2013年6月30日日曜日

国民の資産

  
 参議院にて安倍(歪)首相の問責決議が可決されたことにより、「電気事業法の一部を改正する法律案」が廃案になったと騒いでいる人たちが見受けられますが、そもそも、経済産業省>資源エネルギー庁にて作成されたこの「改正案」が、本当に「改正」なのか?・・・と、検証してみる必要があります。もしかしたら「改悪」かも知れませんからね?

 まず、今回の改正の目的は以下の3点にあります。


(1) 安定供給の確保

(2) 電気料金の最大限の抑制

(3) 需要家の選択肢や事業者の事業機会の拡大


 そしてこれらの達成のために、以下の改革を行うとしています。


① 広域系統運用の拡大

② 小売及び発電の全面自由化

③ 法的分離の方式による送配電部門の中立性の一層の確保


 具体的な法律案の概要は以下の通りです。


本則関係

(1)広域的運営の推進

  ① 「広域的運営推進機関」の創設

  ② 経済産業大臣による供給命令の見直し

(2)自己託送制度の見直し

(3)電気の使用制限命令に係る制度の見直し


附則関係

(4)電力システム改革の段階的な実施に関するプログラム規定の整備

① 改革方針を踏まえ、第2段階と第3段階の法案提出時期と実施時期を規定。各段階において課題克服のための十分な検証を行い、その結果を踏まえた必要な措置を講じながら改革を行う。

1)電気の小売業への参入の全面自由化(第2段階)を、平成28年(2016年)を目途に実施するものとし、このために必要な法律案を平成26年(2014年)の通常国会に提出すること。

2)法的分離による送配電部門の中立性の一層の確保及び電気の小売料金の全面自由化(第3段階)を、平成30年(2018年)から平成32年(2020年)までの間を目途に実施するものとし、このために必要な法律案を、平成27年(2015年)の通常国会に提出することを目指すものとすること。

② 改革方針に記載された、資金調達に支障を生じないようにするための措置や安定供給確保の方策等についての留意事項等を規定。


 で、(1)広域的運営の推進における「広域的運営推進機関」ですが、これを「民間の組織」にするとしています。謂わば既存の発電業者の「集合体」であり、思うに、また「新しい利権」の巣窟になりそうですなw。


広域的運営推進機関の主な業務

➊需給計画・系統計画を取りまとめ、周波数変換設備、地域間連系線等の送電インフラの増強や区域(エリア)を超えた全国大での系統運用等を図る。

➋平常時において、各区域(エリア)の送配電事業者による需給バランス・周波数調整に関し、広域的な運用の調整を行う。

➌災害等による需給ひっ迫時において、電源の焚き増しや電力融通を指示することで、需給調整を行う。

➍中立的に新規電源の接続の受付や系統情報の公開に係る業務を行う。


 ② 経済産業大臣による供給命令の見直し・・・にしても、現状ですら「災害その他非常の場合」には、経済産業大臣の供給命令が発動されますが、であれば、東日本大震災および福島原発事故後の「計画停電」とは、イッタイ何であったのか?

 要は、経済産業大臣が供給命令を発動したところで、発電量が足りなければ何の意味も無いワケで、それを「災害その他非常の場合」という現状から「電気の安定供給の確保に支障が生じ、又は生ずるおそれがある場合」に拡充したとて、


何の意味があんの?


 次に、(2)自己託送制度の見直し・・・ですが、既存の送電網を新規の発電業者に開放せよという話なワケで、それはそれで結構な話なワケですが、当然タダという話にはなりません。

 ドイツの例でも、新規の発電業者が市場に参入したものの、既存の業者が囲い込んだ送電網の利用料金が高過ぎ、結局、価格競争で勝ち残れず大手電力会社に吸収されてしまった・・・という経緯があり、要注意が必要です。

 そして、(3)電気の使用制限命令に係る制度の見直し・・・ですが、そもそも、「使用制限命令」なるものが存在すること自体が不思議ちゃんです。なぜなら、「じゃあ、電気は誰のものなのよ?」・・・という話になるワケで・・・。

 つまり、発電能力は各電力会社自らが熟知しており、大口の顧客に対しての電力供給が可能であるかどうかの見極めと、他の顧客に対しての送電の配分も、各電力会社がリアルタイムでモニターしながら把握しているワケで、なぜそこに門外漢である「経済産業大臣」が口を挟んでくるのか?


嫌がらせとしか思えない


・・・ワケですが、その「嫌がらせの権限」を強めようとでもしてるんですかね?

 附則関係については経済産業省のPDFファイルでご確認ください。


経済産業省

電気事業法の一部を改正する法律案の概要



発送電分離法案の廃案と報道を失った国民

「tdyno.283-(8:06).mp3」をダウンロード


 で、ワタシの見解を述べるならば、この法案が廃案になったとて、


何の問題も無い


・・・と、言えます。

 いいですか?「電気事業法」とは・・・というか、今回の改正?法案に限って言えば、「末端の話」に過ぎないワケでしょ?今議論される必要があるのは、


どうやって電気を作るか?


・・・な、ワケですよ。逆に、「電気事業法」が優先されて「発電方法」が制限されるような状態が可笑しいワケで、「川の上流」から物事を考えるのが、まっとうな現代人の思考だろうと思うワケです。


原子力発電に代わる発電方法


・・・という、国民的なコンセンサスが成立して、「じゃ、自然エネルギーを利用しよう。」とか、「バイオマスを利用しよう。」とか、「ガスコンバインドタービン発電機が優れている。」とか、「新しい発電方法があるよ?」とか、そうしたアイデアを統合した上で、


じゃあ、どうやって供給しましょうか?


・・・という段になった時に、「電気事業法」の根本的な改正が求められるワケですよ。


常温下の安定化に新技術 水素発電へ、千代田化工建設がデモプラント開設 (1/2ページ)
サンケイビズ 2013.6.29 08:00

・・・プラント建設大手の千代田化工建設は大量の水素を安全に貯蔵、輸送し、エネルギーとして利用できる技術を実用化した。技術的には世界初の水素発電所への応用も可能になった。・・・

・・・新技術開発により、大量の水素利用に際しても特別な設備を作ることなく、既存の石油タンクなど低コストでの運用が可能になり、実用化にめどがついた。・・・

・・・ 千代田化工の新システムも家庭用燃料電池の大型化に貢献するほか、燃料電池車を開発する自動車メーカーへの技術供与を検討している。・・・



千代田化工建設が開設した水素供給システムのデモプラント=横浜市神奈川区(同社提供)



Fuel cell Car by Honda



HONDA FCX CLARITY


 で、ワタシ個人の見解としては、電気と水は「健康で文化的な最低限度の生活」を営む上で不可欠の生活インフラであり、これらを安全に、安定的に供給することは・・・


「国の責務」である


・・・というものです。


日本国憲法

第二十五条

第1項 すべて国民は、健康で文化的な最低限度の生活を営む権利を有する。

第2項 国は、すべての生活部面について、社会福祉、社会保障及び公衆衛生の向上及び増進に努めなければならない。


 しかがって、餓死者が出るなんてあってはならない事なのです。

 電気、水道は生活の根幹であり、国が責任を持って行う事業に他なりません。少なくとも一般家庭向けには、生活インフラとして国が保障すべき事業であり、商業向け、工業向けの電力/水道の供給とは一線を画する「国営事業」とする。・・・というのが、ワタシの見解です。

 加えて、キューバのように「医療費が無料」であったり、フランスのように大学までの「学費が無料」であれば言うことは無いワケですが、ま、取り敢えずは電気/水道の国営化が先決です。





人間ナメんなよ!


でわっ!