他の債権者に先立って自己の債権の弁済を受ける権利を有する。
5. 前項先取特権の順位は、◆民法◆(明治二十九年法律第八十九号)の規定による一般の先取特権に次ぐものとする。
6. 機構は、主務大臣の認可を受けて、機構債の発行に関する事務の全部又は一部を銀行又は信託会社に委託することができる。
7. 会社法(平成十七年法律第八十六号)第七百五条第一項及び第二項並びに第七百九条の規定は、前項の規定により委託を受けた銀行又は信託会社について準用する。
8. 第一項、第二項及び第四項から前項までに定めるもののほか、機構債に関し必要な事項は、政令で定める。

第六十一条 (政府保証)
 政府は、法人に対する政府の財政援助の制限に関する法律(昭和二十一年法律第二十四号)第三条の規定にかかわらず、国会の議決を経た金額の範囲内において、機構前条第一項の借入れ又は機構債に係る債務の保証をすることができる。

第六十二条 (余裕金の運用)
 機構は、次の方法によるほか、業務上の余裕金を運用してはならない。

一 国債その他主務大臣の指定する有価証券の保有

二 主務大臣の指定する金融機関への預金

三 その他主務省令で定める方法

第六十三条 (省令への委任)
 この法律に定めるもののほか、機構の財務及び会計に関し必要な事項は、主務省令で定める。



第七章 監督

第六十四条 (監督)
1. 機構は、主務大臣が監督する。
2. 主務大臣は、この法律を施行するため必要があると認めるときは、機構に対し、その業務に関して監督上必要な命令をすることができる。

第六十五条 (報告及び検査)
1. 主務大臣は、この法律を施行するため必要があると認めるときは、機構に対しその業務に関し報告をさせ、又はその職員に機構の事務所に立ち入り、帳簿、書類その他の物件を検査させることができる。
2. 前項の規定により職員が立入検査をする場合には、その身分を示す証明書を携帯し、関係人にこれを提示しなければならない。
3. 第一項の規定による立入検査の権限は、犯罪捜査のために認められたものと解してはならない。



第八章 雑則

第六十六条 (定款の変更)
 定款の変更は、主務大臣の認可を受けなければ、その効力を生じない。

第六十七条 (解散)
1. 機構は、解散した場合において、その債務を弁済してなお残余財産があるときは、これを各出資者に対し、その出資額を限度として分配するものとする。
2. 前項に規定するもののほか、機構の解散については、別に法律で定める。

第六十八条 (政府による資金の交付)
 政府は、著しく大規模な原子力損害の発生その他の事情に照らし、機構の業務を適正かつ確実に実施するために十分なものとなるように負担金の額を定めるとしたならば、電気の安定供給その他の原子炉の運転等に係る事業の円滑な運営に支障を来し、又は当該事業の利用者に著しい負担を及ぼす過大な額の負担金を定めることとなり、国民生活及び国民経済に重大な支障を生ずるおそれがあると認められる場合に限り、予算で定める額の範囲内において、機構に対し、必要な資金を交付することができる。

第六十九条 (法人税の特例)
1. 原子力事業者第三十八条の規定に基づき機構の事業年度について機構の業務に要する費用に充てることとされる負担金を納付する場合には、その納付する負担金の額は、当該事業年度終了の日の属する当該原子力事業者の事業年度 (法人税法(昭和四十年法律第三十四号)第十三条及び第十四条に規定する事業年度をいう。次項において同じ。)の所得の金額又は連結事業年度(同法第十五条の二に規定する連結事業年度をいう。次項において同じ。)の連結所得(同法第二条第十八号の四に規定する連結所得をいう。次項において同じ。)の金額の計算上、損金の額に算入する。
2. 原子力事業者第四十五条第一項の認定を受けたときは、その特別資金援助(第四十一条第一項第一号に掲げる措置に限る。)による収益の額については、機構から交付を受けた資金の額を当該交付を受けた日の属する事業年度の所得の金額又は連結事業年度の連結所得の金額の計算上、益金の額に算入する。
3. 前二項の規定の適用に関し必要な事項は、政令で定める。

第七十条 (登録免許税の特例)
 機構第五十四条第一項の規定により特別資金援助に係る資金交付を受けた認定事業者から資産の買取りを行う場合における当該資産の買取りに伴う不動産の所有権の移転の登記については、財務省令で定めるところにより当該買取り後三月以内に登記を受けるものに限り、登録免許税を課さない。

第七十一条 (主務省令への委任)
 この法律に定めるもののほか、この法律の施行に関し必要な事項は、主務省令で定める。

第七十二条 (主務大臣及び主務省令)
 この法律における主務大臣及び主務省令は、政令で定める。



第九章 罰則

第七十三条
 第二十一条(第三十四条において準用する場合を含む。)の規定に違反してその職務上知ることのできた秘密を漏らした者は、一年以下の懲役又は五十万円以下の罰金に処する。

第七十四条
 第四十七条第一項の規定による報告をせず、又は虚偽の報告をした者は、五十万円以下の罰金に処する。

第七十五条
 次の各号のいずれかに該当する場合には、その違反行為をした機構の役員又は職員は、五十万円以下の罰金に処する。

一 第四十二条第二項(第四十三条第四項及び第五十四条第三項において準用する場合を含む。)の規定による報告をせず、又は虚偽の報告をしたとき。

二 第六十五条第一項の規定による報告をせず、若しくは虚偽の報告をし、又は同項の規定による検査を拒み、妨げ、若しくは忌避したとき。

第七十六条
 第三十七条第二項の規定による報告若しくは資料の提出をせず、又は虚偽の報告若しくは資料の提出をした者は、三十万円以下の罰金に処する。

第七十七条
 法人の代表者又は法人若しくは人の代理人、使用人その他の従業者が、その法人又は人の業務に関して第七十四条又は前条の違反行為をしたときは、行為者を罰するほか、その法人又は人に対して各本条の刑を科する。

第七十八条
 次の各号のいずれかに該当する場合には、その違反行為をした機構の役員は、二十万円以下の過料に処する。

一 この法律により主務大臣の認可又は承認を受けなければならない場合において、その認可又は承認を受けなかったとき。

二 第七条第一項の規定による政令に違反して登記することを怠ったとき。

三 第三十五条に規定する業務以外の業務を行ったとき。

四 第三十八条第三項の規定に違反して、報告をせず、又は虚偽の報告をしたとき。

五 第三十九条第七項、第四十二条第三項(第四十三条第四項及び第五十四条第三項において準用する場合を含む。)又は第六十四条第二項の規定による主務大臣の命令に違反したとき。

六 第五十八条第三項の規定に違反して、書類を備え置かず、又は閲覧に供しなかったとき。

七 第六十二条の規定に違反して業務上の余裕金を運用したとき。

第七十九条
 第六条第二項の規定に違反した者は、二十万円以下の過料に処する。



附則 抄

第一条 (施行期日)
 この法律は、公布の日から施行する。ただし、第五十五条第三項の規定は、平成二十三年原子力事故による被害に係る緊急措置に関する法律の施行の日又はこの法律の施行の日のいずれか遅い日から施行する。

第二条 (経過措置)
 この法律の施行の際現にその名称中に原子力損害賠償支援機構という文字を用いている者については、第六条第二項の規定は、この法律の施行後六月間は、適用しない。

第三条
1. 第四十一条の規定は、この法律の施行前に生じた原子力損害についても適用する。
2. この法律の施行前に生じた原子力損害に関し資金援助機構に申し込む原子力事業者は、その経営の合理化及び経営責任の明確化を徹底して行うとともに、当該原子力損害の賠償の迅速かつ適切な実施のため、当該原子力事業者の株主その他の利害関係者に対し、必要な協力を求めなければならない。

第四条
 機構の最初の事業年度は、第五十六条の規定にかかわらず、その成立の日に始まり、その後最初の三月三十一日に終わるものとする。

第五条
 機構の最初の事業年度の予算及び資金計画については、第五十七条第一項中「当該事業年度の開始前に」とあるのは、「機構の成立後遅滞なく」とする。

第六条 (検討)
1. 政府は、この法律の施行後できるだけ早期に、平成二十三年三月十一日に発生した東北地方太平洋沖地震に伴う原子力発電所の事故(以下「平成二十三年原子力事故」という。)の原因等の検証、平成二十三年原子力事故に係る原子力損害の賠償の実施の状況、経済金融情勢等を踏まえ、原子力損害の賠償に係る制度における国の責任の在り方、原子力発電所の事故が生じた場合におけるその収束等に係る国の関与及び責任の在り方等について、これを明確にする観点から検討を加えるとともに、原子力損害の賠償に係る紛争を迅速かつ適切に解決するための組織の整備について検討を加え、これらの結果に基づき、賠償法の改正等の抜本的な見直しをはじめとする必要な措置を講ずるものとする。
2. 政府は、この法律の施行後早期に、平成二十三年原子力事故の原因等の検証、平成二十三年原子力事故に係る原子力損害の賠償の実施の状況、経済金融情勢等を踏まえ、平成二十三年原子力事故に係る資金援助に要する費用に係る当該資金援助を受ける原子力事業者と政府及び他の原子力事業者との間の負担の在り方、当該資金援助を受ける原子力事業者の株主その他の利害関係者の負担の在り方等を含め、国民負担を最小化する観点から、この法律の施行状況について検討を加え、その結果に基づき、必要な措置を講ずるものとする。
3. 政府は、国民生活の安定向上及び国民経済の健全な発展を図る観点から、電気供給に係る体制の整備を含むエネルギーに関する政策の在り方についての検討を踏まえつつ、原子力政策における国の責任の在り方等について検討を加え、その結果に基づき、原子力に関する法律の抜本的な見直しを含め、必要な措置を講ずるものとする。



附則 (平成二四年六月二七日法律第四七号) 抄

第一条 (施行期日)
 この法律は、公布の日から起算して三月を超えない範囲内において政令で定める日から施行する。ただし、次の各号に掲げる規定は、当該各号に定める日から施行する。

一 第七条第一項(両議院の同意を得ることに係る部分に限る。)並びに附則第二条第三項(両議院の同意を得ることに係る部分に限る。)、第五条、第六条、第十四条第一項、第三十四条及び第八十七条の規定 公布の日

四 附則第十七条、第二十一条から第二十六条まで、第三十七条、第三十九条、第四十一条から第四十八条まで、第五十条、第五十五条、第六十一条、第六十五条、第六十七条、第七十一条及び第七十八条の規定 施行日から起算して十月を超えない範囲内において政令で定める日

第八十六条 (罰則の適用に関する経過措置)
 この法律(附則第一条各号に掲げる規定にあっては、当該規定。以下この条において同じ。)の施行前にした行為及びこの附則の規定によりなお従前の例によることとされる場合におけるこの法律の施行後にした行為に対する罰則の適用については、なお従前の例による。
第八十七条 (その他の経過措置の政令への委任)
 この附則に規定するもののほか、この法律の施行に関し必要な経過措置は、政令で定める。


 


 

人間ナメんなよ!


でわっ!