2013年8月28日水曜日

日本刀の形について

  
 シリア絡みの話ではありますが、内戦を離れて、少し歴史的な話をしたいと思います。

 先日ご紹介した「欧米から見た日本」のなかで、ロシア海軍の軍人、ゴロウニンは、次のように述べています。


ゴロヴニン 『日本幽囚記』より

・・・鋼製品はどうかといふと、日本の大小刀は、おそらくダマスク製を除いて、世界中のあらゆる同種の製品を凌駕してゐる。・・・


 この「ダマスク」とは、現在のシリアのダマスカスのことであり、日本刀をも凌ぐ刀剣とは、下の写真のような外観をしています。








ダマスカス鋼


 日本刀の写真も一緒に並べましたが、日本人であれば、「本能的」にふたつの間に何らかの「因縁」を感じません?


日本刀


 ウィキペディアによれば、「日本刀」と呼ばれる、反りを持った刀が日本に現れるのは平安時代末期であり、それ以前は、両刃の直刀が主流でした。


聖徳太子図


平安時代


 平安時代末期を1100年以降とすれば、平氏が勢力を伸ばし始めた頃・・・即ち、武士の世の始まりと符合します。

 八切止夫氏によれば、「武士(ブシ)」とは「不信(ブシン)」が転化したもので、日本刀の始まりとは、従来の両刃の刀の片側を潰したもの・・・だとし、その心は、朝廷、貴族が「武士」を信用してなかったからだ・・・と、いう説だったように記憶しています。

 で、ワタシとしては、この説明には納得できないワケです。「武士」が朝廷から信頼されていたかどうかは二の次として、日本刀の「反り」の説明には説得力に欠けるように思えます。はい。

 ここは素直?に、朝廷、貴族は、「両刃直刀」を奉じる氏族であり、それに仕える武士は、「片刃湾刀」を奉じる氏族であったとする方が、スッキリするワケですw。

 では、そうした「片刃湾刀」を奉じる氏族が、何時、何処から渡来したのか?・・・という話になるワケですが、以前にも少し触れたように、戦国時代に合戦にて「名乗り」を上げて戦う作法は「アラブ流」であり、また、平氏が腰にぶら下げていた刀は「湾刀」であり、しかも「ペルシャ系」であったという証言?を受け入れるならば、中東から渡来した氏族が武士の基盤を築いた・・・と、いうことになります。

 いきなりこんなことを言い出して・・・


頭だいじょうぶ?


・・・と、思われそうですが、先に示したダマスカス鋼製の刃物と日本刀を並べて見て、ワタシの「本能(DNA)」が、シリアと日本の因縁を想起させるワケです。





 また、歴史的時系列からも、日本刀の登場と武士の世の始まりが合致することを鑑みれば、当時の日本の支配氏族が入れ替わったとも考えられるワケです。

 武士の世になったとて、旧来からの土着氏族が、すんなり新参渡来氏族である武士階級(当時は平家)に従うとも思えず、平家としても朝廷の威光を利用することによって、日本の統一(支配)を目指したと考えられます。

 そしてこのことが、現代まで続く「日本の二重構造」を決定付けたとも考えられます。で、ここで話が逸れますが、ワタシ個人としては、「二重構造」というもの対してそれ程否定的ではありません。

 「二重構造」とは、視点を変えれば「相互監視」=「二重チェック」のシステムであり、左右に大きく触れる振り子を、「中道」に引き戻す働があるからです。これは、日本人が歴史上の経験から身に付けた・・・「特有の知恵」・・・と、言えるかも知れません。

 再び、「欧米から見た日本」・・・から引用します。


オールコック 『大君の都』より

・・・どの役職も二重になっている。各人がお互いに見張り役であり、見張り合っている。全行政機構が複数制であるばかりでなく、完全に是認されたマキャヴェリズムの原則にもとづいて、人を牽制し、また反対に牽制されるという制度のもっとも入念な体制が、当地ではこまかな点についても精密かつ完全に発達している。・・・


 物事の決定においては、「迅速性」に欠けるシステムではありますが、その「正確性」を図るには適したシステムであると思うワケです。

 しかし近年、こうした旧来からの「作法」を嫌う日本人が増えたようで、「ねじれ国会」などと、「二重チェックシステム」を批判しているマスコミには、全く困ったものだ・・・と。

 元エンジニアとしての個人的見解ですが、何事にも「フェイル・セーフ」の考え方は大切であり、正に福島第一原発の事故なんぞは


フェイル・セーフの大欠如


・・・であったが故に、被害の拡大を今日まで止められないという、日本人としては世界に顔向けできない、情けない状況に陥ってしまっているワケです。

 ま、ソレはソレとして・・・何の話でしたっけ?

 そうそう、一言で言えば、シリアと日本は古い因縁で繋がっている・・・と、言いたかったワケです。

 少なくともワタシの「DNA」はそう言っているワケで、「DNA」の故郷?であるシリア(中東)に対しての、アメリカ、イギリス、フランスの独善的な軍事介入には、憤懣やるかたないワケですよ!

 で、結局のところ・・・


シリアに平和を!アラブに平和を!


・・・と、いうことで。






人間ナメんなよ!


でわっ!