2012年11月5日月曜日

赤ひげ


 名匠、故黒澤明監督の作品に、「赤ひげ」という映画があります。




赤ひげ
製作年度: 1965年
製作国・地域: 日本 上映時間: 185分

解説:  山本周五郎原作の『赤ひげ診療譚』を基に、巨匠・黒澤明監督が三船敏郎、加山雄三主演で映画化したヒューマニズム溢れる人情ドラマ。江戸時代の小石川養生所を舞台に、そこを訪れる庶民の人生模様と通称赤ひげと呼ばれる所長と青年医師の心の交流を描く。長崎で和蘭陀医学を学んだ青年・保本登は、医師見習いとして小石川養生所に住み込むことになる。養生所の貧乏くささとひげを生やし無骨な所長・赤ひげに好感を持てない保本は養生所の禁を犯して破門されることさえ望んでいた。しかし、赤ひげの診断と医療技術の確かさを知り、また彼を頼る貧乏な人々の姿に次第に心を動かされていくのだった……。(allcinema ONLINE)


 で、前回触れた「iPS細胞」にしてもそうですが、ワタシは、「医学」は「数学」と並ぶ普遍的な学問であると思っています。「医学」の前には、


全ての人間は平等


な存在になるワケですから。

 「政治学」だの、「経済学」だの、「哲学」にしても、時代により潮流は変化していきます。つまりそれは、「思想」が「実在(時代)」の後追いをしているからのように思え、であれば、「思想」は「実在」に先んじることは無い。・・・とも言えます。

 もしそのような事態が起こり得るとしたら、それは「プロパガンダ」などによる「社会操作」である可能性が考えられ、個人の自由を否定しようとする危険な状態にあると言えます。

 それはさて置き、「V.O.R.(ボイス・オブ・ロシア)」に、現代の「赤ひげ」の記事がありました。


医療に国境なし
アーラ・ソロヴィヨワ .5.11.2012, 14:44



<転載>

 日本の山口芳裕博士の両腕によって命を救われたロシア人はひとりではない。杏林大学高度救命救急センター救急医学教室の山口博士は、既に10年以上にわたり、ロシアのハバロフスク地方の医者たちと緊密な協力を行っている。山口先生にとって、ヒポクラテスの誓いは空文に過ぎないものではない。博士は、自身の研究室が今日最も現代的な設備と最新のテクノロジーを備えており、それはハバロフスクの同業者たちにまだないものだと知りながら、無関心にとどまっていることは出来なかった。

 ロシアの患者たちに自身の医療センターで治療をほどこす傍ら、山口先生は極東連邦管区の医師・医療従事者のためのセミナーを開催した。10月末、山口博士は休暇を利用してハバロフスクに入り、現在彼の医療センターで用いられている火傷治療の新技術に関する無料セミナーのシリーズを開いた。「より多く知ったなら、その知ったことを同僚たちと分け合わなければならない」と山口先生は語る。「なぜなら、私たちは、住んでいる場所や働いている場所に関りなく、公共の事業に取り組んでいるのだから」。

 セミナーに参加したロシア人たちは、山口博士に心からの感謝を表した。なぜなら、火傷治療の分野で、日本は誰もが認めるリーダーであり、博士は誰もが認める権威者なのだから。セミナーとレクチャーの終わりに、参加者らもまた、ハイテク医療には国境があってはならず、万人の手に届くものでなければならない、と深い確信を表した。

</転載>


 ま、医者にもイロイロな人がいるワケで、ナチスドイツの「Dr.メンゲレ」や、旧大日本帝国軍の「731部隊」など、


悪名高い医者


も存在するワケですが、ほとんどの医者は「患者の命を救うため」に日々尽力しているワケですし、人の命を救うことのみならず、「世界を変える」ことすら可能な力を持っているワケです。

 繰り返しになりますが、「iPS細胞」の研究と治療法が一般化すれば、


臓器売買


という忌まわしい「犯罪」を、世界中から「根絶」できる日が来るワケですよ。放射線の影響で機能低下かした「甲状腺」を、正常な状態に「再生」できる日が来るワケですよ。

 そうした恩恵を受ける人は世界中にいます。原発事故が未だに収束せずに苦しんでいる日本はもとより、チェルノブイリ原発事故の影響を受けた人たちにしても、湾岸戦争で使われた「劣化ウラン弾」による被爆に苦しむ中東の人たちにしても、アメリカや中国の核爆弾実験場周辺の健康障害に苦しむ人たちにしても、


同じ人間なのです。


 したがって日本が研究成果を囲い込むことは、世界の進歩を妨害するにも等しい愚行だと言いたいワケです。事、「iPS細胞」の研究に限って言えば、「著作権フリー」にして全ての研究者の「共有財産」に位置づけ、研究から派生する全ての成果も「著作権フリー」として、一部の国や企業による独占を許さない「iPS国際条約」のひとつも、日本が率先して提案すべきでしょう。

 下世話な話になって恐縮ですが、誰でも「命の恩人」に対しては恩義を感じるものです。そしてどういうワケか、この「恩義」という観念は世界共通の観念なワケです。ワタシが何を言いたいのか、勘のスルドイ方はもうお気づきかも知りませんが、これ=「iPS細胞」の研究のオープン・ソース化は、


日本の安全保障


にも貢献し得るという側面を持ち合わせているワケです(「蒼井そら」ほどではないかも知れませんが)。


痛いニュース
2012年04月19日
【サッカー】 「尖閣諸島は我々中国のもの、蒼井そらはみんなのもの」…広州サポーターが横断幕


 考えてもみてください。「核兵器」で武装して、周辺国を威嚇しながら日本の安全保障を確保するのと、日本という存在が世界中に必要とされ、スイスのように「各国の紳士協定」により安全保障を確保するのと、どちらが「日本国憲法」の精神に適っているか?

 ま、「日本国憲法」を引き合いに出すまでもなく、本質的に日本人は、「排他的」「好戦的」な民族ではなく、どんな状況にも対応可能な「ハイブリット民族」のDNAを持っているワケで、そもそも「核武装」なんて、日本人の「美意識」からはズレているように感じるワケです。

 したがって「核武装」をしたがる政治家や知識人には、本来の日本人とは違う「異質」なものを感じてしまうワケですが、ワタシだけですかね?そんな風に感じてしまうのは・・・。




人間ナメんなよ!


でわっ!