2012年11月3日土曜日

フィリピンの憂鬱


 南沙諸島での周辺各国入り乱れての領土係争にて、フィリピンは基本的にアメリカと歩調を合わせているようですが、その胸の内?を察するような事実を知ってしまいました・・・。

 「知ってしまいました」というのは、できれば知りたくなかったからでもあるワケですが、以下、ショッキングな写真が含まれていますので心して見て下さい。


タイ政治ナビゲーション
2012年10月21日
【アブダビ】虐待されたメイド。顔面もズタズタに切り裂かれて死んでいく


新・アラビア半島定点観測
2011年07月10日
写真は語るシリーズ:家政婦虐待事件が外交問題に発展


 ま、知る人ぞ知る・・・「アラブの裏の顔」・・・と、いったトコロなのでしょうが、それにしても、同じ人間に対してよくもまあ、ここまで「無慈悲な仕打ち」ができるものですわ。

 フィリピン人、インドネシア人の出稼ぎ家政婦に対するアラブの常軌を逸した「虐待」に対しては、インドネシア政府、フィリピン政府でなくとも声を大にして抗議したくなります。

 中東では「おしん」が大人気だということですが、イッタイどういう目で「おしん」を見ていたのか?


日本人はイジメ甲斐がありそうだ♪


・・・とでも思いながら見ていたのか?と、想像すると、背筋が寒くなります。


一般財団法人アジア・太平洋人権情報センター
現代の奴隷制ーインドネシア家事労働者の人権問題ー


 出稼ぎ労働者からの送金で経済が回っているような国にとっては、出稼ぎ労働者の身分保障は国の責務であると言っても過言ではないワケで、少なくともフィリピン、インドネシアにしてみれば、中東で働く自国の出稼ぎ労働者の身の安全を確保するのに、中東に睨みの効くアメリカの後ろ盾は心強いワケですよね?

 例え南沙諸島に資源が埋まっていようと、フィリピン、インドネシアには自国でそれを開発するだけの人材がいません。であれば、事を急いで領土問題を騒ぎ立てるメリットは無いように思うワケです。

 そこにアメリカが登場して、「中国封じ込め?」のために協力を仰いできたならば、引き換え条件として中東地域(特にサウジアラビア)で働く、自国の出稼ぎ労働者の「人権保護」を申し出ることでしょう。

 いやね?もしワタシであったら、そういう取引をするだろうという話です。はい。

 自国民を守ろうとする心情は誰にも責められないワケで、アメリカの力が役に立つと思えば、アメリカとも手を組むでしょうよ。

 それにしても、フィリピンはキリスト教国なのでイスラム圏において虐待の対象にされ易い?のは何となく分かりますが、同じイスラム教徒であるインドネシア人までもが虐待の被害に遭うのが解せません。ま、イスラム教徒の場合、スンナ派とシーア派のように抗争を繰り返している宗派もありますが・・・。


アラブとは、イスラムとは何なのか?


 よく分からなくなりました。というよりも、正直、あまり好意的に見られないワケで・・・。

 アラブ民族が異民族に対して非寛容であり、差別的な民族であるならば、進んで親交を持つ必要も無いようにも思えたりするワケです。おそらく、そうした伝統的価値観はアラブの王族のアイデンティティーであり、他国の介入に拠るものではなく、国民の自発的な意識改革が求められるワケです。


ROCKWAY EXPRESS
バーレーン:集会禁止令で大衆操作


 そうした事情を知ると、フィリピン、インドネシアなどの出稼ぎ労働者に同情してしまうワケでもあり、例の「TPP」の話に繋がるのですが、彼女ら出稼ぎ家政婦をもっと日本国内で雇用できるようになれば、虐待の被害に会う可能性の高い中東に行かなくても済むようになるワケですが、でもそうなると、日本人雇用の問題が発生するワケで、情に流されてばかりもいられないです。はい。

 ただし、同じアジア人として、同じ人間として、中東で日常的に繰り返されている「家政婦虐待」は許せませんし、これを見過し放置することは日本国憲法の精神からしても、いかがなものか?・・・と。


日本国憲法 前文

(前略)われらは、平和を維持し、専制と隷従、圧迫と偏狭を地上から永遠に除去しようと努めてゐる国際社会において、名誉ある地位を占めたいと思ふ。われらは、全世界の国民が、ひとしく恐怖と欠乏から免かれ、平和のうちに生存する権利を有することを確認する。

 われらは、いづれの国家も、自国のことのみに専念して他国を無視してはならないのであつて、政治道徳の法則は、普遍的なものであり、この法則に従ふことは、自国の主権を維持し、他国と対等関係に立たうとする各国の責務であると信ずる。(後略)


 中東における出稼ぎ家政婦の虐待問題、それを増長させているのが欧米が肩入れするサウジアラビアなどの、「首長による封建国家制度」にあるのだとしたら、現在の中東の情勢も「アラブの春」とやらも、別な角度から見直す必要があるかも知れません。

 少なくともフィリピン、インドネシアにとっての中東情勢は、自国の海外労働者の安全保障に関わる重大な問題であり、また同時に、南沙諸島の領土係争当事国であるという現状を重ね合わせれば、中東の問題とアジアの問題を切り離して考えるのは「全体観」の欠如であろうかと。

 話は変わりますが、カナダとメキシコが「TPP」の交渉に参加表明したそうで、カナダはアレとしてメキシコの場合は、国内に巣食う麻薬犯罪組織の撲滅にはどうしてもアメリカの手助けが必要で、「経済」と「犯罪」を秤にかけ、麻薬犯罪組織の撲滅を優先させるという国内事情があるのかも知れません。ホンダもメキシコに進出しましたが、ワタシ、ちょっと心配でもあるワケです。治安悪そうだし・・・。


麻薬密売組織セタスの最高指導者を殺害か、メキシコ軍
AFP 2012年10月09日 18:13 発信地:メキシコ市/メキシコ

<転載>

【10月9日 AFP】メキシコ海軍は8日、米国との国境沿いで発生した銃撃戦で、度重なる虐殺行為で知られる麻薬密売組織セタス(Zetas)の最高幹部を殺害した可能性があると発表した。

 同軍の声明によると現在、最終的な検視結果を待っている状態だが、遺体はエル・ラスカ(El Lazca)の異名で知られるエリベルト・ラスカノ(Heriberto Lazcano)容疑者のものとみられるという。

 銃撃戦があったのは「麻薬戦争」の中心地であるコアウイラ(Coahuila)州。国境沿いの小さな町プログレソ(Progreso)で7日、「警ら中の海軍要員を小型爆弾と銃器で襲撃した容疑者2人が、銃撃戦中に死亡した」と発表された。銃撃戦後、軍部隊は、ロケット弾や小型爆弾12個の発射に用いられた発射筒を押収したという。

 ラスカノ容疑者は、分裂したセタスの最高幹部2人のうちの1人。メキシコの最重要指名手配被疑者で、逮捕につながる情報には260万ドル(約2億円)の懸賞金が懸けられていた。また米国も500万ドル(約3億9000万円)の懸賞金を懸けていた。

 メキシコでは2006年に軍による取り締まりが開始して以降、麻薬戦争で6万人が死亡したとされている。(c)AFP

</転載>


 これ、つい先月のニュースなワケで、単純計算で1年に1万人が「麻薬戦争」で死亡しており、日本のような治安のいい国からしたら信じられません。

 で、そうした政治的思惑もあってTPP交渉参加を表明したとしても構わないワケですが、ただね?「麻薬」を誰が買っているのか=「市場」を見極めることも大切だと思うワケです。買い手がいなくなれば商売は成り立たないのが「市場原理」ってやつでしょ?

 現在の「麻薬対策」は「作り手側」、「売り手側」ばかりを叩いていますが、それじゃw「モグラ叩き」と同じで効果が無い・・・とは言いませんが、効果が持続しないように思えるワケです。そこに「市場」がある限り、


新手の参入者


は必ず現われるワケで、したがって「麻薬ビジネス」を根絶するには、「市場」を消し去るのが一番確実なワケですが、さて、どうしたものか?ワタシの頭では思いつきません。orz




人間ナメんなよ!


でわっ!