2012年10月18日木曜日

そうめん流しの落とし穴


 現在、「国民の生活が第一」がドイツに、脱原発に向けてのケーススタディとして視察に訪れていますが、ドイツの電力事情も若干日本と似通った面が見受けられます。Wikipediaを参照すると・・・


<引用>

ドイツ

ドイツでは、自由化前、英国やフランスのように国有の独占的な電力会社は存在せず、垂直統合型の8大電力会社を中心に、自治体で運営する中小規模の電気事業者や地域エネルギー供給会社によって、電気の供給が行われてきた。

EU電力指令を受けて1998年にエネルギー事業法が改正されて自由化が行われ、発電部門の参入規制緩和や送電部門の会計・機能分離が行われた。特に小売分野は一挙に全面自由化された。送配電網の利用料金(託送料金)については、当初は他のEU諸国と異なり当事者間の交渉に委ねられた。

ドイツでは規制の実効性が低かったため、既存の事業者が高い託送料金を設定したことが原因で、新規参入者はほぼすべて撤退し、電力価格は2000年には上昇し始めた。また合併・買収が相次ぎ、8大電力体制が4大電力体制に移行し、寡占化が進んだ。そこで市場の競争状態を改善するため、託送料金については2005年から2008年末まで連邦系統規制庁(Bundesnetzagentur)による事前認可が必要となり、2009年からは独占者に価格引下げのインセンティブを与える規制が行われている。また、大手電力会社の送電系統運用部門は別会社化された。

</引用>


 「垂直統合型の8大電力会社」というのがどういう組織体系なのかは不明ですが、日本に置き換えれば北海道電力から沖縄電力までの、各地域の電力会社のような体制ですかね?

 で、1998年(わりと最近)に電力自由化に踏み切ったワケですが、以前にも書いたように電気の供給において「要(かなめ)」になるのは、


発電側よりも送電側


になるワケですよ。

 最終的に各家庭に引き込まれる配電線を押さえているところが一番強いワケで、ドイツの場合、配電網を押さえている既存の電力会社が電気の託送料金を高めに設定したことで、商売にならないと見込んだ小規模発電業者は撤退し、撤退した企業の買収が却って電力市場の寡占化が進むという事態を招いたワケです。

 以上のことは日本が電力自由化に踏み切るときにも十分起こりうる事態なワケで、ドイツではこの事態に対処するために送電部門を電力会社から分離したワケですが、民間企業である限り利益を優先することを考えれば、十分な対策とは思えません。

 送電系統を民間任せにすれば、北米大停電のような事態が起こる可能性が増すように思えるワケで、送電網は道路のような「社会インフラ」であると考えれば、国および自治体が責任を持って管理する「公社化」するのが妥当なように思えます。

 さらに一歩進んで、今後「自家発電」が解禁された場合のことを考えると、今回の「国民の生活が第一」のドイツ視察の目的は「脱原発」に向けたケーススタディであり、太陽光発電、風力発電などの「再生可能エネルギー」への移行を模索する目的もあるワケで、つまり、「発電側」がメインテーマになるということなんでしょう。
 
 ま、ワタシとしては「ガスコンバインドサイクル」の発電設備が一番現実的であり、スグにでも「脱原発」に対応できるのでイイと思うのですが、「燃料コスト」が常に取りざたされるワケです。

 で、太陽光発電をTVコマーシャルなどでガンガン宣伝・推奨しているワケですが、太陽光発電、風力発電などの小口発電(自家発電)を推奨するための「電力買取」にも、チョットした「落とし穴」があるワケです。

 自宅の屋根に取り付けた高額の太陽光発電パネルの「元」を取ろうと「売電」を考える人がほとんどだと思いますが、「売電」するということは、送電線に電気を逆流させるということなワケです。

 「そうめん流し」に例えると、従来は上から流れてくる「そうめん」を各家庭で食べているだけだったのが、自宅で「そうめん」を打つようになったので、余った分を「そうめん流し」に逆流させるようなものです。そうなるとどうなりか?

 「そうめん」の逆流が少しであれば問題ないのですが、たくさんの「そうめん」が逆流するようになると、そうめん流しの「樋(とい)」が詰まり、逆流=売電ができない状態になるワケです。これを専門用語で「同一バンク問題」と言います。



余剰電力があっても売電できない場合があると聞きました。どんな場合でしょうか?
太陽生活ドットコム


 ま、そうしたワケで、太陽光発電が家庭に普及すればするほど、特に都市部などでは「同一バンク問題」は避けて通れなくなり、余剰電力の売電によって太陽光パネルの設置費用を少しでも回収しようと考えている人は、目論見が外れる公算が大なワケです。

 これは風力だろうと水力だろうと全ての余剰電力の買取に関して同じなワケで、自家発電を志す人はまず、「小口の売電」はハナから考えない覚悟が必要かも知れませんし、あとはアレです、「同一バンク」にならない送電技術が開発されるのを待つしかありません。

 以上のような状況を鑑みれば、「再生エネルギー」への移行というものがそう易々と実行できるものではないことが分かりますが、もう一度「原点」に立ち戻ってみると、電力インフラは「発電側」と「送電側」に分けられるコト。原子力発電は「発電側」の問題であるコト。「発電側」が立派でも「送電側」が貧弱では、インフラとしては未熟であるコト。逆に、「送電側」が整備されていれば(例:スマートグリッド)、「発電側」の非力を多少はカバーできるコト。・・・等々があげられます。

 で、話はリトアニアに飛ぶのですが、今回国民投票によって原発建設に60%の国民が反対し、日立の原子炉輸出も先行きが「?」になってきたワケですが、「だったら、ガスコンバインドサイクル発電所を売り込みなさいよ。」と、言いたいワケです。


リトアニア 原発計画当面は推進 第1党の野党党首言明
東京新聞  2012年10月17日 朝刊


 原子力発電所より遥かに安い費用、短い工期で発電所が立ち上がるのは、リトアニアの人たちの望むところでもあるでしょうし、原子力発電所用に見積もった費用の浮いた分を送電網の構築にまわせば、さらに多くのリトアニアの人に喜ばれるんじゃないですかね?


商売人冥利に尽きる!


とは思いませんかね?

 もっとも、リトアニアの政治家も日本の政治家と似たり寄ったりで、


「国民投票は国民の助言であって、命令ではない」


などと世迷言をホザいてますが、リトアニアの憲法には日本国憲法と違い、


主権在民


が明確にされていないのでしょう。「主権在民」であれば国民投票の結果は、ほぼ、「国民の命令」に等しいハズですから。

 ま、それはソレとして、ロシアから購入している天然ガスのコストが経済の足を引っ張るのであれば、例の?「オオマサガス」を天然ガスにブレンドして使用すれば購入量は半分になるワケですよね?


OHMASA-GAS成分解明




 ま、この「50/50」のブレンドガスで、日立のガスコンバインドサイクルタービンを回せる保障はワタシにはできませんが、実験してみる価値はあるんじゃないですがね?また日立なら、「オオマサガス」対応のガスタービンすら開発できると信じてますケド・・・。日立でダメなら石川島とか・・・?どうですかね?

 いずれにせよ「金儲け」だけでなく、商品を売った後も感謝されるような「商売」をしなければ、特にこれからのグローバルな世界・・・すなわち、良い情報も悪い情報も、瞬時に世界中に広がる時代には生き残れないんじゃないですかね?

 「遠くの国」という概念はますます薄れ、中東で起きている出来事であろうと、リアルタイムで状況を知ることが可能になっている、そんな時代にワタシたちは生きているワケですから。


シリアに平和を!アラブに平和を!



人間ナメんなよ!


でわっ!