原子力損害賠償支援機構法
第一章 総則
第一条 (目的) | |
原子力損害賠償支援機構は、原子力損害の賠償に関する法律 [*1] 第三条の規定により、原子力事業者 [*2] が賠償の責めに任ずべき額が、賠償法第七条第一項に規定する賠償措置額 [*3] を超える原子力損害 [*4] が生じた場合において、当該原子力事業者が、損害を賠償するために必要な資金の交付その他の業務を行うことにより、原子力損害の賠償の迅速かつ適切な実施及び、電気の安定供給その他の原子炉の運転等 [*5] に係る事業の円滑な運営の確保を図り、もって国民生活の安定向上及び国民経済の健全な発展に資することを目的とする。 |
第二条 (国の責務) | |
国は、これまで原子力政策を推進してきたことに伴う社会的な責任を負っていることに鑑み、原子力損害賠償支援機構が前条の目的を達することができるよう、万全の措置を講ずるものとする。 |
第三条 (法人格) | |
原子力損害賠償支援機構(以下「機構」という。)は、法人とする。 |
第四条 (数) | |
機構は、一を限り、設立されるものとする。 |
第五条 (資本金) | |
1. | 機構の資本金は、その設立に際し、政府及び政府以外の者が出資する額の合計額とする。 |
2. | 機構は、必要があるときは、主務大臣の認可を受けて、その資本金を増加することができる。 |
第六条 (名称) | |
1. | 機構は、その名称中に原子力損害賠償支援機構という文字を用いなければならない。 |
2. | 機構でない者は、その名称中に原子力損害賠償支援機構という文字を用いてはならない。 |
第七条 (登記) | |
1. | 機構は、政令で定めるところにより、登記しなければならない。 |
2. | 前項の規定により登記しなければならない事項は、登記の後でなければ、これをもって第三者に対抗することができない。 |
第八条 (一般社団法人及び一般財団法人に関する法律の準用) | |
一般社団法人及び一般財団法人に関する法律(平成十八年法律第四十八号)第四条及び第七十八条の規定は、機構について準用する。 |
[*1] | 昭和三十六年法律第百四十七号。以下「賠償法」という。 |
[*2] | 第三十八条第一項に規定する原子力事業者をいう。第三十七条において同じ。 |
[*3] | 第四十一条第一項において単に「賠償措置額」という。 |
[*4] | 賠償法第二条第二項に規定する原子力損害をいう。以下同じ。 |
[*5] | 第三十八条第一項に規定する原子炉の運転等をいう。 |
第二章 設立
第九条 (発起人) | |
機構を設立するには、電気事業に関して専門的な知識と経験を有する者三人以上が発起人になることを必要とする。 |
第十条 (定款の作成等) | |
1. | 発起人は、速やかに、機構の定款を作成し、政府以外の者に対し機構に対する出資を募集しなければならない。 |
2. | 前項の定款には、次の事項を記載しなければならない。 一 目的 二 名称 三 事務所の所在地 四 資本金及び出資に関する事項 五 運営委員会に関する事項 六 役員に関する事項 七 業務及びその執行に関する事項 八 財務及び会計に関する事項 九 定款の変更に関する事項 十 公告の方法 |
第十一条 (設立の認可) | |
発起人は、前条第一項の募集が終わったときは、速やかに、定款を主務大臣に提出して、設立の認可を申請しなければならない。 |
第十二条 (事務の引継ぎ) | |
1. | 発起人は、前条の認可を受けたときは、遅滞なく、その事務を機構の理事長となるべき者に引き継がなければならない。 |
2. | 機構の理事長となるべき者は、前項の規定による事務の引継ぎを受けたときは、遅滞なく、政府及び出資の募集に応じた政府以外の者に対し、出資金の払込みを求めなければならない。 |
第十三条 (設立の登記) | |
1. | 機構の理事長となるべき者は、前条第二項の規定による出資金の払込みがあったときは、遅滞なく、政令で定めるところにより、設立の登記をしなければならない。 |
2. | 機構は、設立の登記をすることにより成立する。 |
第三章 運営委員会
第十四条 (設置) | |
機構に、運営委員会を置く。 |
第十五条 (権限) | |
この法律で別に定めるもののほか、次に掲げる事項は、運営委員会の議決を経なければならない。 一 定款の変更 二 業務方法書の作成又は変更 三 予算及び資金計画の作成又は変更 四 決算 五 その他運営委員会が特に必要と認める事項 |
第十六条 (組織) | |
1. | 運営委員会は、委員八人以内並びに機構の理事長及び理事をもって組織する。 |
2. | 運営委員会に委員長一人を置き、委員のうちから、委員の互選によってこれを定める。 |
3. | 委員長は、運営委員会の会務を総理する。 |
4. | 運営委員会は、あらかじめ、委員のうちから、委員長に事故がある場合に委員長の職務を代理する者を定めておかなければならない。 |
第十七条 (委員の任命) | |
委員は、電気事業、経済、金融、法律又は会計に関して専門的な知識と経験を有する者のうちから、機構の理事長が主務大臣の認可を受けて任命する。 |
第十八条 (委員の任期) | |
1. | 委員の任期は、二年とする。ただし、委員が欠けた場合における補欠の委員の任期は、前任者の残任期間とする。 |
2. | 委員は、再任されることができる。 |
第十九条 (委員の解任) | |
機構の理事長は、委員が次の各号のいずれかに該当するに至ったときは、主務大臣の認可を受けて、その委員を解任することができる。 一 破産手続開始の決定を受けたとき。 二 禁錮以上の刑に処せられたとき。 三 心身の故障のため職務を執行することができないと認められるとき。 四 職務上の義務違反があるとき。 |
第二十条 (議決の方法) | |
1. | 運営委員会は、委員長又は第十六条第四項に規定する委員長の職務を代理する者のほか、委員並びに機構の理事長及び理事の過半数が出席しなければ、会議を開き、議決をすることができない。 |
2. | 運営委員会の議事は、出席した委員並びに機構の理事長及び理事の過半数をもって決する。可否同数のときは、委員長が決する。 |
第二十一条 (委員の秘密保持義務) | |
委員は、その職務上知ることのできた秘密を漏らしてはならない。委員がその職を退いた後も、同様とする。 |
第二十二条 (委員の地位) | |
委員は、刑法(明治四十年法律第四十五号)その他の罰則の適用については、法令により公務に従事する職員とみなす。 |
第四章 役員等
第二十三条 (役員) | |
機構に、役員として理事長一人、理事四人以内及び監事一人を置く。 |
第二十四条 (役員の職務及び権限) | |
1. | 理事長は、機構を代表し、その業務を総理する。 |
2. | 理事は、理事長の定めるところにより、機構を代表し、理事長を補佐して機構の業務を掌理し、理事長に事故があるときはその職務を代理し、理事長が欠員のときはその職務を行う。 |
3. | 監事は、機構の業務を監査する。 |
4. | 監事は、監査の結果に基づき、必要があると認めるときは、運営委員会、理事長又は主務大臣に意見を提出することができる。 |
第二十五条 (役員の任命) | |
1. | 理事長及び監事は、主務大臣が任命する。 |
2. | 理事は、理事長が主務大臣の認可を受けて任命する。 |
第二十六条 (役員の任期) | |
1. | 役員の任期は、二年とする。ただし、役員が欠けた場合における補欠の役員の任期は、前任者の残任期間とする。 |
2. | 役員は、再任されることができる。 |
第二十七条 (役員の欠格条項) | |
政府又は地方公共団体の職員(非常勤の者を除く。)は、役員となることができない。 |
第二十八条 (役員の解任) | |
1. | 主務大臣又は理事長は、それぞれその任命に係る役員が前条の規定に該当するに至ったときは、その役員を解任しなければならない。 |
2. | 主務大臣又は理事長は、それぞれその任命に係る役員が第十九条各号のいずれかに該当するに至ったときその他役員たるに適しないと認めるときは、第二十五条の規定の例により、その役員を解任することができる。 |
第二十九条 (役員の兼職禁止) | |
役員(非常勤の者を除く。)は、営利を目的とする団体の役員となり、又は自ら営利事業に従事してはならない。ただし、主務大臣の承認を受けたときは、この限りでない。 |
第三十条 (監事の兼職禁止) | |
監事は、理事長、理事、運営委員会の委員又は機構の職員を兼ねてはならない。 |
第三十一条 (代表権の制限) | |
機構と理事長又は理事との利益が相反する事項については、これらの者は、代表権を有しない。この場合においては、監事が機構を代表する。 |
第三十二条 (代理人の選任) | |
理事長は、機構の職員のうちから、機構の業務の一部に関する一切の裁判上又は裁判外の行為を行う権限を有する代理人を選任することができる。 |
第三十三条 (職員の任命) | |
機構の職員は、理事長が任命する。 |
第三十四条 (役員等の秘密保持義務等) | |
第二十一条及び第二十二条の規定は、役員及び職員について準用する。 |
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