2013年9月8日日曜日

トルコは道を誤ったのか?

  
 ま、どれだけの国民が歓迎していたかは疑問ですが、イスタンブールでの「国際運動会(オリンピック)」の開催という、エルドアン首相の「野望」は見事に砕け散りましたw。

 イスラム圏で「国際運動会」を開催することにより、イスラム世界に対する偏見を払拭し、トルコのEU加盟にも繋げたかったのでしょうが、シリアに対する対応でしくじってしまったように思えます。

 これだけNATOに献身的に尽くすというのも、EU加盟の悲願の表れなのでしょう。

 しかし、トルコがEU側に付いたことで逆に余計な混乱を招き、シリアの内戦を長引かせているとも言えます。そしてそのことでイスラム圏に対するIOCの評価が下がり、イスタンブールでの「国際運動会」の開催を逃してしまったのだとするならば、エルドアン首相の完全なる「失政」とも言えます。

 マドリードにしても、スペインが財政破綻の瀬戸際にあり、多くの国民(若者)が失業しているというのに、呑気に「国際運動会」を歓迎する気にはなれないでしょうし、このことは、サッカーの本場であるブラジルでさえ、「ワールドカップ」よりも国民の暮らしを優先しろ!・・・というデモが起こったことを鑑みれば、容易に想像が付きます。

 利権に群がる政治家および、その取り巻き連中はいざ知らず、イスタンブール市民、マドリード市民の本音は、「国際運動会」なんてどうでもイイ・・・といったところで、謂わば東京市民は、


「ババ抜き」の「ババ」を引かされた


・・・というのが実情に近いのかも知れません。

 勿論このことで、原発事故被災者の生活支援に何ら影響を及ぼすことがあってはならないワケで、今まで以上に政府、行政を監視する国民的な意識の喚起が求められるワケです。

 ワタシとしては、シリアの内戦が大国同士の代理戦争に発展しないよう、国際的な反戦、反軍事介入の気運の形成の方を優先課題と捉え、「国際運動会」についてはあまり言及しなかったのですが、ご高名な見識者の方々も反対論を展開していたので、敢えて重複するような意見を述べる必要も感じられませんでした。

 しかし、事ここに至っては、逆に、2020年までに福島第一原発事故処理を片付け、クリーンな環境で「国際運動会」を開催するという、大きな責任を日本が背負ったことになり、あと7年の内にそれを実現できないと、安倍首相のみならず、日本人全体が大恥をかくことになるので、それを心しておく必要があるでしょう。


【ロイター】五輪=56年ぶり東京開催決定、決選投票でイスタンブールに圧勝
2013年 09月 8日 10:05 JST

・・・最終プレゼンテーションで安倍首相は、汚染水問題について「状況はコントロールされている」と強調。「東京には今までもこれからも何のダメージもない」と安全を約束した。・・・

 
 ところで、「欧米から見た日本」では、日本人の悪い部分も指摘されています。


セバスティアン・ビスカイノ 『金銀島探検報告』
セバスティアン・ビスカイノ (1548~1615):スペイン探検家

・・・貴族は禮儀正しきが、又虚榮心、没常識及び慢心大にして、血統及び武器を重んず。又外見を張るが故に収入多額なれども常に負債を有す。此の如くなるは又皇帝の事〔政策の意なり〕に因る所なり。・・・

・・・一般人民は甚だ惡しく、予は之を誇張することを好まざれども、世界に於て最も劣惡なる者なり。彼等は金錢の爲め子女及び妻女を賣却す。・・・


 子どもの「間引き」、子女の「身売り」は、実際に日本で行われていた慣習であり、そして現在でも、3.11震災および、原発事故の影響で生活の場、糧を失った若い女性が、「風俗」に働き口を求めていると言う話も聞きます。



カッテンディーケ 『長崎海軍伝習所の日々』
カッテンディーケ (1816~1866):オランダ海軍軍人

・・・日本人は物解りは早いが、かなり自負心も強い。我々のしていることを見て、直ぐさま他人の助けを藉らずともできると思い、その考えの誤りであることを諭されても、なかなか改めようとはしない。その上、非常に頑固で、陳腐な観念にコビリついている。・・・

・・・日本人の悠長さといったら呆れるくらいだ。我々はまた余り日本人の約束に信用を置けないことを教えられた。・・・

・・・日本人は敏捷であるから、必要だとさえ感得するならば、如何なる学問でもごく僅かな時間のうちに、ただ上っつらの知識だけではあるが、苦労なしで覚えることができる。しかし悪いことには、ちょっと始めると直ぐさま彼等の好奇心は満腹して、忽ち他の変わったものに目をつける。何事でも徹底的に学ぶ辛抱というものが、彼らには欠けている。・・・

・・・日本人の悪い一面は不正直な点である。私はこれを始終経験した。・・・

・・・私は彼等を高慢な、うわべを飾る、すれからしの、何でもむずかしいことは嘘をついて片づけてしまうという手合いと思っている。・・・



オールコック 『大君の都』
ラザフォード・オールコック (1809~1897):英国外交官

・・・民族のある体質的な特徴は、ある道徳的な特徴とともに、世代から世代へと伝えられる。日本人のばあいにもこの例外ではなくて、うそをつくその性癖はなにか最初の体質が完全に身についてしまったに相違ない。それでもなおその上に、日本人はその性質のなかになにか上品で善良なものの痕跡を多くとどめている。・・・

・・・わたしは、この著者の説にまったく賛成であって、日本人の悪徳の第一にこのうそという悪徳をかかげたい。そしてそれには、必然的に不正直な行動というものがともなう。したがって、日本の商人がどういうものであるかということは、このことから容易に想像できよう。・・・



アーネスト・サトウ 『一外交官の見た明治維新』
アーネスト・サトウ (1843~1929):英国外交官・日本学者

・・・日本の商人も、往々同様な手段で相手に返報されたが、不正行為を差引きすれば日本の方がはるかに大きかった。そんなわけで、外国人たちの間に、「日本人と不正直な取引者とは同義語である」との確信がきわめて強くなった。両者の親善感情などは、あり得べくもなかったのである。・・・

・・・私たちには、さして高官でもない伊藤のような人物がこうした二役の兼任に適していると考えられたり、また一般の人民が容易にそれらの人間に服従するということが奇妙に感じられたのだが、私の日記にも書いてあるように、日本の下層階級は支配されることを大いに好み、権能をもって臨む者には相手がだれであろうと容易に服従する。・・・



グリフィス 『明治日本体験記』
ウィリアム・グリフィス (1843~1928):アメリカ牧師・東洋学者

・・・普通の職人や農民は精神的におとなしい羊である。実際に商人は知能が平凡で、道徳的性格が低く、この点で中国人以下である。・・・


 総じて、欧米人から見た日本人の印象は、


優秀ではあるが、嘘つきである


・・・と、言えます。そしてワタシ自身も日本人として、彼らの見解に合致する部分を自分の中に認めないワケにはいきません。

 更に言えば、「位の高い者」ほど、その地位的権力をバックに「平然と嘘をつく」・・・ということを、日本人であれば誰もが実感することでしょう。実に残念な事ですが、


嘘をつかなければ生きられない


・・・という日本の歴史的背景を、オールコックは鋭く看破しています。

 こうした悪癖、因習を日本人自身が改めない限り、日本人はいつまでも同じ過ちを繰り返すだけでなく、いずれ取り返しの付かない大きな過ちをしでかすのではないか?・・・と、ひそかに危惧する次第で、そうならないためには・・・つまり、日本人に染み付いた「嘘」を洗い落とすには、


歴史の再検証


・・・は避けては通れないのだ!・・・と、言いたいワケです。はい。






人間ナメんなよ!


でわっ!