2013年9月3日火曜日

カネの流れを追え!

  
 「軍需産業」ってくらいで、軍備には「お金」が掛かるワケです。ミサイル、オスプレー、小火器、人件費・・・等々。

 で、誰がその「お金」を出すの?・・・となると、国民の税金から捻出されるワケですよね?一生懸命汗水流して働いて、貴重な時間を費やして、その結果が、一機ン百億円というオスプレーに化けたり、一発ン億円のミサイルで、一瞬にして消えてしまうワケです。

 ミサイルが消えてしまうだけならまだしも、「人の命」も消えてしまうワケですから、いただけません。「労働」して「税金」を収めることは「罪深い」ことのようにすら思えてしまいます。

 アメリカがシリアに軍事介入することについての、アメリカ国内の世論調査結果は、賛成25%、反対46%、だということです。


【ANN】シリア紛争に自国が関わることに抵抗感 米世論調査
(08/28 09:49)

シリアの内戦で化学兵器が使用された疑いからアメリカやイギリスなどがシリア政府軍への武力行使を検討していますが、アメリカの世論調査では半数近くが反対していることが分かりました。

ロイター通信などが19日から23日にアメリカ国民1448人を対象にオンラインで行った世論調査によりますと、アサド政権が市民に化学兵器を使用していた場合、アメリカが介入することに反対と答えた人は46%に上りました。介入に賛成した人は25%でした。

また、オバマ政権が先月、反政府勢力に武器の供与を決定したことについても、賛成27%に対して反対47%となり、シリアの紛争にアメリカが関わることへの抵抗感がうかがえます。

ワシントン・ポスト紙は「短期間の限定的なものであっても、攻撃が実施された場合は、オバマ政権のこれまでの政策が疑問視され、アメリカ国内のリベラル層から大きな怒りを買うだろう」と指摘しています。

また、イラク戦争のような泥沼化が繰り返される懸念もあり、ある国連関係者からは「シリア政府軍が国連の査察チームが調査している時に化学兵器を使ったというアメリカの説明には違和感がある」と話しています。

ニューヨーク株式市場のダウ工業平均は27日、シリアへの攻撃をリスクととらえる動きから170ドル値下がりしました。ニューヨークの原油先物相場は109ドル台と大幅に上昇し、1年半ぶりの水準で取引を終えました。


 で、このニュースを見て、「アレ?」・・・と、思ったワケです。


【NWJ】米軍史上、最も不人気な戦争が始まる?
2013年8月27日(火)16時32分

(前略)

 だが、アメリカ国民の反応は冷ややかだ。ロイターと世論調査会社Ipsosが行った調査によれば、シリア介入に賛成する国民は9%で、反対は60%にも上った。世論の反対は強く、この数字が劇的に変わりでもしなければ米軍は、かつてないほど国民の支持が得られない戦争に突入することになる。

(後略)


 「NewsWeekJapan」の記事では、軍事介入賛成が9%なのに対して、「ANN(朝日)」のニュースでは、賛成が25%・・・。


3倍近く違うって、ドユコト?


 しかもソースは同じ「ロイター」なワケだし、ニュースの日付を見ても一日違いということは、同じ調査結果を叩き台にして別な結果を報道している・・・と、いうことになります。

 実は「世論調査」にはよくある手法で、「YES/NO」だけの選択肢ではなく、「どちらかちいえば云々・・・」といった、


グレーゾーン


・・・の回答を操作することで、同じ調査結果から内容の異なる報道をし、都合のイイように世論を偏向するワケです。

 その点で観れば、「NWJ」の記事がアメリカの軍事介入に対して否定的な観方をしているのに対して、ANN=朝日の報道は、アメリカの軍事介入に対して「甘い」・・・というか、軍事介入を後押しするかのような報道姿勢と受け取れます。

 だから、「世論調査」とかを迂闊に信じるのは「危険」なんですよ。特に日本人の場合、「空気を読め」とかいう気風が若者にもあるので、多数派の意見に押し流されてしまうワケです。例え、それが間違っていたとしても。

 さて、前置きが長くなりましたが、「戦争」と「お金」の話を続けます。


お金が無ければ戦争はできない


・・・というのが現実であり、逆に見れば、お金を出す輩がいるから戦争が無くならないワケです。そこで前々から気になっていたのですが、シリアに対する、


欧米の軍事介入のメリットは何か? 


・・・という点で、「石油利権」という面で言えば、シリアは石油産出国というワケでもないのでパス。ま、隠された石油埋蔵が有るというのならアレですが、どうなんですかね?

 人的資源が・・・という話もありますが、だとしたら軍事介入は人的資源の損失を招くのだから逆効果なのでわ?

 人道的に云々・・・となると、だったら、人道的に徹底的に話し合うのが先なワケで、「これ以上、内戦の犠牲者を増やさないためにも、軍事介入は避けられないのだw!」・・・と、喧伝する有識者とやらは、同じ理屈が「ヒロシマ」「ナガサキ」でも使われたことを、もうお忘れか?・・・と。

 そうなると、欧米にとってシリアへの軍事介入は、何のメリットがあるのか?・・・と、堂々巡りになるのですが、欧米の金融危機が理由であるというワタシの論も、その可能性はあるにしても、非常に効率の悪い投資回収方法であり、スグ目の前に迫っている欧米諸国の財政破綻には、もう・・・


間に合わないんじゃないの?


 そこで、ニュースのタイムラインを見直し、尚且つ過去から現在までの中東主要国の立ち居地を再確認した上で、ちょうどイイところで、《櫻井ジャーナル》さんの記事を目にしたワケです。


《櫻井ジャーナル》

2013.09.02

シリア攻撃を先送りした米国政権はイスラエルのネタニヤフ首相とサウジアラビアのビン・スルタン総合情報庁長官に電話して弁明、米国議会を引き込んでやり直し


 現在、アメリカのバラク・オバマ政権にシリアを攻撃するよう仕向けているのは、イスラエルとサウジアラビアである可能性が高い。両国の圧力を受け、一度はシリア攻撃を決断したアメリカ政府だが、攻撃を先送りする事態になってしまった。

 シリアを攻撃するように要求しているイスラエルとサウジアラビアの心中は穏やかでないはず。9月1日にジョン・ケリー国務長官がイスラエルのベンヤミン・ネタニヤフ首相に電話、サウジアラビアのバンダル・ビン・スルタン総合情報庁長官から電話で意見を聞いたのも、そうしたことを配慮してのことだろう。1日にはオバマ大統領自身がネタニヤフ首相に電話したとも伝えられている。

 両国に対し、ケリーやオバマが実際のところ何を話したのかは不明だが、シリア攻撃を宣言してしまったアメリカ政府は国際的に孤立していることは確か。日本のマスコミはアメリカの攻撃計画を正当化する「報道」を続けているが、日本国民の多くは反対しているのではないだろうか。

(後略)


 ニュースのタイムラインを追えば、イスラエルは「ゴラン高原」の攻防でシリアと対峙していることが分かります。したがって、イスラエルが欧米に、シリアへの軍事介入を要請する動機は十分にあります。

 しかしながら、イスラエルに軍事介入を支援する財政的余裕はあるのか?・・・となると、とてもそうは思えないワケで、そこでサウジアラビア・・・もしくはアラビア半島の「王族連合国」が絡んでくるワケです。

 王族連合は王制を廃止した「シリア」「イラク」「イエメン」を、潜在的に敵対視しているでしょうし、自分たちの既得権益を守ろうと必死なワケで、そこに「石油利権」に群がる魑魅魍魎が乗っかる構図が、第一次世界大戦以降、ズっと続いているワケです。

 加えて「エジプト」も王制を廃止し、かつてのイエメンの王族を追放した仇敵であり、現在、暫定政権に対しては進んで援助を申し出ていますが、その「本心」は別なところにあるのかも知れません。



 サラフィーと呼ばれるイスラム過激派ですが、それを援助しているのはサウジアラビアであり、国内では政教分離をしているサウジアラビアが、イスラム原理主義者たちに


騒ぐなら他所でやれ!


・・・と、資金を提供しているのが、「イスラム過激派」の正体だということです。


サウジアラビアが抱える問題


 で、CIAがそうした連中に利用価値を見出したワケで、世界中に「紛争」をバラ撒くことで、アメリカの「軍産複合体」が潤う・・・という構図です。
 
 シリアの話に戻ると、今回の軍事介入は、欧米とってのメリットが非常に少ないようにワタシには観えるのですが、もしスポンサーがいて、「お金はいくらでも払うから、シリアに軍事介入してくれ」・・・となると、一気に「スジ」が繋がるワケです。なんたって欧米は現在の金融危機をどう乗り切ろうかと、「青息吐息」なワケですから。

 ここで整理すると、イスラエルは「ゴラン高原」の領有の問題でシリアを潰したい。パレスチナとの和平交渉がスタートしたのも、「ゴラン高原」の問題をシリアが内戦状態のうちに、シリア抜きで決着させたいということかも知れません。ましてや、アサド政権が倒され、欧米傀儡の政権が樹立されれば「御の字」です。

 サウジアラビア・・・というか、「王族連合」の頭の中は、いかに自分たちの既得権益を守るかでイッパイであり、彼らに脅威を感じさせている「シリア」、「イラク」、「リビア」、「エジプト」、「イエメン」の国内を不安定化させ、影響力を削ぎたいワケです。

 「イラク」、「リビア」はもう逝っちゃいましたが、「アラブの春」の出火地点であった「チュニジア」では、現在その反動が現れています。


【ロシアの声】チュニジア、野党が現政権の即時退陣を求め、デモ
1.09.2013, 18:10

 チュニスでは数千人の反体制派が通りに出、イスラム主義者のアンナハダ(復興)党率いる現政権の即時退陣を求めた。

 デモ隊は手をつないで「生きた鎖」をつくり、議事堂から政府の建物までの3キロに立ち尽くした。

 チュニスでは今週一週間政権与党と反体制派との間で交渉が行われてきたが、何の結果ももたらさず、1日の集会は抵抗運動のクライマックスとなった。

 抵抗運動は反体制派の数党による「救済民族戦線」が組織した。

VOR


 これなどは、エジプトでの反イスラム原理主義(ムスリム同胞団)の機運が、今度は逆に、チュニジアに飛び火したと言えます。

 そうなると、何故?「王族連合」が、現在のエジプト暫定政府に資金援助するのか?・・・という疑問が生じますが、「エジプト」と「シリア」の分断工作と考えれば辻褄が合います。過去、連合を組んでいた「エジプト」と「シリア」の分断は、「王族連合」の身の安泰のためにも、そして「シリア」を孤立化させることで、「ゴラン高原」の問題ではイスラエルに有利に作用するということです。

 つまり、「イスラエル」と「サウジアラビア(王族連合)」の利害は、ガッツリ一致するワケです。

 ついでに、「イスラエル」のバックに控える欧米にとっても、金融危機を乗り切るために、王族連合から多額の資金が入って来るとなれば・・・


はいっ!喜んでっ!


・・・となるワケです。  

 中東戦争?そんなものはもう昔の話。アラブの一般市民にはイスラエルへの嫌悪感も残っているでしょうし、パレスチナ問題は依然深刻なワケですが、少なくともアラビア半島の王族にとっての最大関心事は、


いかに自分の権力を維持するか?


・・・だけであり、そうした王族を上手に利用しているのか?それとも利用されているのか?・・・は分かりませんが、欧米がソレに加担しているということです。

 ま、お金の流れを追えば、サウジアラビアとか、カタールとかから、巨額の口座がヨーロッパの銀行に移されている・・・とかいう事実が浮かび上がってくるんじゃないですかね?

 以上。ニュースタイムラインから分析した、欧米がシリアに軍事介入する本当の理由でしたw。


シリアに平和を!アラブに平和を!





人間ナメんなよ!


でわっ!
 


追記:

 シリアへの軍事介入の瀬戸際で起きていることは、中東産原油価格の上昇であり、その結果として、中東産油国(王族連合)は潤い、そうして得たオイルマネーを欧米の軍事介入費に注ぎ込むのだから、実は、王族連合の懐はさして痛まないのかも知れない。

 また、当然、欧米の「石油メジャー」も同様に利益を上げ、この軍事介入騒動が、欧米のオイル・ビジネス関係者にとっても「追い風」・・・になっていることでしょう。

 状況的には、ナイフをチラつかせる「ならず者」に、「刺すぞ!」・・・と、脅され、お金を巻き上げられている構図にも似ています。

 欧米の目的は「お金」にあるので、その目的が達成できれば、シリアへの軍事介入の必要性は下がりますが、一方厄介なのは、既得権益にしがみ付いている王族連合と、イスラエルです。

 「お金の問題じゃない」・・・というのが王族連合とイスラエルであり、シリアの存亡は、彼らにとっては「死活問題」と言えます。

 ところで、アラブと日本の繋がりに関して何度か触れましたが、そこから連想されるのは、現在のアラビア半島の情勢は、


日本の戦国時代


・・・に似ているということです。

 各地に有力武将が跋扈し、己の領地を守るためにあらゆる計略を用い、時には裏切りさえ平気でした。

 ワタシには、サウジアラビアがエジプトの暫定政府を支援するなど、まるで


敵に塩を贈る


・・・という、あの、有名な故事の焼き直し・・・デジャ・ヴのようで、改めて、「アラブ系渡来民が武士の基礎となった」・・・という自説にひとり納得する次第です。はい。

 で、あらゆる策略が入り乱れる戦国時代を経験した日本人には、間違いなくそのDNAが受け継がれているハズなのに、上辺だけのニュースに踊らされて右往左往するのは、「情けない」・・・の一言なワケですよ。

 善し悪しは別にして、戦国時代という混乱の時代を通じて、


日本人はタフであった。


・・・というのに、このグローバル化の時代に諸外国と対等に渡り合える人材は、今の日本の政府内にはいるのか?・・・と。

 また、市井の人の中からも、そうした「タフな日本人」は消えてしまったのか?・・・と。

 勿論、「好戦的」なタフさではなく、今の日本人に求められるのは、


平和を求めるタフさ


・・・であることは言うまでもありません。平和を実現するために「あらゆる策略を退ける」・・・そうした「タフ」=「不屈の精神」が求められるワケです。

 折りしも、2014年のNHKの大河ドラマの主人公は、名軍師と謳われた「黒田官兵衛」だそうですが、世界平和に向けて、「黒田官兵衛」のような人物が日本から現れてもオカシクないワケでしょ?