脱原発に舵を切ったドイツで、「電気代」が値上がりしていると女性週刊誌が記事を組んでいますが、電気代が値上がりしているのは行政指導の失敗であり、それを原発のせいにするのは感心しませんなw。
脱原発ドイツ 電気代高騰で12万世帯で電気止められる事態も 2013.12.02 07:00:31 by NEWSポストセブン 小泉純一郎元首相の言う「脱原発」を日本に先駆けて実施した先進国がある。原子力17基を所有し、原発に電力の約2割を依存していたドイツは、法案で2022年12月までに原発の完全廃止を決定した。 こういった首相の強いリーダーシップによって導かれたドイツの脱原発だが、同時に国民への“痛み”も強いている。 まず、電気代。再生可能エネルギー促進のために上乗せされる税金「賦課金」は今年、2000年度の26倍に。標準家庭の年間電気代は昨年比で91ユーロ(約1万2400円)上がり、年間の総負担額は998ユーロ(約13万7000円)になる見込みだ。 あまりに高額なため、電気代を払えない12万世帯が、一時電気を一斉に止められる事態になったことも。一般家庭を悩ませる大きな原因となっている。 もうひとつの“痛み”が、小泉元首相も会見で話していた高レベル放射性廃棄物の最終処分場の問題。 ドイツでも処分場はいまだ決まっていない。1970年代にゴアレーベンという候補地が決まっていたが、地元住民や環境団体の反対にあい、事実上白紙撤回された。 ドイツは18年後の1931年までに最終処分場を決めるべく、今年本格的な作業を開始した。『脱原発を決めたドイツの挑戦』(角川新書)の著者で、ドイツ在住のジャーナリストの熊谷徹さんが言う。 「しかし、市民の環境意識が高いだけに、核のゴミを自分たちが住んでいる町では引き取りたくないというジレンマがあります。建設地が決まった場合、激しい反対運動が起こるでしょう。裁判まで至るケースも考えられます」 日本もまた状況は同じだ。小泉元首相は、10年以上最終処分場が見つかっていないから、即脱原発するべきだと主張。つまり、即刻脱原発を決めなければ、最終処分場の問題はこのままずるずると先送りされ、廃棄物は増え続ける一方だからだ。 原発容認派は、最終処分場のめどがついてからこそ、脱原発論議を進めていくべきと訴えるが、はたしてそうだろうか。 ドイツ政府や国民が脱原発に踏み切ったのは、「この問題をもはや先送りにはできない」という強い意志があったからこそだ。先送りにすることは、すなわち子供たちへの負の遺産を積み上げることにほかならない。 「原子力と化石燃料からの脱却をめざすドイツのエネルギー革命は、エコロジーというイデオロギーに基づくもので、経済的な理由ではありません」(熊谷さん) 現在、ドイツの再生可能エネルギーは、発電総生産量の2割を占める。1950年までには8割まで上げるのが国の指針だ。 ※女性セブン2013年12月12日号 |
ドイツにしろ日本にしろ、発電費用は原発の方が高いことが明らかになっています。では何故?安い費用での発電に転換したのに電気代が高くなるのか?簡単に言うと、
送電費用が高くなっている
・・・と、いう理由によるものです。
せっかく安くて安全な電気をつくっても、そのトータルコストが高くなってしまっては何の効果も得られません。
ドイツの現状には詳しくないので日本の場合で言うと、太陽光パネルなどで発電した電気を電力会社に「売電」しますよね?で、電力会社はそうした「電気の買取費用」を電気代に上乗せして「電気代」を設定します。
したがって一般家庭向け「電気代」は必然的に高くなるワケで、原発の運転停止とは直接関係ありません。問題なのは、「売電」している人と、「買電」している人の間に
不公平
・・・が生じていることです。想像するに、ドイツで12万世帯が電気を止められたというのも、そうした不公平な電気行政に対しての抗議から、電気代の支払い拒否をした結果として、電気を止められたんじゃないのか?と。
とどの詰まりは、行政のミス、失態によるものであり、脱原発後の社会のヴィジョンがシッカリと固まっていなかった、
メルケル首相の責任
・・・だと断言します。
日本も現在、「再生可能エネルギー」とかが頻繁に取り上げられますが、そうしたエネルギーで商売を考えているのだとしたら、ドイツと同じ失敗をするだけです。
前回も書きましたが、「エネルギー」は国の根幹に関わる要素なので、「ソロバン度外視」で取り組む姿勢が求められます。小規模発電(再生可能エネルギー利用)は素晴らしいことだとしても、
それで金儲け
・・・を考え出すから「欲望」に絡み取られ、本来の在るはずの姿からドンドン離れてしまうワケです。
ワタシは究極的には、「自家発電」が最も優れたインフラだと考えています。自分が使う分だけ自宅で発電できれば、日本全体で見てもエネルギー消費の大幅な削減に繋がり、そのことは「エネルギー安全保障」においても、大きなアドバンテージとなります。
で、そうした技術は、じつは来年からでも各家庭に導入可能なワケですが、既存の産業、企業を守るために経済界が抵抗していることと、その圧力で国が認可しないのが現状です。
いきなり失業者が増えるのも困るワケで、ま、ある程度は理解できるのですが、東京電力に見られるような、過剰な企業保護は国民のためにも、日本のためにもなりません。産業構造の変化は社会の流動性、ダイナミズムの現れであり、ソレを押し止めようとするのは、
人間の進化に対する冒涜
・・・でしかありません。そうした「大きなヴィジョン」を持った政治家が今の日本に・・・いやさ、
世界にいるのか?
・・・と、いうことは、また別な機会に譲るとして、こうした「ミスリード記事」は、
いただけないなw
・・・と。それも、「女性をターゲット」にしているところが、
感心しないなw
・・・と、いうことです。はい。
「オレンジ色のニクい奴」・・・夕刊フジ
・・・というキャッチコピーがその昔ありましたが、
「女を騙すニクい奴」・・・女性セブン
・・・と、いったところですなw。
人間ナメんなよ!
でわっ!
追記:
国際環境経済研究所 ドイツの電力事情⑦ 電気料金の逆進性―低所得層への打撃― 竹内 純子 国際環境経済研究所理事・主席研究員 (前略)そして我が国の電気料金上昇要因には、昨年7月に導入された再生可能エネルギー全量固定価格買取制度(FIT)と、原子力発電所を停止させていることによる燃料費の増の2つの要素があることにも注意が必要だ。 まず、再生可能エネルギー全量固定価格買取制度による負担であるが、2012年は月70~100円程度(標準家庭)と試算されている。(経済産業省調達価格等算定委員会(2012/4/27))この金額であれば大きな負担ではないと思えるが、全量固定価格買取制度の仕組みから明らかな通り、導入量が増加するにつれて負担額は増加していく。普及による太陽光発電設備価格低下効果も期待されるが、バランスの取れた買取価格を設定することは非常に難しく、また、市場により決定する太陽光発電設備の価格は日々変化するのに対して、買取価格は法改正を伴うためどうしてもタイミングのずれは生じる(図2)。(後略) |
【ロシアNOW】日本LNG市場でシェア拡大なるか 2013年9月27日 ウラジーミル・コブゼフ, ロシアNOWへの特別寄稿 日本は液化天然ガス(LNG)先物市場を創設しようとしている。これが世界のLNG市場創設の第一歩となる可能性がある。LNG価格は現在、地域によって大きな差があり、日本にとって明らかに不利な状況となっている。
ただし、日本のガス市場におけるロシアの可能性は、今後数年間限定的だ。日本へのロシア産LNGの主な輸出者である、国営天然ガス企業「ガスプロム」の消息筋は、次のようにコメントした。「これは当然と言える。サハリンのLNG工場の能力はわずか1000万トンほど。これを拡大するのは今のところ不可能」。 現在、ロシアが販売するLNGの77.5%が日本向けとなっている。ロシアが日本のガス市場でこれを維持するだけでなく、さらにシェアを拡大できるかは、大問題である。 理論的には可能だ。例えば、「サハリン2」プロジェクトのLNG生産工場の第3ライン建設計画や、「サハリン1」プロジェクトの新工場建設計画などがある。「三井物産」を中心とした日本側は例えば、このアイデアに関心を示した。「東京電力」も同様だ。東電は昨年、追加分の100万トンを含む、300万トンのサハリン産LNGを輸入した。 ウラジーミル・プーチン大統領は、安倍晋三首相との会談後、ロシアの炭化水素資源で日本を支える用意があることを明らかにした。さらにガスプロムが日本国内におけるLNG受入基地、および気化したガスのパイプラインの建設に投資する用意があることも話した。 だがエネルギー戦略研究所燃料・エネルギー複合体専門・分析局のアレクセイ・ベロゴリエフ局長は、慎重な考えを示す。「日本のLNG価格に多くが依存している。現在はプレミアム価格となっているため、すべてのLNG生産者が日本に”殺到”している状態。しかしながら日本においても、他のアジアの国においても、これに対して不満が高まっている」。 ガスプロムのアレクセイ・ミレル社長が4月に訪日した後、茂木敏充経済産業相は同社に対し、ガスの値下げを検討するよう求めた。 それでもトランジット・ゾーンのないロシア産ガスの物流条件は、日本にとって何よりも魅力的だ。これは最大限に安全を確保できる唯一の策である。 ただし国際ガス連盟の報告によると、2017年には年間LNG生産量が3億6550万トンに達する可能性がある。ここには2016年に稼働を開始するロシアの「ヤマルLNG」工場は含まれていない。2017~2018年に年1500万トンのフル稼働を始める予定だが、例えば2017年のLNG需要は、「ドイツ銀行」の専門家によると、年間約3億5000万トン。現在の世界経済の傾向が継続した場合、この時までにウラジオストク、ヤマル、サハリンのLNG工場が稼働を開始することによって、需要と供給のバランスが達成される。 ベロゴリエフ局長は、日本におけるロシア産ガスの状況が、日本のLNG価格に左右されると話す。「中期見通しでは、日本市場がプレミアではなくなる。さらにアメリカにおけるガスの『価格革命』も加わる。その結果、ヤマルとペチョラのLNG工場建設プロジェクトが、日本にガス輸出をするには高額になりすぎてしまう可能性がある」。 日本とロシアには、互いに質問したいことがある。 日本はロシアのLNGプロジェクトについて、より詳細に知りたいと思っている。どの鉱床から天然ガスを採掘するのかについて、ロシア側が説明を幾度となく変えていることに、日本は困惑している。 ロシアは日本の原発について、より詳細に知りたいと思っている。日本の炭化水素資源の需要は、福島原発事故および原発の相次ぐ停止の後、急激に伸びた。日本にある54基の原子炉は現在、すべて停止している。しかしながら原発を今後稼働するか否かについて、最終的な政治決定はなされていない。潜在的なロシアのLNG供給業者の構えは、この点に依存している。 日本のガス市場におけるロシアのシェアは現在約9%。日本の一部専門家の予測によると、将来的にはこれが30%まで拡大し得るという。いずれにしても、中期見通しでシェア拡大のチャンスがあることは、確かなようだ。日本のガス価格は、約3年後に大体定まる。リスクは明白だ。 日本へのLNG輸出拡大は、ロシアの新工場の建設および発展を考えれば、2019年以前には始まらない可能性がある。それまでロシアの戦略が大きく変わることはないだろう。それでも日本のガス市場の見通しを踏まえた決定は、近いうちに行われるはずだ。 ロシアの会社は日本のガス市場で厳しい競争にさらされるであろうが、これに遅れを取らないかということが問題だ。ガスプロムのLNGに関する長期的見通しが不明瞭な状態を、何とかしなければいけなくなるだろう。現在取り上げられている主な問題は、これまたガスプロムが分析しきれていないシェール・ガスの問題だ。 |
【ロシアNOW】LNG輸出自由化の法案提出 2013年9月16日 タチヤナ・リシナ 新しく作成されたLNG市場自由化法案によると、独立系ガス生産会社がLNGを外国に販売できるようになる。
ガスプロム独占を崩す法案 ロシア連邦エネルギー省は、独立系ガス生産会社が液化天然ガス(LNG)の輸出を行えるようにする法案を作成し、大統領府に提出した。この法案は、国営天然ガス企業「ガスプロム」が2006年以降、LNGの輸出を独占している状態を事実上くいとめるものだ。 ガスプロムとの代理契約なしに、LNGを直接輸出できる条件は2つ。 1つ目は、LNG工場を建設するため、あるいは政府指定工場の1工場に液化用ガスを供給するためのライセンスを保有する、地下資源の利用者であること。 2つ目は、国の資本参加が50%以上の企業(およびその子会社)であること。またそのような企業はロシアの大陸棚鉱床のガスしか液化、輸出できない。他に輸出可能となるのは、生産物分与契約の範囲内で採掘されたガスから生産された商品。 LNGプロジェクト推進するノバテクとロスネフチ ロシアは現在、LNG市場の上位国に水をあけられている。ロシアで機能しているのは今のところ、ガスプロムの管理下にあるLNG工場「サハリン2」のみで、その能力は1080万トン(世界のLNG市場の約5%)だ。投資・金融会社「カピタル」のアナリスト、ヴィタリー・クリュコフ氏はこう話す。「ガスプロムは独占企業で、パイプライン輸送のガスを重視していた。こちらがあまりにも好調だったために、LNGの生産への投資を急がなかった」。 LNG市場の自由化を強く求めていたのが、自社のプロジェクト「ヤマルLNG」の資金集めに奮闘している、独立系天然ガス生産・販売会社「ノバテク」だ。プロジェクト開始は2018年で、3工場のそれぞれの生産能力は500万トン。法案はまだ可決されていないが、ノバテクはすでに予防策をとり、積極的 に投資家を探している。 また9月10日には、「中国石油天然気集団公司(CNPC)」および中国の銀行コンソーシアム(中国開発銀行、中国工商銀行、中国 銀行、中国建設銀行)と、プロジェクトの融資に関する覚書に署名を行った。 国営石油会社「ロスネフチ」もLNGの輸出を検討している。そのために、アメリカの石油大手「エクソンモービル」と共同で、年間500万トンのLNG生産能力のある工場を極東に建設することを計画している。生産開始は2018年以前となりそうだ。 市場参入者を絞るのは是か非か アナリストは今回のエネルギー省の法案をさまざまに評価している。クリュコフ氏は、法案が国営企業を中心とした限られた企業に向けられているとして、中 途半端だと考える。「ネネツ自治管区の鉱床2ヶ所を基盤としたLNG工場の建設を計画している、民間企業アルテクのプロジェクト『ペチョラLNG』がどうなるのかわからない」。 「ライファイゼン・グループ」のアナリストであるアンドレイ・ポリシチュク氏は、市場への参入者を絞ることはプラスになると考える。「急な変化で競争が激化してしまうと、国内市場の価格に悪影響を及ぼす。そうなれば予算収入にもひびく」。この法案を可決すると、ロシアからのLNG輸出が長期的には数倍に拡大するという。 アジアに近いロシアの地の利 それでもLNG市場の極めて厳しい競争により、ロシアがLNG輸出国の上位になるのは難しいという点で、アナリストらは一致する。アメリカとカナダも輸 出を拡大しようともくろんでいる。LNG価格については、需要が今後どのように伸びていくかが不明なため、今のところは予測が難しい。「中国がいつ石炭からガスに移行するか」とポリシチュク氏。 「ロシア企業の一助になる国の競争優位性とは、世界最大のLNG需要地域であるアジアに近いこと。アジアへの輸送料が割安になるため、ロシアのLNG生産プロジェクトは抜きんでている」と、投資会社「フィナム・マネジメント」の上級専門家であるドミトリー・バラノフ氏は話す。 ロシアの大手ガス生産会社について言えば、このような競争条件のもと、世界のLNG市場で地位を確立するために、生産能力を上げることも必要になってく る。ガスプロムはすでに競争の影響を受けている。ノバテクが市場の自由化を主導してから、ガスプロムの株価はさがった。 |