2013年6月2日日曜日

脱原発とTPPの関係

  
 ワタシがネットの言論空間とやらに、たいして信頼を・・・というか、その力をあまり評価していないことは何度か述べてきましたが、ネットに限らず、TVなどのメディア上で論説を振るう「知識人」とやらも同様です。

 彼ら、彼女らが言うことは、「理屈としては」至極もっとなのですが、正直なところ・・・


だからどうした?


・・・としか思えないワケですよ。

 ぶっちゃけ、福島での原発事故からもう2年が経つのに、いまだに原発の安全性がどうだとか、日本経済がどうだとか、延々と論議ばかりを繰り返し、「答え」を出すのを先延ばしにしているだけです。

 なぜなら「答え」が出てしまったら、「論客」としての自分の出番、仕事がなくなり、お飯の食い上げになってしまうからで、「知識人」であるためには、常に「仕事としての議論」をしている必要があるワケです。

 「正論」にしろ「反論」にしろ、相手がいなければ「議論」は成り立たないワケで、例えば、「TVタックル」や「朝まで生テレビ」、NHKの「日曜討論番組」のような類は、謂わば・・・


トークショー


・・・でしかなく、ま、TVの討論番組などで「答え」が出るようであれば、


国会なんて要らないわ。


・・・と、話になるワケですから、「知識人」とやらが「トークショー(議論)」にうつつを抜かすのも、当然と言えば当然です。

 ○○大学の教授だとか、△△シンクタンクの研究員だとか、ベンチャー企業の創業者だとか、そんな、ある意味「浮世離れした人たち」の言葉は、実体社会、実体経済を構成するほとんどの人には、伝わらないんじゃないですかね?

 これを、「大衆は愚かだ」・・・と言って、自分の賢さにひとり悦に入っていても、世の中は何も変わらないワケで、悪くすれば「知識人なんて無用だ」・・・ということにもなり兼ねず、極端な例を挙げれば、ポルポトによる「知識人の粛清」などは、その具現化であったとも言えます。

 で、「たかじんNOマネー」という番組で、「知識人」たちが橋下市長の「従軍慰安婦発言」に対して痛烈に批判し、ある論客などは「吐き気をもよおす」・・・とまでコキおろしているのですが、ジッサイに一般の人が電話投票をしてみたところ・・・





 「知識人」たちの思惑とは全く逆な結果が出て、それに驚いた「知識人」たちの狼狽ぶりがオモシロイのですが、ワタシとしては・・・


ヤッパリねwww!


・・・というのが正直な感想です。

 ま、この質問はイマイチ正確性に欠けるトコロがあるワケですが、それは何度も繰り返しているように、橋下市長の発言には、(1)橋下市長の従軍慰安婦に対する認識。(2)在日米軍兵士による性犯罪。・・・のふたつの論点が含まれているワケですよ。

 で、(1)に関しては、橋下市長の個人的な認識の問題になります。例え発言内容が世界的に騒がれようと、最終的には橋下市長の個人的な認識の問題に過ぎません。

 しかし(2)の問題に関しては、「日米地位協定」にも関係する、日本の自主・独立に関わる問題であるのに、従来そうした問題を口にしてきた「愛国者」と見られる知識人・論客が、一切この点に触れようとしないことに、多くの人が「愛国者」の「欺瞞」を感じ取っているんじゃないか?・・・と、思うワケですよ。

 原発事故によって「安全神話」が崩れ、神話に貢献してきた多くの学者・知識人の「権威」が失墜したように、橋下発言の余波によって、「愛国者」を自称してきた多くの学者・知識人の「権威」もまた、地に堕ちたと言えます。


所詮、口先だけかwww!


・・・と。

 それを誤魔化すために、「従軍慰安婦問題」のみに特化して「議論」を繰り返していることに・・・「人格攻撃」とも言える「批判」を繰り返していることに・・・もう、みんな気づいてウンザリしているワケですよ。

 気がつかないのは、当の「知識人」&「愛国者」と呼ばれる人たちだけで、その表れが電話投票の結果であり、結果を見てはじめて、自分たちの「道化」ぶりに気づかされ、うろたえている・・・と。

 そしてこの結果は、決して大阪特有のものではなく、日本全国で同じような結果が出るであろうコトは、容易に想像がつきますし、この結果を大阪特有の現象と決め付ける知識人の精神状態は、おそらく・・・


99%側よりも、1%側に近い


・・・ように思われます。分かります?

 で、ここからが本題ですが、藤島氏曰く、山本太郎氏もTPPを脱原発より重視している・・・とのことですが、その理由は、「TPPに加盟してしまったら、脱原発ができなくなる」・・・とのことだそうです。

 例としてドイツのケースを引用しているワケですが・・・


脱原発関連:ファッテンファール社が何十億の賠償求めて、ドイツ政府を告訴

ファッテンファール社(スウェーデンの電力独占大手)は、ドイツ政府が脱原発に踏み切ったことに対して、ドイツ共和国政府に、損害賠償を求めるつもりでいる:『商業新聞』による報道記事によれば、このファッテンファール社というエネルギー産業の独占的企業は、何十億の金額の損害賠償を求めて、ドイツ連邦共和国を相手取って、国際的な仲裁機関(ICSID)に、訴え出るつもりでいる。[というのも]この戦略でのこの試行(政府を訴えること)は、過去に一度、すでに成功している(から)だ。

[ヨーロッパの大都市の一つであるドイツの]デュセンドルフで今、ファッテンファール社が、現実行動(=提訴行動)に出ている。:『商業新聞』による報道記事によれば、この[ファッテンファール社という]電力エネルギー独占企業組織は、ファッテンファール社所有の原子力発電所の閉鎖(から生じる損失)の廉(かど)で、[その脱原発に舵を切った]ドイツ政府に対して、法的に(juristisch)攻めに転じるつもりでいる。

さらに近々、クリスマス前には、この企業(ファッテンファール社)が、何十億の金額の賠償を求めて脱原発からくる損失の廉で、投資紛争解決国際センター(ICSID)に、ドイツ政府への告訴を願い出るつもりでいる。

(以下略)


 一方、ドイツを訴えたファッテンファール社がある、スウェーデンの状況とはどうなのか?


32年前に脱原発を決めたスエーデンの現状

 テレビで山中教授のノーベル賞授賞式の様子を見ていたら、あのノーべルを生んだスエーデンが32年前に国民投票で「脱原発」を決定したことを思い出した。

 私は、当時から「脱原発」はそう簡単には進まないだろうと考え、その後のスエーデンのエネルギー事情については強い関心を持っていたので、実際には「脱原発」はあまり進んでいないと言うことは知っていたが、今回、改めてスエーデンの現在のエネルギー事情について調べてみた。

 その結果は、下記のグラフの通り、「脱原発」を決めたスエーデンの約30年後の実態(グラフのデータは2008年であるが、その後大きな変化はない)は明らかに我が国以上の「原発依存国」である。

(後略)


 あれ?スウェーデンて「脱原発」先進国かと思っていたんですけど?違ったんだ。どこで勘違いしたんだろ?

 こうした事実を踏まえて、TPPに加盟してしまったらドイツと同じ状況になるから、先ずはTPPへの加盟を阻止するのが先決だ・・・という話になるのでしょうが、だとしたら、ドイツの脱原発は、補償金を払いたくないという理由で軌道修正するんですかね?

 それとも、補償金を支払おうが何だろうが、国民の総意で「脱原発」を貫くんですかね?欧州の金融市場が不安定な現状で・・・ギリシャ、キプロスという謂わば「お荷物」を抱え込んだ状態で、ドイツに補償金を支払う余力が無ければ、まだ原発再稼動の可能性も残されているワケですよ。

 そこで余談ですが、イギリスが「シリアの反体制派」に武器の供給を解禁したということで、いよいよ表立ってシリアの内戦に介入してきたワケですが、その心が、シリアの天然資源の略奪にあるのだとしたら、カネの流れは・・・


シリアの資源略奪→EUの経済損失補填→ドイツの負担金軽減→原発補償金の支払いOK


・・・という流れも考えられ、「風が吹けば・・・」じゃないですが、ドイツが脱原発を成し遂げるには、シリアのアサド政権を打倒しなければならない・・・というシナリオも浮かび上がって来ます。


《櫻井ジャーナル》
シリアへの軍事介入に積極的な姿勢を見せる英国はリビアで数百人規模の地上部隊を投入していたが、体制転覆を実現できないシリアでは苦境に陥っている可能性も
2013.05.27


 ま、これはあくまでも余談なので先に進みますが、TPPに加盟するよりも先に脱原発を明確にしてしまえば、TPPの交渉項目から原発(原子力産業)は、自動的に除外されるワケですよね?

 そうなれば、例えTPPに加盟するような最悪の事態になったとしても、脱原発事業はISD条項に引っかかることなく、日本独自で進めることが可能ですよね?違います?謂わば


フェイルセーフ


・・・の考え方です。

 脱原発も儘ならないうちに、TPPに加盟するような事態になった場合にですよ?日本は二重の負担を背負い込むことになるワケですよね?であれば、


最低でも脱原発


・・・くらいは決めておかないと、福島に続くさらなる「コミュニティーの崩壊」・・・というリスクを、いつまでも拭い去ることはできないワケですよ。

 TPPに加盟しようが、原発を排除し、生活環境を維持し、コミュニティーを存続させることができれば、何とか「横の絆」で凌ぐことも可能ですし、「縦の絆」を引き継ぐことも可能です。

 最悪の事態を想定しつつ、被害を最小限に止めるのが「フェイルセーフ」の考え方であり、この考え方に基づくならば、


先ずは脱原発!


・・・というのがワタシの見解であり、それ故、藤島氏を支持するワケです。

 山本太郎氏も、「フェイルセーフ」について考えて貰えませんかね?今この時点でTPPと脱原発を絡めて主張しても、世論が混乱するだけです。

 簡単に分けると、「TPPは経済問題」、「脱原発は環境問題」であり、人間が安心して暮らすには、おカネ(経済)よりも環境がより重要なワケですよ。しかも、何ですか?中国がTPP加盟をアメリカから持ちかけられたと?


[公式] 天木直人のブログ
中国のTPP参加急浮上の衝撃
2013年06月01日


中国、TPP参加の可能性言及 「自国抜き」けん制
2013/6/1 23:42 情報元 日本経済新聞 電子版


 ま、ワタシは、この報道は先の「沖縄の中国帰属論文」と同じく、


アメリカに利するブラフ


・・・だと思っています。中国がアメリカ主導のTPPに加盟するなど100%考えられず、また、共産党指導部が推し進める経済政策に対する国内の不満がたかまっている中、火に油を注ぐようなTPPに中国が加盟すれば、それこそ大暴動が発生するでしょう。

 この時期に「中国がTPPに加盟云々・・・」というニュースが流れるのは、明らかに参議院選挙に向けた情報戦=陽動作戦と見るのがセロリー・・・もとい、セオリーであり、この・・・「中国TPP参加か?」・・・というブラフには、ふた通りの解釈が考えられます。

 天木氏の言うように、確かに「TPP中国包囲網論」を唱えている推進論者にとっては、「階段を外された」というコトなんでしょうが、TPP反対の大きな理由のひとつである、「インド、中国が加盟しないTPPに意味は無い」・・・という反対論者に対しては、中国の加盟をほのめかすことで、「TPP推進側」に有利な状況を作り出せます。 

 ジッサイ中国がどう考えていようが、このようなニュースを「ほのめかす」ことで、


中国が加盟するんだったらイイか?


・・・と、「心のハードル」を低くする効果があり、従来の「防衛効果」から「経済効果」に論点を移行させるワケです。

 そうした「欲望」をくするぐる洗脳に取り込まれれば、反TPPという選挙争点は、必ずしもひとつにまとまらなくなるでしょうし、それにより票が割れることも予想され、即ち・・・TPPを選挙争点とすることは危険だ・・・と、今ここで述べておきます。

 それよりは「脱原発」で意思統一し、最悪TPPに加盟するような事態になったとしても、「ドイツやスウェーデンの二の舞」にはならないように「予防線」を張っておくことが、


フェイルセーフ


・・・の考え方(最悪の事態を最小の被害に止める)に沿っていると言えるワケです。

 この、フェイルセーフの考え方を無視して存在しているのが「原発」であり、だからこそ、即刻廃炉にしない限り、「コミュニティー」の危機が去ることは無い・・・と、繰り返して述べているワケです。

 もちろん、みなさんが自分の地元(コミュニティー)を大切に思うのであれば・・・という大前提の上での話ですが・・・。






人間ナメんなよ!


でわっ!