政府原案の詳細 全文
第一章 総則
第二章 特定秘密の指定等
第三章 特定秘密の提供
第四章 特定秘密の取扱者の制限
第五章 適性評価
第六章 雑則
第七章 罰則
別表
理由
第五章 適性評価
第十二条 (行政機関の長による適性評価の実施) |
1. | 行政機関の長は、政令で定めるところにより、次に掲げる者について、その者が特定秘密の取扱いの業務をおこなった場合にこれを漏らすおそれがないことについての評価(適性評価)を実施するものとする。 |
一 | 当該行政機関の職員又は当該行政機関との第五条第四項若しくは第八条第一項の契約に基づき特定秘密を保有し、若しくは特定秘密の提供を受ける適合事業者の従業者として特定秘密の取扱いの業務を新たに行うことが見込まれることとなった者 | |
二 | 当該行政機関の職員又は当該行政機関との契約に基づき特定秘密を保有し、若しくは特定秘密の提供を受ける適合事業者の従業者として、特定秘密の取扱いの業務を現に行い、かつ、当該行政機関の長がその者について直近に実施した適性評価に係る次条第一項の規定による通知があった日から5年を経過した日以後特定秘密の取扱いの業務を引き続き行うことが見込まれる者 | |
三 | 当該行政機関の長が直近に実施した適性評価において特定秘密の取扱いの業務を行った場合にこれを漏らすおそれがないと認められた者であって、引き続き当該おそれがないと認めることについて疑いを生じさせる事情があるもの |
2. | 適性評価は、適性評価の対象となる者について、次に掲げる事項についての調査を行い、その結果に基づき実施するものとする。 |
一 | 特定有害活動(公になっていない情報のうちその漏えいが我が国の安全保障に支障を与えるおそれがあるものを取得するための活動、核兵器、軍用の化学製剤若しくは細菌製剤若しくはこれらの散布のための装置若しくはこれらを運搬することができるロケット若しくは無人航空機又はこれらの開発、製造、使用若しくは貯蔵のために用いられるおそれが特に大きいと認められる物を輸出し、又は輸入するための活動その他の活動であって、外国の利益を図る目的で行われ、かつ、我が国及び国民の安全を著しく害し、又は害するおそれのあるものをいう。別表第三号において同じ)及びテロリズム(政治上その他の主義主張に基づき、国家若しくは他人にこれを強要し、又は社会に不安若しくは恐怖を与える目的で人を殺傷し、又は重要な施設その他の物を破壊するための活動をいう。同表第四号において同じ)との関係に関する事項(評価対象者の家族、父母、子及び兄弟姉妹並びにこれらの者以外の配偶者の父母及び子をいう)及び同居人の氏名、生年月日、国籍及び住所を含む) | |
二 | 犯罪及び懲戒の経歴に関する事項 | |
三 | 情報の取扱いに係る非違の経歴に関する事項 | |
四 | 薬物の乱用及び影響に関する事項 | |
五 | 精神疾患に関する事項 | |
六 | 飲酒についての節度に関する事項 | |
七 | 信用状態その他の経済的な状況に関する事項 |
3. | 適性評価は、あらかじめ、政令で定めるところにより、次に掲げる事項を評価対象者に対し告知した上で、その同意を得て実施するものとする。 |
一 | 前項各号に掲げる事項について調査を行う旨 | |
二 | 前項の調査を行うため必要な範囲内において、次項の規定により質問させ、若しくは資料の提出を求めさせ、又は紹介して報告を求めることがある旨 | |
三 | 評価対象者が第一項第三号に掲げる者であるときは、その旨 |
4. | 行政機関の長は、第二項の調査を行うため必要な範囲内において、当該行政機関の職員に評価対象者若しくは評価対象者の知人その他の関係者に質問させ、若しくは評価対象者に対し資料の提出を求めさせ、又は公務所若しくは公私の団体に照会して必要な事項の報告を求めることができる。 |
第十三条 (適性評価の結果等の通知) | |
1. | 行政機関の長は、適性評価を実施したときは、その結果を評価対象者に対し通知するものとする。 |
2. | 行政機関の長は、適合事業者の従業者について適性評価を実施したときはその結果を、当該従業者が前条第三項の同意をしなかったことにより適性評価が実施されなかったときはその旨を、それぞれ当該適合事業者に対し通知するものとする。 |
3. | 前項の規定による通知を受けた適合事業者は、当該評価対象者が当該適合事業者の指揮命令の下に労働する派遣労働者であるときは、当該通知の内容を当該評価対象者を雇用する事業主に対し通知するものとする。 |
4. | 行政機関の長は、第一項の規定により評価対象者に対し特定秘密の取扱いの業務を行った場合にこれを漏らすおそれがないと認められなかった旨を通知するときは、適性評価の円滑な実施の確保を妨げない範囲内において、当該おそれがないと認められなかった理由を通知するものとする。ただし、当該評価対象者があらかじめ当該理由の通知を希望しない旨を申し出た場合は、この限りでない。 |
第十四条 (行政機関の長に対する苦情の申し出等) | |
1. | 評価対象者は、前条第一項の規定により通知された適性評価の結果その他当該評価対象者について実施された適性評価について、書面で、行政機関の長に対し、苦情の申し出をすることができる。 |
2. | 行政機関の長は、前項の苦情の申し出を受けたときは、これを誠実に処理し、処理の結果を苦情の申し出をした者に通知するものとする。 |
3. | 評価対象者は、第一項の苦情の申し出をしたことを理由として、不利益な取扱いを受けない。 |
第十五条 (警察本部長による適性評価の実施等) | |
1. | 警察本部長は、政令で定めるところにより、次に掲げる者について、適性評価を実施するものとする。 |
一 | 当該都道府県警察の職員として特定秘密の取扱いの業務を新たに行うことが見込まれることとなった者 | |
二 | 当該都道府県警察の職員として、特定秘密の取扱いの業務を現に行い、かつ、当該警察本部長がその者について直近に実施した適性評価に係る次項において準用する第十三条第一項の規定による通知があった日から五年を経過した日以後特定秘密の取扱いの業務を引き続き行うことが見込まれる者 | |
三 | 当該警察本部長が直近に実施した適性評価において特定秘密の取扱いの業務を行った場合にこれを漏らすおそれがないと認められた者であって、引き続き当該おそれがないと認めることについて疑いを生じさせる事情があるもの |
2. | 前三条の規定は、前項の規定により警察本部長が実施する適性評価について準用する。この場合において、第十二条第三項第三号中「第一項第三号」とあるのは、「第十五条第一項第三号」と読み替えるものとする。 |
第十六条 | |
1. | 行政機関の長及び警察本部長は、特定秘密の保護以外の目的のために、評価対象者が第十二条第三項の同意をしなかったこと、評価対象者についての適性評価の結果その他適性評価の実施にあたって取得する個人情報を自ら利用し、又は提供してはならない。ただし、適性評価の実施によって、当該個人情報に係る特定の個人が国家公務員法第三十八条各号、同法第七十五条第二項に規定する人事院規則の定める事由、同法第七十八条各号、第七十九条各号若しくは第八十二条第一項各号、検察庁法第二十条各号、外務公務員法第七条第一項に規定する者、自衛隊法第三十八条第一項各号、第四十二条各号、第四十三条各号若しくは第四十六条第一項各号又は地方公務員法第十六条各号、第二十八条第一項各号若しくは第二項各号若しくは第二十九条第一項各号のいずれかに該当する疑いが生じたときは、この限りでない。 |
2. | 適合事業者及び適合事業者の指揮命令の下に労働する派遣労働者を雇用する事業主は、特定秘密の保護以外の目的のために、第十三条第二項又は第三項の規定により通知された内容を自ら利用し、又は提供してはならない。 |
第十七条 (権限又は事務の委任) 行政機関の長は、政令で定めるところにより、この章に定める権限又は事務を当該行政機関の職員に委任することができる。 |
第六章 雑則
第十八条 (関係行政機関の協力) 関係行政機関の長は、特定秘密の指定、適性評価の実施その他この法律の規定により講ずることとされる措置に関し、我が国の安全保障に関する情報のうち特に秘匿することが必要であるものの漏えいを防止するため、相互に協力するものとする。 |
第十九条 (政令への委任) この法律に定めるもののほか、この法律の実施のための手続その他この法律の施行に関し必要な事項は、政令で定める。 |
第二十条 (この法律の解釈適用) この法律の適用に当たっては、報道の自由に十分に配慮するとともに、これを拡張して解釈して、国民の基本的人権を不当に侵害するようなことがあってはならない。 |
第七章 罰則
第二十一条 | |
1. | 特定秘密の取扱いの業務に従事する者がその業務により知得した特定秘密を漏らしたときは、十年以下の懲役に処し、又は情状により十年以下の懲役及び千万円以下の罰金に処する。特定秘密の取扱いの業務に従事しなくなった後においても、同様とする。 |
2. | 第九条又は第十条の規定により提供された特定秘密について、当該提供の目的である業務により当該特定秘密を知得した者がこれを漏らしたときは、五年以下の懲役に処し、又は情状により五年以下の懲役及び五百万円以下の罰金に処する。 |
3. | 前二項の罪の未遂は、罰する。 |
4. | 過失により第一項の罪を犯した者は、二年以下の禁錮又は五十万円以下の罰金に処する。 |
5. | 過失により第二項の罪を犯した者は、一年以下の禁錮又は三十万円以下の罰金に処する。 |
第二十二条 | |
1. | 人を欺き、人に暴行を加え、若しくは人を脅迫する行為により、又は財物の窃取若しくは損壊、施設への侵入、有線電気通信の傍受、不正アクセス行為その他の特定秘密を保有する者の管理を害する行為により、特定秘密を取得した者は、十年以下の懲役に処し、又は情状により十年以下の懲役及び千万円以下の罰金に処する。 |
2. | 前項の罪の未遂は、罰する。 |
3. | 前二項の規定は、刑法その他の罰則の適用を妨げない。 |
第二十三条 | |
1. | 第二十一条第一項又は前条第一項に規定する行為の遂行を共謀し、教唆し、又は扇動した者は、五年以下の懲役に処する。 |
2. | 第二十一条第二項に規定する行為の遂行を共謀し、教唆し、又は扇動した者は、三年以下の懲役に処する。 |
第二十四条 第二十一条第三項若しくは第二十二条第二項の罪を犯した者又は前条の罪を犯した者のうち第二十一条第一項若しくは第二項若しくは第二十二条第一項に規定する行為の遂行を共謀したものが自首したときは、その刑を減軽し、又は免除する。 |
第二十五条 | |
1. | 第二十一条の罪は、日本国外において同条の罪を犯した者にも適用する。 |
2. | 第二十二条及び第二十三条の罪は、刑法第二条の例に従う。 |
別表 (第三条、第五条―第九条関係)
一 | 防衛に関する事項 |
イ | 自衛隊の運用又はこれに関する見積もり若しくは計画若しくは研究 | ||
ロ | 防衛に関し収集した電波情報、画像情報その他の重要な情報 | ||
ハ | ロに掲げる情報の収集整理又はその能力 | ||
ニ | 防衛力の整備に関する見積もり若しくは計画又は研究 | ||
ホ | 武器、弾薬、航空機その他の防衛の用に供する物(船舶を含む)の種類又は数量 | ||
ヘ | 防衛の用に供する通信網の構成又は通信の方法 | ||
ト | 防衛の用に供する暗号 | ||
チ | 武器、弾薬、航空機その他の防衛の用に供する物又はこれらの物の研究開発段階のものの仕様、性能又は使用方法 | ||
リ | 武器、弾薬、航空機その他の防衛の用に供する物又はこれらの物の研究開発段階のものの製作、検査、修理又は試験の方法 | ||
ヌ | 防衛の用に供する施設の設計、性能又は内部の用途 |
二 | 外交に関する事項 |
イ | 安全保障に関する外国の政府又は国際機関との交渉又は協力の方針又は内容 | ||
ロ | 安全保障のために我が国が実施する貨物の輸出若しくは輸入の禁止その他の措置又はその方針 | ||
ハ | 安全保障に関し収集した条約その他の国際約束に基づき保護することが必要な情報その他の重要な情報 | ||
ニ | ハに掲げる情報の収集整理又はその能力 | ||
ホ | 外務省本省と在外公館との間の通信その他の外交の用に供する暗号 |
三 | 特定有害活動の防止に関する事項 |
イ | 特定有害活動による被害の発生若しくは拡大の防止(特定有害活動の防止)のための措置又はこれに関する計画若しくは研究 | ||
ロ | 特定有害活動の防止に関し収集した外国の政府又は国際機関からの情報その他の重要な情報 | ||
ハ | ロに掲げる情報の収集整理又はその能力 | ||
ニ | 特定有害活動の防止の用に供する暗号 |
四 | テロリズムの防止に関する事項 |
イ | テロリズムによる被害の発生若しくは拡大の防止(テロリズムの防止)のための措置又はこれに関する計画若しくは研究 | ||
ロ | テロリズムの防止に関し収集した外国の政府又は国際機関からの情報その他の重要な情報 | ||
ハ | ロに掲げる情報の収集整理又はその能力 | ||
ニ | テロリズムの防止の用に供する暗号 |
理由
国際情勢の複雑化に伴い我が国及び国民の安全の確保に係る情報の重要性が増大するとともに、高度情報通信ネットワーク社会の発展に伴いその漏えいの危険性が懸念される中で、我が国の安全保障に関する情報のうち特に秘匿することが必要なものについて、これを適確に保護する体制を確立した上で収集し、整理し、及び活用することが重要であることに鑑み、当該情報の保護に関し、特定秘密の指定及び取扱者の制限その他の必要な事項を定める必要がある。これが、この法律案を提出する理由である。 |
STOP!秘密保全法 山本太郎
「特定秘密保護法案」にざっと目を通して感じたのは、これは
内部告発防止法案
・・・であるということで、自民党は以前からこの手の法案を可決させたかったようですが、ここにきて例の
スノーデン事件
・・・があって、本腰を入れて来たということなんでしょうか?
で、「秘密」を守るというのは、
人の口に戸は建てられない。
・・・という諺があるくらい、厄介なことなワケです。
そうした厄介なことを無理に(強引に)法案化しようとするから、法案全体を通して「整合性」に欠ける部分が多分に見られます。
誰でもスグ気付くのが、「第五章 適性評価」の下りの、「第十四条 (行政機関の長に対する苦情の申し出等)」の件で、適性評価を受けた人間が、それを実施した行政機関の長に、「書面」で苦情を申し立てられるとしていますが、イッタイ何に対しての苦情なんですかね?
適正評価を受けたくなければ断ることもできるワケですよ、ただし、人物(職員)としてのマイナス評価は付けられるかも知れませんが・・・。
で、そのことによって、職場で差別を受けるようであれば、第十四条三項に従い、苦情を申し立てるという行為に繋がりますが、それで何かが解決するんですかね?
同条第二項で、「苦情を誠実に処理する」とはしていますが、具体的な対応・・・保障・賠償の責任は示されていません。「誠実」な対応とはしていますが、行政機関の長の責任は問われていないワケです。
尚且つ「苦情」にしても、何に対しての苦情なのか?「特定秘密取扱者」に選ばれなかったことに対しての苦情であれば、「特定秘密」を取り扱うという業務に対しての認識不足でしょ?「選ばれなかった」ということにはそれなりの理由があり、業務の特殊性を考えれば黙って決定に従うのがスジであり、
口が軽い人間
・・・と、判断されたことに苦情を申し立ててもねw。
もしくは、身辺調査でボロが出た、プライバシーを侵された、というのであれば、そもそも「適正評価」に同意しなければイイ(第十二条3項)だけの話で、そのことで不利益を被むることのないようにするのが必須であり、「苦情云々・・・」の条文よりも、そっちのほうがよっぽど重要な問題です。
早い話が、「特定秘密保護法案」には稚拙な部分が多々あり、「法律」としての「体」を成していない・・・と言えます。こんな法案を提出するなんて、
恥ずかしくないんですかねwww?
とにかく、条文の引用、関連付けが多岐に渡り、分かりづらい法案です。敢えて分かりづらくしているとしか思えません。はっきり言って、
詐欺師の手口
・・・と瓜二つです。
法体系としてスッキリしていないワケですよ。懲役だの罰金だのって、「刑法」とか「民法」とかの分野のように思うワケですが、「特定秘密保護法案」に規定される「罰則・刑罰」とは、どこにその「根拠」があるんですかね?「特定秘密保護法案」が単独で「刑罰」を規定できるワケですか?
オカシイでしょうよ?
と、いうワケで、「法律」として「体」を成していないというのが、取り敢えずのワタシの見解であり、あとは日本の「法学者」のみなさんがどうご判断されるかですが、その是非はともかく、これが「法」として認められるようであれば、
日本人の理性、知性は地に堕ちた
・・・と考えざるを得ません。
つまり、こんな不細工な法案を国会に提出すること自体が「恥」であり、それを大真面目で論じているのは、
地球は丸いか?平らか?
・・・と、論じ合っているにも等しいワケで、そんな国会議員たちに日本が託されているのかと思うと、暗澹たる心境にもなる、2013年秋、今日この頃・・・。
すべての法は日本国憲法に通ず!
人間ナメんなよ!
でわっ!
追記:
【BLOGOS】特定秘密保護法案を許してはならない