2013年1月5日土曜日

関税って「悪」なの?

      
 関税とは、安価な輸入製品に国内の製品が価格負けし、販売量が減ることで産業が衰退することを防ぐために、輸入製品の国内販売価格を調整する目的で、政府が輸入業者から徴収する税金です。

 したがって関税は、政府にとっても税収になるワケであり、関税を撤廃すると税収が目減りし、その分をどこか別なところから徴収しなければならないことになります。

 そう考えると関税があったほうが国内の産業にとっては有利であり、国内産業が安泰であることは、国民の生活基盤の安定にもつながるワケですから、関税を撤廃する必要なんてあるんですかね?

 関税が撤廃されれば外国製品が安く買えると喜ぶ人もいるでしょうが、国内のワイン業者が、フランスワインを安く買えるようになるからと喜ぶでしょうか?そんな事態になれば自分の会社が倒産しかねませんし、倒産の憂き目に会えば多くの失業者が生まれ、景気も落ち込むことでしょう。

 逆に輸入業者は販売量を増やすことで利益を上げ、マクロ経済的には、国内生産の落ち込み分は輸入製品の販売利益で相殺されるのかも知れませんが、失業者の増加という副作用を見過ごすことはできません。故に、国内産業の保護、雇用の安定、税収源の確保を考えれば、関税は必要であるとワタシには思えます。

 自由貿易が現在の世界のスタンダードになっていますが、そのことによってイッタイだれが得をするのか?主に貿易業者であり、輸出企業ですよね?国内産業=国民の実生活とはあまり係わりの無い企業なワケです。


TPPが「国内産業」に与える影響とは .




 数字上の経済はいざ知らず、国民の実生活を考慮すれば安易な関税撤廃などできない筈です。それは世界中どこの国もほぼ同じ事情にあると思えます。先に述べたように、一部の輸出業や貿易業が経済を牽引したところで、国内産業のバランスの取れた成長には何も寄与しません。

 それどころか国内産業の衰退を招き、結果的に失業者の増加による生活保護などの福祉支出(税金)の増加などが連動して、帳尻を合わせるために国債の発行や増税を繰り返すのだとしたら、関税の撤廃は国民にとっては害でしかありません。

 今までに既に多くの関税を引き下げ、撤廃してきた分に対しては仕方が無いにしても、「TPP」によって更に関税を撤廃するメリットがあるのか?ワタシは無いように思えます。

 ここで整理しますが、関税を撤廃することで、

1.関税による国の税収が減少する。

2.輸入外国製品との価格競争に負けた国内産業は衰退する。

3.衰退した国内産業は賃金カットをしたり失業者を生み出す。

4.増加した失業者や生活困窮者に向けた国の福祉支出が増加する。

5.関税の撤廃による税収の減少と、増加した福祉支出を補うのに増税が必要になる。

・・・という結果が考えられ、こうして見ると、「TPP」と「消費税増税」のセットとしての存在が浮かび上がってきます。

 つまり、「TPP」への参加を止めれば、「消費税増税」の必要性も無くなる・・・とまでは言い切れませんが、低くなるんじゃないでしょうか?

 何かと少子高齢化が「消費税増税」の理由とされますが、その心は、老人をお荷物としか考えていないということです。老人は労わるものだというのが常識?ですし、ワタシもそれに異を唱えるつもりはありませんが、若者以上に元気バリバリのご老人が増えているのも、また事実です。


TPPが「医療」に与える影響とは




 そうした元気を持て余している?ご老人に日本経済の一助になっていただくのも、ひとつのオプションとして考えられるのではないでしょうか?それにはご老人たちに働く場を提供できなければなりません。つまり、国内産業を衰退させてはならないワケです。

 働く場さえあれば失業者は生まれず、生活がある程度保障されれば、ふたり目、3人目の子供を作る心のゆとりも生まれるでしょう。子供が増えれば育児施設などでの雇用も増えるでしょうし、徐々にすべてが好転に向かうのではないでしょうか?そのためにも、繰り返すようですが国内産業の保護と育成は必要不可欠になるワケです。

 「国際競争に勝つ」・・・とか軽々しく口にする恥識人が多いワケですが、その競争は「短距離」ですか?それともマラソンのような「長距離」ですか?もしかしたら、「ゴール」の見えない永遠の競争なのかも知れません。そして「TPP」だとか「消費税増税」などは、その場限りの「対処療法」ではないのですか?・・・と。

 「国」の健康を考えるならば、「経済発展」という「ドーピング」に頼るよりも、無理は避け自然体でいることの方が「本質的な健康」を得られるんじゃないですかね?そのために国内産業を保護することに、誰憚る必要があるのでしょうか?自分の健康は自分で守るものであり、薬とか医者に頼り過ぎればそれだけ自主性を奪われるだけです。


TPPが「食料・農業」に与える影響とは .




 そのことを理解した上で、お互いの利害を国際間の貿易において交渉すればイイんですよ。友達に対する接し方が、その友達の性格、個性によって違うように、貿易にしても二国間交渉が基本であり、多国間に渡る統一したルールでの交渉は、各国の個性を無視しかねない交渉方法と言えますし、その点でも「TPP」はワタシには評価できないワケです。

 極論になりますが、世界中のほとんどの人は、毎日を平穏に送れればそれでイイと思っているワケで、そのためにどのような政治を行うべきか、各国の政府は心を砕かなければなりません。世界中のほとんどの人は、決して「終わりなき競走」など望んではいないのです。





人間ナメんなよ!


でわっ!