2013年12月11日水曜日

「ツワネ原則」 第三章 A・B

  
「国家安全保障と情報への権利に関する国際原則(英語:Global Principles On National Security And The Right To Information)」

通称: ツワネ原則

日本語訳:日本弁護士連合会

※未定訳※一部字句修正等を行う可能性があります。




第3章 A:情報の機密指定及び機密解除に関する規則

原則 11:情報を機密指定する理由を述べる義務
(a)国家が機密指定の公式のプロセスを有しているいないに関わらず、公権力は、情報を機密指定する理由を述べる義務がある。
注記:「機密指定」とは、注意を要する情報が含まれる記録が検討され、その上で誰がアクセスしてよいのか、いかにして記録が扱われるべきかを指示する印が与えられるプロセスのことである。恣意性と過剰な情報秘匿を減らすために、情報の機密指定に関する公式のシステムを構築することは優れた実践である。
(b)機密指定の根拠として、その情報が属する、原則9でリスト化されたカテゴリーのいずれかに対応した、情報の厳密な分類を示すべきであり、また、開示することによって生じうる損害を、その深刻さの程度、それが起こりうる可能性を含めて、記述しなくてはならない。
(c)機密のレベル設定をする場合は、レベルの決定を正当化する上で想定された損害の程度とそれが起こりうる可能性に釣りあうものであるべきである。
(d)情報が機密扱いにされるとき、(i)機密のレベル(設定されている場合)と機密扱いの最長期間を示す保護的な印と 、(ii)そのレベルと期間を定める必要性を正当化する文言を記録に添付すべきである。
注記:各情報の機密指定の決定理由を述べる文言を添付することが推奨されるのは、開示した結果起こり得る具体的な損害に公務員の注意を向けるためである。パラグラフごとに印を付けることで、文書中の機密でない部分を開示する際により整合性を保つことができる。



原則 12:機密指定の規則へのパブリック・アクセス
(a)公衆は、機密指定を規定する手続きと基準について、それらが効力を発する前に意見を述べる機会を有するべきである。
(b)公衆は、機密指定を定める手続きと基準に関する文書へのアクセスを有するべきである。



原則 13:機密指定の権限
(a)法によって定義される、特別に権限が与えられ指名された公務員だけが、情報を機密扱いにすることができる。指名されていない公務員が、情報が機密扱いにされるべきだと考えた場合、使命された公務員が機密指定の提案を検討するまでの短期間の明確化された期間、機密扱いとみなされ得る。
注記:機密指定の権限を定める法規定がない場合、少なくとも委任権限を規則で明確化することは優れた実践である。
(b)機密扱いの決定について責任のある者を特定する情報は、それを秘匿するやむをえない理由が存在しない限り、 説明責任を確保するために、特定可能であり、書面で示されねばならない。
(c)法に基づき指名されたこれらの公務員は、一次機密指定権限を、行政上効率的な最少人数の上級職員に割りふるべきである。
注記:機密指定の権限をもつ者の数に関する情報、そして機密情報にアクセスする権限をもつ者の数に関する情報を公開することは良い取り組みである。



原則 14:機密指定に対する内部での異議申立を促進する

 安全保障部門に所属する者を含め、情報が不適切に機密指定されていると考える公務関係者は、情報の機密指定に異議を唱えることができる。
注記:安全保障機関には強い秘密主義の風潮があり、またほとんどの国では、治安職員からの異議申し立てを受理する独立した機関が設置又は指定されておらず、治安関連の情報の暴露は、その他の情報の暴露に比べて厳しい処罰が科されることが多いということを考えれば、安全保障機関の職員は機密指定に異議を唱えるよう特に強く奨励されることが望ましい。



原則 15:国家安全保障に関する情報を保管し、管理し、維持する義務
(a)公権力は、国際基準1.に準じて、情報を保管、管理、維持する義務を有する。情報は、法に基づいてのみ、保有、管理、維持の対象から除外される。
(b)情報は適切に維持されるべきである。分類整理のシステムは整合的で、(合法的に機密扱いとなった情報が漏れることがない形で)透明且つ包括的で、アクセスへの具体的な請求があった場合に、開示されていない情報であってもすべての関連情報の所在が特定できるべきである。
1.これには以下が含まれる:国際公文書協議会(ICA)『公文書へのアクセスの原則』(2012年)、ICA『世界アーカイブ宣言』(2010:ユネスコ承認)、欧州評議会『公文書へのアクセスに関する欧州の政策に関する勧告R(2000)13』(2000年)、アントニオ・ゴンザレス・クィンタナ、ICA『人権保護における公文書のポリシー』かつての抑圧的な政権における国家安全保障機関の公文書管理(2009年)に関するユネスコと国際公文書協議会作成によるレポートの最新完全版(1995年)
(c)各々の公的機関は、保有する機密記録の、詳細で正確なリストを作成し、公開し、定期的に検討し、更新すべきである。ただしその存在自体が、原則19に基づき合法的に秘匿されているような例外的な文書があればそれを除く。
注記:これらのリストは1年ごとに更新されることが望ましい。



原則 16:機密扱いの期間の期限
(a)情報は国家安全保障上の理由によって秘匿され得るが、正当な国家安全保障上の利益を保護するために必要な限りにおいてのみである。情報を秘匿する決定は、本原則の遵守を確保するために、定期的に見直されるべきである。
注記:法令によって、少なくとも5年ごとの見直しを義務付けることが望ましい。より短い期間での見直しを義務付けている国もある。
(b)機密指定を決定する者は、機密扱いが失効する日付、条件、又は出来事について明記するべきである。
注記:機密扱いが失効する期限、又は条件や出来事の詳細は、定期的に見直されることが望ましい。
(c)無期限に機密扱いにしてもよい情報はない。国家安全保障を理由にした機密扱いの想定される最大期限は、法によって定めら れるべきである。
(d)情報は、例外的な状況においてのみ想定された期限を越えて秘匿され得るが、それは異なる意思決定者によって、期限を修正されて設定され、あらためて秘匿決定がさなれることによる。



原則 17:機密指定解除の手続き
(a)機密指定解除の指針を確立し定期的に更新することを含め、政府が機密指定解除の作業を調整し、監視し、履行する責任を国内法に明記すべきである。
(b)公益性をもつ機密指定された情報を優先的に機密指定解除するための手続きは、適切に定められるべきである。原則10のリストのカテゴリーに分類されるような情報を含む、公益性のある情報が、例外的な重要性のために機密扱いにされている場合、それはできる限り迅速に機密解除されるべきである。
(c)国内法で、総括的な(一括、及び/又はサンプリングによる)機密解除のための手続きを制定するべきである。
(d)それぞれのカテゴリーの機密指定情報について、自動的な機密解除期限を国内法で定めるべきである。機密解除の負担を最小限にするために、可能な場合はいつでも、記録は再検討なしに自動的に機密指定解除されるべきである。
(e)文書の機密解除請求について、アクセス可能な公的手続を国内法で定めるべきである。
(f)裁判所、法廷、その他の監督機関、オンブズマン、申立機関によって機密指定が解除されたものも含め、機密指定が解除された文書は積極的に公開するか、さもなければ公的にアクセス可能にするべきである(例えば、国の公文書保管所や情報へのアクセスに関する法律と整合性をとるなど)。
注記:この原則は、前文パラグラフ15に示される、情報秘匿のための他の理由を考慮するという但し書きを損なわない。
注記:以下は、推奨される追加的な実践である。
機密指定解除手続における新たな技術の利用を定期的に検討する。及び、
自動的且つ総括的なものを含め、機密指定解除の優先順位を確立するプロセスに関する専門知識を持つ者との定期的な協議を行う。




第3章 B:情報請求の扱いについての規則

原則 18:情報が機密扱いになっていたとしても、請求を検討する義務

 情報が機密扱いになっているという事実は、情報公開の請求にどう対応するかという際に、決定的なことではない。むしろ情報をもつ公的機関は、本原則に従い、請求について検討するべきである。



原則 19:承認又は否認する義務
(a)情報請求を受けたときは、公的機関は、請求されている情報を保有しているかどうかについて、承認又は否認しなければならない。
(b)特別な状況において、特定の情報の存在・不在自体が機密扱いにされている可能性を、司法権原則3に基づいて認めるとき、特定の請求への回答において情報の存在を承認又は否認することを拒否する場合には、いかなる場合でも、国内法又は規定によって示される、そのような例外的な措置を必要とするような特定の情報のカテゴリーに危害がもたらされるリスクがあることを説明しなければならない。



原則 20:拒否の理由を書面で述べる義務
(a)公的機関が、情報の全体あるいは一部に対する請求を拒否する時は、その具体的な理由を、原則3及び9に則り、情報請求への対応に関する法律に定められた期間内に、書面で明らかにしなければならない。
注記:回答がなされなければならない期限については法に明記されなければならないとする要件については、原則25を参照。
(b)当局はまた、請求者に、そうすることそれ自体が機密情報を開示しない限り、非開示の権限を与えられている公務員及びそのプロセスに関して十分な情報を提供すべきである。また、当局の法律遵守について審査するための異議申立方法についても十分な情報を提供すべきである。



原則 21:遺失した情報を回復又は再構築する義務
(a)公的機関が請求者に回答する情報の所在を示すことができず、且つ、その情報を含む記録が、保管され、収集され、あるいは作られているはずである場合、当該公的機関は請求者に対する将来的開示可能性のために、遺失した情報を回復又は再構築するための合理的な努力をしなければならない。
注記:その情報がこれまで収集されたことがない、処分されてしまった、追跡不可能であるといったような、どんな理由であろうとも、この原則は、所在が明らかにできない情報に適応される。
(b)公的機関の代表者は、その手順が司法の審理の対象となり得るような方法で、情報を回復又は再構築するために行われている手続きのすべてを、誓約の上で、合理的且つ法で定められた時間内に示すことを義務付けられるべきである。
注記:保管されることが法によって義務付けられている情報が見つからないとき、この件は警察又は行政機関に調査を付託されるべきである。調査の結果は公開されるべきである。
(c)以下の場合、遺失した情報を回復・再構築する義務の程度は特に強い。すなわち、(i)その情報が深刻又は組織的な人権侵害の申立に関わる時、及び/又は(ii)広範な人権侵害によって特徴づけられる政府から、民主的な形態の政府への移行の期間にある時。



原則 22:文書の一部を開示する義務

 公開の免除は、特定の情報に対して適用されるのであり、文書全体その他の記録の全体に対してではない。制限の妥当性が説明されている特定の情報(「免除情報」)のみが秘匿され得る。ある記録に免除される情報とそうでない情報がともに含まれる場合、 公権力は、免除されていない情報を切り離して公開する義務がある。



原則 23:秘匿された情報を特定する義務

 公開することを拒否した情報を保有する公的機関は、そのような情報をできるだけ詳しく特定すべきである。少なくとも当該公的機関は、例えばページ数を概算するなどして公開を拒んだ情報の量について公開すべきである。



原則 24:入手可能な形式によって情報を提供する義務

 公権力は可能な限り、請求者の求める形式で情報を提供すべきである。
注記:このことは、例えば公権力が、障害をもつ人々に対して、アクセスできる形式や技術で、速やかに、費用を上乗せすることなく、国連の障害者権利条約に従って、情報を提供する適切な手段を講じる義務を含む。



原則 25:情報請求に対する回答の期限
(a)状況、内部検討、利用可能な場合は独立機関の決定、司法の審理を含め、請求に対する回答期限は、法によって制定されなければならず、実行し得る限り短期間でなければならない。
注記:ほとんどの情報アクセス方に定められている要件を踏まえて、実質的な回答が提示されなければならない期限は20営業日以内とするのが最も適切であると考えられる。請求に対する回答期限が法に定められていない場合、通常の請求に対する期限は30日を超えるべきではない。文書の量、複雑さの程度、慎重に取り扱う度合いに応じて、異なる期限を定め得る。
(b)その情報が人の命や自由を守るために必要である場合など、緊急性に基づく情報の必要が立証される場合、期限の短縮が適用されるべきである。



原則 26:情報の秘匿の決定を審査する権利
(a)請求者は、情報開示の拒否若しくは請求に関する事柄について、独立機関による迅速且つ低費用の審査の権利をもつ。
注記:拒否には、黙殺によるものも含まれる。独立機関による審査の対象となる事柄には、費用、迅速性、形式も含まれる。
(b)独立機関は、たとえ秘匿情報であっても、すべての関連情報への十分なアクセスを含む、実効的な審査に必要な資格と資源を有するべきである。
(c)人は、あらゆる関連問題について、権限のある裁判所や法廷による独立した有効な審査を実施させる資格を有するべきである。
(d)裁判所が情報非開示を承認する判決を出す場合、裁判所は、特殊な状況を除き、原則3に則り、事実に即した根拠及び法的分析を書面で公的に入手できるようにするべきである。




【宮内庁】皇后陛下お誕生日に際し(平成25年)




皇后陛下お誕生日に際してのご近影


「5月の憲法記念日をはさみ,今年は憲法をめぐり,例年に増して盛んな論議が取り交わされていたように感じます。主に新聞紙上でこうした論議に触れながら,かつて,あきる野市の五日市を訪れた時,郷土館で見せて頂いた「五日市憲法草案」のことをしきりに思い出しておりました。明治憲法の公布(明治22年)に先立ち,地域の小学校の教員,地主や農民が,寄り合い,討議を重ねて書き上げた民間の憲法草案で,基本的人権の尊重や教育の自由の保障及び教育を受ける義務,法の下の平等,更に言論の自由,信教の自由など,204条が書かれており,地方自治権等についても記されています。当時これに類する民間の憲法草案が,日本各地の少なくとも40数か所で作られていたと聞きましたが,近代日本の黎明期に生きた人々の,政治参加への強い意欲や,自国の未来にかけた熱い願いに触れ,深い感銘を覚えたことでした。長い鎖国を経た19世紀末の日本で,市井の人々の間に既に育っていた民権意識を記録するものとして,世界でも珍しい文化遺産ではないかと思います。」








人間ナメんなよ!


でわっ!