2013年9月10日火曜日

寄り添いながら

  
 シリア情勢は小康状態となったようですが、ジッサイ、内戦終結の目処が立ったと言うにはまだまだ程遠い状況なワケです。

 また、シリア情勢とエジプト情勢はリンクしている・・・というのがワタシの個人的な見解からすると、今度はエジプトの「同胞団」の動きが活発になるのでは?・・・とも懸念されます。


【東京新聞】シリア化学兵器 米、「国際管理」検討へ 上院、介入決議先送り
2013年9月10日 夕刊

【ワシントン=竹内洋一】オバマ米大統領は九日、シリアのアサド政権の化学兵器を国際管理下に置くとしたロシアの提案を検討する姿勢を示した。これを受け、米上院は武力行使容認決議案の採決予定を十二日以降に先送りした。国連の潘基文(バンキムン)事務総長はシリアの化学兵器廃棄に向けた協議を安全保障理事会に要請する考えを表明。安保理が化学兵器の国際管理案に合意し、シリアが受け入れれば、米国による軍事介入は回避される可能性も出てきた。

 オバマ氏は九日、米テレビ六局のインタビューに相次いで応じ、ロシアの提案について「前向きな展開になる可能性がある」と評価した。化学兵器の再使用を防ぐ目的を「軍事行動なしに達成できるなら、その方が望ましい」と述べた。ロシアのプーチン大統領とサンクトペテルブルクで六日に会談した際、この案を議論したことも明らかにした。

 同時に、シリアがこれまで化学兵器禁止条約への署名を拒んできた経緯を踏まえ「まずは提案を割り引いて考える必要がある」と実現性には懐疑的な見方も表明。ロシアとシリアが外交的解決に向けて「真面目な提案」を示すかどうかを見極める考えを示した。

 その上で、シリアに「圧力をかけ続ける必要がある」と述べ、武力介入を辞さない姿勢は堅持する考えを強調した。軍事行動に対する議会承認の見通しには「自信があるとは言わない」と明言。否決された場合も介入するかどうかは「決めていない」と述べた。

 一方、民主党のリード上院院内総務は九日、上院本会議で審議が始まった武力行使容認決議案の採決を、当初予定していた十一日より遅らせる考えを米メディアに表明した。

 シリアのアサド政権に対しては、ロシアのラブロフ外相が九日、化学兵器の廃棄と国際管理を呼び掛け、化学兵器禁止条約への署名を求めた。シリアのムアレム外相は提案を歓迎する意向を示した。


 いずれにせよアメリカ政府は、「軍事介入の先送り」を検討しているだけであり、「軍事介入の中止」を明言したワケではないことを、心しておく必要があります。

 つまり、いつでもポジションを変更できる位置に一時的に退いただけであり、シリア国内からテロリスト(アルカイダ系)が撤退しない限り、内戦の終結を確定することは難しいということです。

 しかしこのことは、周辺諸国にとっても問題になります。シリアから去ったテロリストが次に向かうのはどこか?

 ひとつ気がかりなのは、「ロシアの声」のニュースにあったコレです。


【ロシアの声】シリア反体制派を退ける「アルカイダ」
ナターリヤ コワレンコ 17.07.2013, 16:47

 国際テロ組織「アルカイダ」は、シリア北部からシリア反体制派「自由シリア軍」を排除し、同地域にイスラム国家を樹立すると発表する計画。自由シリア軍の代表者が、アラビア語新聞「アッシャルクル・アウサト」からのインタビューで伝えた。

 自由シリア軍はイスラム主義者たちに立場を譲る意向はない。だが、自由シリア軍には、アルカイダならびにシリア政府と同時に戦う力はない。自由シリア軍の兵士たちは、自分たちの状態に懸念を持っている。東洋学者のセルゲイ・セリョギチョフ氏は、シリアがイスラム主義者の管理下に置かれた場合、トルコから武器や弾薬が流れ込み、シリアの石油は密輸され、様々な品物が不法に輸入される恐れがあると指摘し、次のように語っている。

「トルコ政府は、自分たちがシリアに武器を供与している事実を特に隠しはしなかった。トルコ政府は武器供与について、『犠牲者の血に染まったアサド政権との戦いで、自由なシリア国民を助けるためのものだ』と語っているだけだ。だが文明社会ではこれを密輸と呼ぶ。兵器のほかに、戦闘で破壊された地域で需要が高い医療品や食料も密輸されている。国境地域には、密輸経由地があり、イスラム主義者たちは、それらの経由地を管理下に置こうとしている。」

 自由シリア軍は、そのような状況に陥ることを望んではいない。兵器の供与や資金援助がストップした場合、彼らはシリア政府軍と対立することができなくなってしまうからだ。自由シリア軍は、存続の危機にさらされている。ロシア科学アカデミー東洋学研究所アラブ研究センターのボリス・ドルゴフ専門家は、シリアでは現在、国の将来の展望について独自の見解を持つ多くの武装勢力が互いに争っていると指摘し、次のように語っている。

「シリアには様々な反政府武装勢力が存在している。その中に、自由シリア軍がある。自由シリア軍は、西側とトルコの支援を受けている。トルコは、イスラム国家の樹立ではなく、アサド政権の崩壊が目標だと宣言した。

 そのほかシリアには、『アルカイダ』系や過激主義組織『ムスリム同胞団』系、レバノンのイスラム主義組織系の勢力もある。イスラム主義勢力の目的は、シリアにイスラム国家を樹立することだ。そのため、シリアでは武装勢力の間で内紛が起こっている。

 自由シリア軍の代表者たちは、シリア国内におけるイスラム主義者たちの活動強化を認めないとの声明を表している。だが、自由シリア軍には、イスラム主義者とアサド政権を相手に同時に戦う力はない。ドルゴフ氏は、自由シリア軍は自分たちへの注意をそらさせるために、シリア政府軍が主にイスラム勢力を攻撃するよう仕向けているとの見方を表し、次のように語っている。

「シリア政府軍は最近、自由シリア軍やイスラム主義者に対する攻撃で成果をあげた。シリア軍は、自由シリア軍やイスラム主義者たちが状況を定期的に管理していた3つの地域から彼らを追い出した。そのため、『アルカイダ』が何らかの国家の樹立を望んでいるという情報は、シリア反体制派のプロパガンダではないかと思われる。」

 だがアナリストたちは、「アルカイダ」存在を軽視してはならないと指摘している。イスラム主義者たちが、イラク、アフガニスタン、マリなどの政府の力が弱まった国に瞬く間に入り込むという例もある。そのため、イスラム主義者たちは、シリアでの活動強化を試すと思われる。


 「イスラム国家(イスラム原理主義国家)の樹立」・・・という、上記のニュースを裏付けるかのように、該当地域に生活する邪魔なクルド人を殺害したと?


【ロシアの声】イスラム過激派 シリア北部でクルド人450人を殺害
6.08.2013, 10:59

 5日、シリアで反政府側に立って戦っているイスラム過激派グループ「アル-ヌスラ戦線」の戦闘員らは、シリア北部のクルド人地区で平和に暮らす一般のクルド人450人を殺害した。


 単なるテロリストには「安住の地」は見出せないワケで、このことは、海外に亡命した日本人過激派のメンバーが、年老いてくると「望郷」の念に駆られて、逮捕されるのを承知で日本に舞い戻ってくるケースからも、人間、一生を戦闘の中に身を置くことは望まないのです。

 アルカイダに限って言えば、もともとはサウジアラビアを追われたサラフィストであり、彼らとて故郷に戻りたいのは山々なのでしょうが、政教分離政策のサウジアラビアには、彼らの居場所はないのです。

 そこで自分たちの「安住の地」を手に入れようとシリアに潜入し、シリア国内の反政府派との対立が始まっているのかも知れません。そしてそれが、ロシアのラヴロフ外相の発言に繋がるワケです。


【ロシアの声】ラヴロフ外相「シリア国内のテロリストの一掃という点で政府派・反政府派は一致できるはず」
22.07.2013, 13:30

 シリア問題に関する国際会議「ジュネーヴ2」において、シリア政府派・反政府派が力を合わせて国内のテロリスト・過激派を一掃するという可能性が討議されるはずだ。今日22日、ロシア外務省のセルゲイ・ラヴロフ大臣が述べた。外相は今日、シリアのカドリ・ジャミル副首相とモスクワで会談する。


 いくら反政府派でも、祖国を他人に引っ掻き回されてイイ気はしないはずです。自分が生まれ育った故郷が戦場になり、無残な廃墟になってしまうことを・・・旧知の友人が戦闘に巻き込まれて命を落とすことを・・・そう簡単には受け入れられないでしょう。

 問題は、シリア国内に巣食っている「外来テロリスト」を、いかに国外に追放するか?・・・と、なるワケですが、中東地域はどこもテロリストで満室状態であり、尚且つ、快く受け入れる国なんてあるワケが無い・・・と。

 そうなると残された道は、テロリストの社会復帰という道なのですが・・・。


【ロシアの声】アサドの恩赦をきっかけにシリア蜂起軍の一部、政権側へ
25.07.2013, 20:21

 シリア紛争が突然の転換点を迎えている。蜂起勢力の一部が武器を下ろして政府軍、すなわちアサド大統領支持派に寝返りだしているのである。


 ヒトラーでさえ、エヴァ・ブラウンには惜しみない「愛情」を注ぎました。ましてや一介のテロリストに、「愛情」の片鱗さえ残されてはいない・・・とは思えません。テロリストだって、一生を銃に寄り添って暮らすより、家族に囲まれ、人間の情に寄り添って暮らしたいと思うんじゃないんですかね?

 つまり、何と言うか・・・テロリストの生活保護プログラムのようなものが必要になるのではないか?・・・と。

 実現の可能性は低いでしょうが、テロリストを辞めたいと思っているテロリストだって、きっと中にはいるハズなので、そうした人たちを社会に迎え入れるシステムがあれば、中東に限らず、世界中のテロ問題解決の一助になるのではないか?・・・と。

 シリアの内戦が終結した後の、中東全体の平和と安定も考える必要があるように思った次第です。はい。 


シリアに平和を!アラブに平和を!





人間ナメんなよ!


でわっ!
 




追記:

 ロシアが、中国がシリアを支持しているから云々・・・と、いう論調のニュース、論客を目にしますが、全く以って「近代理性」の欠如した発言だと言わざるを得ません。

 シリアの状況が現在の「内戦状態」になる前から、アサド政権による弾圧とやらを、


キッチリ調査・検証しろ!


・・・と、言い続けているだけであり、それに対して国連の調査団ですら、一時は、「反政府側」が住民虐殺の実行犯の可能性がある・・・という報告書を提出しているにも係わらず、それを無視して、欧米は「反政府側」に武器を供給し続けているという、


不誠実な態度


・・・に対して抗議し続けているワケであり、これ即ち、


近代理性


・・・に従って声を上げているだけであり、支持するとかしないとか、そんな狭い了見でしか物事を見れない似非インテリの方が・・・


情けない・・・orz


・・・としか言えませんなw。