2012年12月12日水曜日
自民党・・・終わったな・・・
憲法の前文は、憲法の精神・・・人間に例えるならば「人格」を表すものであり、「人格」が疑わしき人間の言葉が当てにならないように、憲法の骨格=前文が、憲法の精神性を表していると言えます。
そのことを踏まえた上で、自民党の憲法改正案と、現行憲法の前文とを比較してみるに・・・
自民党憲法改正案草案
前文
日本国民は、自らの意思と決意に基づき、主権者として、ここに新しい憲法を制定する。
象徴天皇制は、これを維持する。また、国民主権と民主主義、自由主義と基本的人権の尊重及び平和主義と国際協調主義の基本原則は、不変の価値として継承する。
日本国民は、帰属する国や社会を愛情と責任感と気概をもって自ら支え守る責務を共有し、自由かつ公正で活力ある社会の発展と国民福祉の充実を図り、教育の振興と文化の創造及び地方自治の発展を重視する。
日本国民は、正義と秩序を基調とする国際平和を誠実に願い、他国とともにその実現のため、協力し合う。国際社会において、価値観の多様性を認めつつ、圧政や人権侵害を根絶させるため、不断の努力を行う。
日本国民は、自然との共生を信条に、自国のみならずかけがえのない地球の環境を守るため、力を尽くす。
現行憲法
前文
日本国民は、正当に選挙された国会における代表者を通じて行動し、われらとわれらの子孫のために、諸国民との協和による成果と、わが国全土にわたつて自由のもたらす恵沢を確保し、政府の行為によつて再び戦争の惨禍が起ることのないやうにすることを決意し、ここに主権が国民に存することを宣言し、この憲法を確定する。
そもそも国政は、国民の厳粛な信託によるものであつて、その権威は国民に由来し、その権力は国民の代表者がこれを行使し、その福利は国民がこれを享受する。これは人類普遍の原理であり、この憲法は、かかる原理に基くものである。
われらは、これに反する一切の憲法、法令及び詔勅を排除する。
日本国民は、恒久の平和を念願し、人間相互の関係を支配する崇高な理想を深く自覚するのであつて、平和を愛する諸国民の公正と信義に信頼して、われらの安全と生存を保持しようと決意した。
われらは、平和を維持し、専制と隷従、圧迫と偏狭を地上から永遠に除去しようと努めてゐる国際社会において、名誉ある地位を占めたいと思ふ。
われらは、全世界の国民が、ひとしく恐怖と欠乏から免かれ、平和のうちに生存する権利を有することを確認する。
われらは、いづれの国家も、自国のことのみに専念して他国を無視してはならないのであつて、政治道徳の法則は、普遍的なものであり、この法則に従ふことは、自国の主権を維持し、他国と対等関係に立たうとする各国の責務であると信ずる。
日本国民は、国家の名誉にかけ、全力をあげてこの崇高な理想と目的を達成することを誓ふ。
・・・と、いうワケで、まず、憲法制定への「決意」の表明・・・つまり、何故この憲法を制定するのかという「動機」が不明瞭なワケですよ。自民党案わ。
現行憲法では明確に、「子孫のために」、「自由のために」、「政府の行為によって戦争が起きないために」、そして、「主権を国民のものとするために」、正当に選挙によって選出された「代表者」を通して行動するノダ!・・・と、宣言しているワケです。
それに比べて、自民党案の憲法制定の「動機」づけの、何と貧弱なこと・・・。
ま、小学生の作文以下ですな。
まあ、「草案」ですから?重箱の隅をつつくような真似をしても詮無きことかも知れませんが、「国民主権と民主主義、自由主義と基本的人権の尊重及び平和主義と国際協調主義の基本原則は、不変の価値として継承する。」・・・などと、現行憲法が「不変の価値」などという表現で「抽象化」されるのは由々しきことです。
例え草案であろうと、現行憲法の精神を継承するする意思があるのなら、その旨を明文化しなければまりません。でないと現行憲法の精神を勝手に誇大解釈され、「非」を「是」と言い出しかねません。
また、自民党案では、国家、社会に対する帰属精神を重視し、「個」よりも「公」を上位に置いています。これは現行憲法の、
政府の行為によって、
戦争が起きないようにするため。
・・・という、前文の宣言内容と真っ向から対立する一文です。
国際社会における日本のスタンスにしても、現行憲法では日本の立ち居地を明文化しています。曰く、
平和を維持し、専制と隷従、圧迫と偏狭を地上から永遠に除去しようと努めてゐる国際社会において、名誉ある地位を占めたいと思ふ。
そして、
われらは、全世界の国民が、ひとしく恐怖と欠乏から免かれ、平和のうちに生存する権利を有することを確認する。
・・・という部分であり、尚且つそのためには国際社会、そして日本はどうするのかと続きます。
われらは、いづれの国家も、自国のことのみに専念して他国を無視してはならないのであつて、政治道徳の法則は、普遍的なものであり、この法則に従ふことは、自国の主権を維持し、他国と対等関係に立たうとする各国の責務であると信ずる。
つまり、国際社会全般を見渡して、相互の国が平等な権利を有し、「自国のことのみ」に専念してはならないというワケです。
そして、その実現に向かう前提として、
専制と隷従、圧迫と偏狭を地上から永遠に除去しようと努めてゐる国際社会
・・・の存在が不可欠であるワケで、自民党案のいうところの、
他国とともにその実現のため、
協力し合う。
・・・などという「薄っぺら」な一文とは、「重さ」が違うワケですよ。
重さがっ!
だいたい、「他国とともに」って何なんですかね?ワタシには、「他国」が「アメリカ」に見えてしょうがないんですケドね?
極めつけは最後の、
日本国民は、自然との共生を信条に、自国のみならずかけがえのない地球の環境を守るため、力を尽くす。
・・・orz
地球の環境を守るために力を尽くすwww?!
日本人が、地球の環境を守るために力を尽くすワケですか?つまり、地球環境を守るために、日本人は犠牲になろうとでも言うワケですか?地球を守るために、
ウルトラマン
・・・にでもなろうとでも言うワケですか?この期に及んではもう・・・
支離滅裂
・・・という言葉しか頭に浮かびませんわ。
つまり、自民党の憲法改正案草案は、憲法の制定精神=前文からしてデタラメなワケで、その本文について論評するのも馬鹿馬鹿しいというか、時間の無駄としか言いようがありません。
ま、自民党の議員さんは、「五日市憲法」でも読み込んで、
顔を洗って出直して来い!
・・・と、いったトコロですなw、多摩出身のワタシとしてわ。
ま、図らずも、自らの思慮の浅薄さを世間に公表してしまった自民党の「自爆」といった様相ですな。
恥ずかしwww!
ちなみにワタシ、「憲法学者」でもなんでもない一介の市民(浪人)ですが、ワタシのような・・・もとい、それ以上の知識、理性を兼ね備えた「大衆」は日本中にゴロゴロいるワケで、それでも
大衆は愚かだ
・・・と、言い続けるつもりですかね?インテリ、エリートを自称するみなさんわ?
最後になりますが、現行憲法がスゴイのは、
われらは、これに反する一切の憲法、法令及び詔勅を排除する。
・・・と、サクッと流されそうな一文ですが、要は、「人類普遍の原理」の方が「憲法」より上位にあると言っているワケで、徹底して「人間重視」の精神に貫かれている部分にあり、実は・・・
日本国憲法ってスゲwんだぞっ!
・・・と。
憲法ナメんなよ!
でわっ!