2013年2月6日水曜日

「新時代」は既に始まっている


 先日、人事ながらアラブの将来について少しばかり述べました。曰く、石油消費量が減退した場合、産油国の経済はどうなるのか?・・・と、いうものでしたが、イランを例に出し、石油だけに頼らない産業基盤を考えておいた方がイイんじゃないの?・・・と。

 で、そういう方向に向かった場合、石油利権によって西側と結び付き権力を維持している王族の地位は、必然的に低下するだろう・・・と。

 しかし、そういう方向に向かうか否かは、あくまで「アラブ人自身が決めることである。」ワケで、もしそうなった場合、日本としてはアラブの人々から技術支援を求められた場合、惜しみなく支援することでイスラム文化圏における日本の存在感、信頼を築くことに繋がり、ひいては今回のアルジェリアにおけるテロのような事態の予防にも一役買うだろう・・・と。

 そうした「時代の流れ」に沿うものかどうかは不明ですが、V.O.R.(ロシアの声)に興味深い記事がありました。


クウェート住民 謀反の「ツイート」で10年の刑 3日間で2人目
5.02.2013, 19:04


Photo: Flickr.com/eldh/cc-by

 クウェートの裁判所はオランス・アル=ラシェディに対して10年の刑を言い渡した。これはサバフ=アス=サバフ国王に対する侮辱罪と国体転覆を呼びかけたため。アル=ジャリーダ紙が伝えた。

 捜査で明らかになったところによれば、ツイッターおよびユーチューブのなかで被告は、国と国王を侮辱するメッセージを掲載した。国王に対しては憲法のなかで「神聖不可侵」とされている。この判決で確定となり、上訴は認められない。

 2日前、他のクウェート人であるムハメド・エイド・アル=アジミが、ツイッターでの国王侮辱で5年の刑を言い渡されている。国王侮辱罪での最高刑は5年。

 このようなツイッター関連の事件は、昨年新しく採択され、ソーシャルネットワークの規制を目的とする法律を背景としている。

NEWSru.com


国名:クウェート国
(State of Kuwait)
外務省HPより


 ニュースにも書かれている様に、国王が治める独裁国家?とも言え、何と言っても特筆すべきなのは国民の94%が公務員または国営企業勤務で、実質「ベーシック・インカム」を受給しているに等しいということです。

 いつぞや、どこの局かは忘れましたが「サウジアラビア」を紹介した番組で、形ばかりの仕事をして就業時間が過ぎると、自慢の車で砂漠に出かけ遊び惚けている若者を映し出していましたが、ソレもコレも「石油のおかげ」でしかありません。

 王族は王族で、「オイルマネー」を元手に欧米の金融市場で「マネーゲーム」を繰り返し、石油に代わる経済基盤を築こうという姿勢は見られませんでした。

 石油に代わる産業が興れば、王族の権威の低下にも繋がりかねないワケで、ま、当然と言えば当然なのですが、そうなると国民の意思とは関係なく「お金」=「ベーシックインカム」によって、国民を「愚民化」しているとも受け取れます。

 さて、「リスクマネジメント」を考えた場合、このまま変わることなく「石油消費」が伸び続けると想定するか?それとも、いずれ石油に代わるエネルギー源が開発されると想定するのか?

 前者の場合、最悪の事態・・・石油消費が減退し、「ベーシックインカム」が維持できなくなったら国が崩壊するでしょうなw。ま、その前に王族は資産を海外居に移転し、一足お先にトンズラーすることでしょうが・・・。

 悲惨なのは残された国民で、これといった産業が無い。即ち「生産手段」を持たないワケですから、生き延びるために残された道は、「奪い合う」・・・という選択になります。

 そうなると宗派間の対立に火が点き、シーア派VSスンニ派とか、穏健派VS急進派とか、同じイスラム教徒同士での抗争が激化する可能性も否めません。

 そうならない・・・そうしないためにも、石油以外の産業基盤の開発は急務のようにワタシには思えるワケですが、ニュースに書かれているように、


王族批判で懲役10年


・・・といった独裁政権下では、「憂国の志士」が立ち上がるのも難しい状況なのでしょう。

 日本だって人事じゃなくなるかも知れません。みなさんご存知の自民党憲法改正案ですが、アレによれば日本は再び、「天皇を元首として戴く」・・・としているワケですよ。その先には当然の如く、「皇室侮辱罪」も用意されているんじゃないんですかね?アラブの独裁国家と同じになろうってんですかね?自民党は?

 ま、もっとも・・・イカサマ選挙によって権力を手中にした連中が何をホザこうが、その前に「正当性を証明しろ!」・・・の一言に尽きます。


アラブのことはアラブで決める。


 それしかないワケですよ。「汎アラブ主義」は世俗的な考え方なのかも知れません、イスラム教徒の立場から見れば。しかし同時に、イスラム教内部での宗派対立も存在するワケで、じゃあそれを超越する「汎イスラム主義」なるものは存在可能なのか?

 ワタシはイスラム教についての知識どころか、無宗教の立場にある人間なワケで、何も言う資格は無いワケですが、イランのアフマディネジャド大統領の「第26回イスラーム団結会議」における発言・・・「すべてのムスリムが団結したと仮定しよう。ムスリムは何をしたいのか。キリスト教徒に対抗するブロックを作りたいのか。あるいは世界帝国を建設したいのか。果たして、預言者は世界に帝国を建設するために来たのだろうか。まずわれわれが追い求めるべきは、この世にタウヒード(神の唯一性、神のもとでの統一)を確立することである」・・・という発言に、イスラム世界の平和を願う次第です。はい。

 話を戻しますが、クウェートでの王族批判が投げかけるものは、世界的な人権意識の目覚めであると考えられます。日本がそうであるように、人権団体とは無関係な自然発生的なものとして。


クウェート議会選始まる…政府派の圧勝必至

 【クウェート市=酒井圭吾】ペルシャ湾岸の産油国クウェートで1日、国民議会選(一院制、定数50)の投票が始まった。

 反政府勢力がボイコットを決める中、政府派の圧勝は必至だが、2月の選挙で約60%だった投票率が下がるのも確実だ。投票前日のデモで、若者の集団がタブー視されてきた首長批判を叫ぶなど、選挙後も混乱は続きそうだ。

 クウェート市郊外アンダロス地区の投票所前には1日、銀行員アルジェタリさん(27)ら男性4人が「ボイコット」と書かれた看板を持って立っていた。「一人でも多く、投票をやめてもらう」とアルジェタリさんは話した。その周囲を警備の警察が監視する。

 クウェート人の平均年収は、日本円にして約1500万円。医療費も教育費もかからない。アルジェタリさんの年収も1000万円超。民間企業に勤めているというだけで、オイルマネーで潤う政府から毎月約17万円の補助金も入る。金銭的には不満がないはずの生活の中、反政府運動に参加した理由は、サバハ首長一族が占有する政治制度への疑問だ。アルジェタリさんは「金じゃない。民主主義のためだ」という。

(2012年12月1日23時52分 読売新聞)


 ワタシには、世界は既に「新時代」に移行したように思えるワケです。そのひとつの現れが、


旧時代の権威の崩壊


・・・であり、日本においては「知識層」といわれる人たちの如何わしさが、東日本大震災と福島第一原発事故後に露になり、今や教育現場にまで及び、クウェートでは王族の権威が崩壊しつつある・・・と。

 それもこれも、ひとりひとりが自分自身に目覚めつつあることの表れで、それが世界規模で起っているワケです。

 それを旧権力は無理やり封じ込めようとするでしょうが、これはもう、「時代の意識の変化」という不可逆の流れであり、誰にもそれを押し留めることは出来ないでしょう。謂わば、「人類の進化」の過程になるワケですから。

 そしてこの「進化」のポイントは、クウェートでの反政府運動に見られるように、「お金のためじゃない」=物質的進化ではなく、精神的進化にあるワケですよ。

 精神的進化であるからこそ、世界中で同じ現象・・・「シンクロニシティー」として発生し、また、国境・民族・言語・・・宗教?も超えて、「普遍的なひとりの人間」として連帯することが可能であり、そのことによって「旧時代」に幕を下ろす時も近いワケです。

 恐れることは無いのです。「新時代」は既に始まっているのです。昨年の12月25日こそが「新時代」、「新世界」の元日であり、今年は「新時代元年」なのですが、「旧時代」のゾンビーズはまだまだ足掻き続けており、今年はゾンビーズの巻き返しにより、世界的に大荒れの一年になるかも知れません。

 しかし、「時代の変わり目」に生きていることを自覚すれば、起り来る事態にも冷静に対処できるでしょうし、誰もが「時代の目撃者」となれる稀有な時代にいることを、感謝してもイイくらいだと思う次第です。はい。





人間ナメんなよ!


でわっ!