2013年7月15日月曜日

「教育基本法」の書き換え

  
 自民党と、自民党に迎合する政党の憲法改正案が問題視されていますが、分かり易いところでは、


天皇を元首とする。


・・・というアレで、尚且つ、「公共の福祉」ではなく、


「公共の秩序と利益」を尊重する


・・・というアレです。

 そのうえ、「正規の軍隊」の設立までもを草案の中で謳っていますが、ここで考えなければならないのは、憲法を書き換えて「新しい国体」になるということは、全ての法律が書き換えられる・・・ということです。

 なぜなら、改憲草案においても憲法が最高法規であると規定されている以上、憲法以外のすべての法律も改憲された憲法に従うのが当然であり、「教育」にしろ「福祉」にしろ「報道」にしろ、それぞれの法律はすべて書き換えられることになります。よね?


自衛隊が軍隊になって、何か?


・・・などと、ノンビリ構えている場合じゃないワケですよ。


日本国憲法改正草案 [PDF]


第十一章 最高法規

第百一条 (憲法の最高法規性等)

第1項 この憲法は、国の最高法規であって、その条規に反する法律、命令、詔勅及び国務に関するその他の行為の全部又は一部は、その効力を有しない。

第2項 日本国が締結した条約及び確立された国際法規は、これを誠実に遵守することを必要とする。


第百二条 (憲法尊重擁護義務)

第1項 全て国民は、この憲法を尊重しなければならない。

第2項 国会議員、国務大臣、裁判官その他の公務員は、この憲法を擁護する義務を負う。


 一例として、「教育基本法」について検証してみます。


教育基本法
(1947年3月31日)

 われらは、さきに、日本国憲法を確定し、民主的で文化的な国家を建設して、世界の平和と人類の福祉に貢献しようとする決意を示した。この理想の実現は、根本において教育の力にまつべきものである。

 われらは、個人の尊厳を重んじ、真理と平和を希求する人間の育成を期するとともに、普遍的にしてしかも個性豊かな文化の創造を目指す教育を普及徹底しなければならない。

  ここに、日本国憲法の精神に則り、教育の目的を明示して、新しい日本の教育の基本を確立するため、この法律を制定する。


第一条(教育の目的)

 教育は人格の完成を目指し、平和的な国家及び社会の形成者として、真理と正義を愛し、個人の価値を尊び、勤労と責任を重んじて、自主的精神に満ちた心身ともに健康な国民の育成を期して行われなければならない。


第二条(教育の方針)
 
 教育の目的は、あらゆる機会に、あらゆる場所において実現されなければならない。この目的を達成するためには、学問の自由を尊重し、実際生活に即し、自発的精神を養い、自他の敬愛と協力によって、文化の創造と発展に貢献するように努めなければならない。


第三条(教育の機会均等)

第1項 全て国民は、等しく、その能力に応ずる教育を受ける機会を与えられなければならないものであって、人種、信条、性別、社会的身分、経済的地位または門地によって、教育上差別されない。

第2項 国及び地方公共団体は、能力があるにもかかわらず、経済的理由によって修学困難なものに対して、奨学の方法を講じなければならない。


第四条(義務教育)

第1項 国民は、その保護する子女に、9年の普通教育を受けさせる義務を負う。

第2項 国または地方公共団体の設置する学校における義務教育については、授業料は、これを徴収しない。


第五条(男女共学)

 男女は、互に尊重し、協力し合わなければならないのものであって、教育上男女の共学は、認められなければならない。


第六条(学校教育)

第1項 法律に定める学校は、公の性質を持つものであって、国または地方公共団体の外、法律に定める法人のみが、これを設置することができる。

第2項 法律に定める学校の教員は、全体の奉仕者であって、自己の使命を自覚し、その職責の遂行に努めなければならない。このためには、教員の身分は、尊重され、その待遇の適正が、期せられなければならない。


第七条(社会教育)

第1項 家庭教育及び勤労の場所その他社会において行われている教育は、国及び地方公共団体によって奨励されなければらない。

第2項 国及び地方公共団体は、図書館、博物館、公民館などの施設の設置、学校の施設の利用その他適当な方法によって教育の目的(第一条)の実現に努められなければならない。


第八条(政治教育)

第1項 良識ある公民たるに必要な政治的教養は、教育上これを尊重しなければならない。

第2項 法律に定める学校は、特定の政党を支持し、またはこれに反対するための政治教育その他政治的活動をしてはならない。


第九条(宗教教育)

第1項 宗教に関する寛容の態度及び宗教の社会全体における地位は、教育上これを尊重しなければならない。

第2項 国及び地方公共団体が設置する学校は、特定の宗教のための宗教教育その他宗教的活動をしてはならない。


第十条(教育行政)

第1項 教育は、不当な支配に服することなく、国民全体に対し直接に責任を負っておこなわれるべきものである。

第2項 教育行政は、この自覚のもとに、教育の目的(第一条)を遂行するに必要な諸条件の整備確立を目標として行われなければならない。


第十一条(補則)

 この法律に掲げる諸条項を実施するために必要がある場合には、適当な法令が制定されなければならない。


 こうして読み直してみると、なかなかイイ法律です。大人たち(ワタシも含め)は、憲法改正による「人権」の問題を何やら小難しく語りますが、基本的に「大人の人権」ばかりを主張していませんかね?


子供にも人権がある


・・・ということを、忘れていませんか?・・・と。

 「子供の人権」を具体的に保障している法律のひとつが「教育基本法」であり、「憲法」もアレですが、日本の未来を真摯に心配するのであれば、「教育基本法」の重要さを見過ごす事はできません。

 さらに言えば、「教育基本法」を死守するためにも、現行の「日本国憲法」の安易な改憲には国民的な反対運動が起こってもイイくらいです。

 つまり言いたいのは、「子供の存在」を無視して大人たち(ワタシも含む)が勝手なことをしてきた結果が・・・


54基の原子力発電所


・・・であり、そんな大人たち(ワタシも含む)が、


子供を守れ!


・・・と、声を上げたところで、当の子供にしてみれば・・・


いまさら遅いよ・・・。


・・・と、覚めた目で見ているのではなかろうか?・・・と。

 改憲の件にしても、「憲法学者」が小難しいご高説を披露していますが、「憲法学」の講釈なんてドーでもいいワケで、未だかつて改憲による法律全体への影響に言及した「憲法学者」にお目にかかれないのは、法律の分野も「村」に分かれていて、法律全体を俯瞰できる学者がいないのか?はたまた、そうした学者は「村」から疎外されてしまうのか・・・。

 いずれにせよ、「子供の人権」を保障する法律のひとつに「教育基本法」があり、子供を持つ全ての親にとって「憲法改正」は、必ずや自分の子供にも影響が及ぶ問題である・・・と理解する必要があるワケです。

 そして、現在学校教育に携わる関係者も、現行の「教育基本法」を支持するのであれば・・・「子供の人権」を守りたいと思うのであれば・・・自民党の改憲草案には賛成できないはずであり、今参議院選挙にても、自民党に投票するなど考えられないはずだと思うワケですが?

 原発でおかした過ちを繰り返してはならないのです。「子供たち」=「次の世代」を軽視して原発を造り続けてきた結果が、こんにちの日本の姿なワケですから・・・。






子供ナメんなよ!


でわっ!