2012年3月17日土曜日
優れた武道家はライバルを求める。
最近何回か、ロシアのプーチン大統領をネタにつたない記事を書きましたが、ウwさんの最新記事でもプーチン大統領のことを取り上げていたので、ま、その記事の「感想文」でも書いてみようかと。
で、その前に、プーチン大統領を知るに必読の書の宣伝?を(ワタシはまだ読んでいないのですが・・・)。
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プーチンと柔道の心 [単行本]
V・プーチン (著), V・シェスタコフ (著), A・レヴィツキー (著), 山下 泰裕 (編集), 小林 和男 (編集)
内容(「BOOK」データベースより)
「大切なことは、すべて柔道から学んだ」―首脳会談を遅らせてまでも、柔道の練習に励むことがあるプーチン。大統領就任前に柔道仲間3人で執筆し、ロシアでベストセラーとなった『プーチンと学ぶ柔道』の中から、日本に繋がりの深い箇所を山下泰裕氏と小林和男氏(元NHKモスクワ支局長)が抜粋して紹介。今、初めて、人間・プーチンの姿が明らかになる!プーチン独占インタビュー収録。
<カスタマーレビュー>
素直に面白かったです, 2009/7/10
By パンタナール (東京都)
日本とロシアの間には難しい問題がありますし、伝統的にロシアに対決しようとする欧米メディアを鵜呑みにした日本のマスコミからも、ある程度ゆがんだロシアイメージがつくられているという自覚はあったので(たしかにロシアには乱暴な面はありますが、それはアメリカにもあり、中国にいたっては、、、といったところでしょうか)、素直に読むことができました。
柔道を心から愛している様子が伝わってきます。プーチン氏の非常に聡明な考え方がわかります。日本の哲学を愛して学んでくれているプーチン氏があれだけの政治家になったならば(ロシアを安定させたのみならず、ダボス会議でもトップスピーカーになるなど世界的に尊敬されている)、今は力量不足の日本の政治家だって、まだまだ希望が持てるのではないか、という気になりました。
日本のフィロソフィーを学んで、政治家としての力強さを発揮した李登輝氏にも勇気づけられましたが、プーチン氏に学ぶところも多いです。日本人が気付かなかった日本を教えてくれる本だと思います。
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ウwさんの記事の内容をワタシなりに要約すれば、
1)ロシアは日本との協力関係(極東開発など)を求めている。
2)米国盲従の日本側の官僚が、露日交流の障害となっている。
3)アジア地域におけるバランサーとしての、日本の役割に期待がかかっている。
・・・と、いったところでしょうか?
さて今年は、9月にロシア極東でAPEC(アジア太平洋経済協力)会議が開催されます。
APEC参加エコノミー
しかも、ロシアと北朝鮮国境の目と鼻の先、ウラジオストクにて開催されるワケで、未だAPECに加入していない北朝鮮を、大いに刺激するでしょうなあ。なんたってスグ近くには、中国とロシアが係わっている羅先(ラソン)経済特区がありますから。
最近のアメリカは、北朝鮮に対して強硬路線から対話路線に切り替え、北朝鮮もそれに乗ろうとしているように見受けられますが、アジア地域での存在感を誇示したいアメリカと、周辺国をいかに自国の国益に沿うように利用するか?という、北朝鮮の思惑が交錯しているのでしょう。
日本はアレとして、中国、ロシア、アメリカの間で、いかに上手く立ち回るかに腐心しているんでしょうなあ・・・。北朝鮮は。
ま、そういった北朝鮮の外交スタイルにしても、弱者なり?に自主権を守ろうとする努力として、それはそれで評価出来る面があり、逆に、強国の傘の下で虎の威を借る外交しかできない国と、どっちに「品格」があるか?と、問えば、ワタシには、独自の外交スタイルを持っている方が「マトモ」なように思えます。つまり・・・
「心構え」が出来ているか否か?
このことは全てに通じます。日常生活は勿論のこと、「武道」においても、最も重要な要素のひとつです。宮本武蔵曰く、
我、事において後悔せず。
とは、事前の「心構え」が出来ていることを意味します。ま、早い話が「覚悟」と同じ意味かと。
当然、優れた武道家は「心構え」も揺ぎ無いものがあり、そういった武道家同士の研鑽の積み重ねにより、「武道」も、より高みに向かうワケで、柔道を嗜むプーチン大統領が来日時に、講道館から贈られた「六段」の段位を、
「私は柔道家ですから、六段の帯がもつ重みをよく知っています。ロシアに帰って研鑽を積み、一日も早くこの帯が締められるよう励みたいと思います」
と、丁重に辞退した逸話はあまりに有名で、この言葉を聞いてプーチン大統領に好意を抱かない日本人柔道家はいないでしょう。
「柔道は単なるスポーツではない。柔道は哲学だ」
そこまで持ち上げなくても・・・とも思いますが、柔道に限らず、「道」を極めようとする者は、更に高い次元を意識するという事ですかね?確か「禅」の問答の中にも、
竹竿を登りつめたら、その先に何があるか?
from 「ファンシイダンス」
なんてのがあった記憶がありますが、ま、そういう事なんでしょう。
悪い癖で話に纏まりがなくなってしまいましたが、無理やり結論を導くならば、
1)プーチン大統領には、武道家の「心構え」が備わっている。
2)その「心構え」に基づき、少なくともこの先12年間のロシアの「ヴィジョン」を描いている。
3)国際政治、外交の局面において、日本も「ヴィジョン」が描けなければ、政治的、外交的敗北は必定である。
4)日本の政治家が「ヴィジョン」を描くにも、先ず、「心構え」が出来ていなければならない。
5)プーチン大統領の「心構え」と拮抗できる「心構え」を、日本の政治家が持ち得て初めて、ロシアのみならず諸外国とも対等にわたり合える。
・・・と、いったところでしょうか?
では、「武道」とか「士道」とは、具体的にどういったものであるのか?ワタシの如き浪人風情が講釈を垂れるのも憚られるのですが、何度も何度も引用している「日本国憲法前文」に、その「心構え」の片鱗を見い出すワケです(個人的に)。
日本国憲法前文
日本国民は、正当に選挙された国会における代表者を通じて行動し、われらとわれらの子孫のために、諸国民との協和による成果と、わが国全土にわたつて自由のもたらす恵沢を確保し、政府の行為によつて再び戦争の惨禍が起こることのないやうにすることを決意し、ここに主権が国民に存することを宣言し、この憲法を確定する。
そもそも国政は、国民の厳粛な信託によるものであつて、その権威は国民に由来し、その権力は国民の代表者がこれを行使し、その福利は国民がこれを享受する。これは人類普遍の原理であり、この憲法はかかる原理に基くものである。
われらは、これに反する一切の憲法、法令及び詔勅を排除する。
日本国民は、恒久の平和を念願し、人間相互の関係を支配する崇高な理想を深く自覚するのであつて、平和を愛する諸国民の公正と信義に信頼して、われらの安全と生存を保持しようと決意した。
われらは、平和を維持し、専制と隷従、圧迫と偏狭を地上から永遠に除去しようと努めてゐる国際社会において、名誉ある地位を占めたいと思ふ。
われらは、全世界の国民が、ひとしく恐怖と欠乏から免かれ、平和のうちに生存する権利を有することを確認する。
われらは、いづれの国家も、自国のことのみに専念して他国を無視してはならないのであつて、政治道徳の法則は、普遍的なものであり、この法則に従ふことは、自国の主権を維持し、他国と対等関係に立たうとする各国の責務であると信ずる。
日本国民は、国家の名誉にかけ、全力をあげてこの崇高な理想と目的を達成することを誓ふ。
(1946年11月3日公布)
つまり、原理・原則(プリンシパル)を重んじる事。簡単な言葉で言えば、「筋を通す」事が「武士道」の姿ではないかと。
人間ナメんなよ!
でわっ!