2013年12月12日木曜日

「ツワネ原則」 第六章、第七章

  
「国家安全保障と情報への権利に関する国際原則(英語:Global Principles On National Security And The Right To Information)」

通称: ツワネ原則

日本語訳:日本弁護士連合会

※未定訳※一部字句修正等を行う可能性があります。





第6章 :公務関係者による公益的開示

原則 37:不正行為

 公務関係者による情報開示は、次に掲げる分類のいずれかに該当する不正行為を示すとき、当該情報の機密指定のいかんに関わらず、原則38から原則40までに定める条件を満たす場合において、「保護された開示」であるとみなされるべきである。保護された開示は、過去の、現在の及び予見される不正行為に適用される。
(a)刑事犯罪
(b)人権侵害
(c)国際人道法違反
(d)汚職
(e)公衆衛生と公共の安全に対する危険
(f)環境に対する危険
(g)職権濫用
(h)誤審
(i)資源の不適切な管理又は浪費
(j)この分類のいずれかに該当する不正行為の開示に対する報復措置
(k)この分類のいずれかに該当する事項の意図的な隠蔽



原則 38:不正行為を示す情報開示の理由、動機及び証明
(a)は、不正行為を示す情報開示を行う公務関係者を、当該情報が機密又はその他の秘匿情報であるかどうかに関わらず、情報開示の時点で次の条件を満たしている限り、原則41で定める報復措置から保護するべきである。
(i)情報開示を行う者が、その情報が原則37で定める分類のいずれかに該当する不正行為を示すことに資すると信ずる合理的な根拠を有しており、
且つ、
(ii)当該情報の開示が、原則38から原則40までに定める条件を遵守している。
(b)保護された開示の動機は、故意に虚偽の開示が行われたと証明される場合を除き、問われない。
(c)保護された開示を行う者は、補足的証拠の提示を要求されるべきではなく、且つ、情報開示に関する証明責任を課されるべきではない。



原則 39:組織内部において又は監視機関に対して行われる保護された開示の手続き及びその対応

A.組織内部における情報開示

 は、公権力が保護された開示の受理のための内部手続きを確立し、当該情報の受理担当者を指名するよう義務付けるべきである。


B.独立監視機関に対する情報開示
(1)は、保護された開示を受理及び調査する独立の機関を設置又は指定すべきである。この機関は、安全保障部門、及びその内部から開示が行われうる、行政府を含むその他の当局から、組織上及び運営上独立しているべきである。
(2)公務関係者は、最初に組織内部での開示を求められることなく、独立監視機関又は案件の調査権限を有する他の機関に対し、保護された開示を行う権限を付与されるべきである。
(3)は、独立監視機関に対し、関連するすべての情報へのアクセスを保証し、アクセスの確保に必要な調査権限を付与するべきである。この権限には、召喚権限及び宣誓又は確約の下に証言を請求する権限が含まれるべきである。


C.情報開示を受理する内部機関及び独立監視機関の義務

 原則37で定義する保護された開示が組織内部において、又は独立監視機関に対して行われた場合、この開示を受理する機関は、次に掲げる義務を負うべきである。
(1)申し立てのあった不正行為を調査し、法律に定められた期間内に案件を解決することを目指して、速やかに措置を講じる。又は、開示を行った者との協議を経て、調査の権限と適格性を有する機関に案件を付託する。
(2)内密に情報提供を行うことを希望する公務関係者については、その個人が特定されないようにする。匿名通報は、その中身自体を検討されるべきである。
(3)開示された情報及び開示されたという事実保護する。ただし、不正行為を正すためにさらなる情報開示が必要な場合をはこの限りではない。
(4)情報開示を行う者に対して、調査の進捗状況及び完了の旨を通知し、且つ可能な限り、講じられた措置又は提言について通知する。



原則 40:公衆に対する情報開示の保護

 は、原則37で定義する不正行為に関する情報の公衆に対する開示を、次に掲げる要件を満たす場合において、原則41で定義する報復措置から保護するべきである。
(a)(1)情報開示を行った者が、同一の又は相当に類似する情報を組織内部独立監視機関のどちらか、あるいはその両方に対して開示しており、
且つ、
(i)情報開示を受理した機関が、適用される内部規定に則り、開示された件の調査を拒否した場合又は有効な調査を実施しなかった場合。
又は、
(ii)情報開示を行った者が、合理的且つ法で定められた期間内に、合理的且つ適切な成果を得られなかった場合。
又は、
(2)情報開示を行った者が、組織内部独立監視機関のどちらか、あるいはその両方に対する情報開示が、証拠の破壊又は隠蔽、証人に対する妨害、又は開示を行った者本人又は第三者に対する報復措置を招くおそれが相当あると合理的に信じた場合。
又は、
(3)情報開示の対象とし得る既存の内部組織又は独立監視機関存在していなかった場合。
又は、
(4)開示された情報が、人の生命、健康及び安全又は環境を危険にさらす、深刻且つ切迫した危険のある作為又は不作為に関する場合。
及び、
(b)情報開示を行った者が、不正行為を明らかにするために合理的且つ必要な範囲に限定した情報を開示している場合。
注記:不正行為を示す情報開示に際して、情報開示を行った者不正行為の提示と無関係な資料を開示した場合であっても、その者は、その情報の開示による損害が開示によるいかなる公共の利益にもまさる場合を除いて、報復措置から保護されるべきである。
及び、
(c)情報開示を行った者が、情報を公開することによる公共の利益が、開示によるいかなる損害にもまさると、合理的に信ずる場合。
注記:「合理的に信ずる」との基準は、主観と客観の混合基準である。当該者は、事実その旨を信じており(主観)、そう信ずることはその者にとって合理的でなければならない(客観)。異議を申し立てられた場合、その者は信ずる旨の合理性について弁護する必要に迫られうる。その場合、案件が当該基準を満たし保護された開示と認定されるか否かの判断は、最終的には独立した裁判所又は法廷に委ねられる。



原則 41:不正行為を示す情報の暴露に対する報復措置からの保護

A.保護された開示の民事上及び刑事上の責任の免除

 原則37から原則40までに則り情報開示を行った者は、次に掲げる事項の対象とされるべきではない。
(1)刑事訴訟。機密又はその他の秘匿情報の開示に対する訴追を含むが、これらに限定されない。
(2)機密又はその他の秘匿情報の開示に関する民事訴訟。損害賠償請求及び名誉毀損を申し立てる訴訟を含むが、これらに限定されない。


B.その他の報復措置の禁止
(1)は、原則37から原則40までに則り情報の開示を行った、行ったと疑われる、又は行う可能性のある者に対する報復措置を禁止するべきである。
(2)禁止される報復措置は次の事項を含むが、これらに限定されない。
(a)行政処分又は罰則。懲戒、報復的な調査、降格、異動、転任、昇進の見送り、解雇、当事者の評価を貶める目的若しくは可能性のある行為、又は秘密取扱認可の差し止め若しくは取り消しを含むが、これらに限定されない。
(b)身体的若しくは精神的な危害又はハラスメント。
(c)これら事項のいずれかの脅迫。
(3)情報開示を行う者以外の者を対象とした行為は、状況いかんにより、禁止される報復措置に含まれ得る。


C.独立監視機関及び司法当局による、報復措置の調査
(1)何人も、保護された開示に関するあらゆる報復措置又はその脅迫について、独立監視機関司法当局のどちらか、又はその両方に通報する権利を保障されるべきである。
(2)独立監視機関は、通報された報復措置又はその脅迫について調査しなければならない。当該機関は、報復措置の通報がなくても、調査を開始する権限を付与されるべきである。
(3)独立監視機関は、証人の召喚権限及び記録の開示請求権、並びに宣誓又は確約の下に証言を請求する権限を含め、申し立てられたあらゆる報復措置に関して有効な調査を実施するための権限並びに資源が付与されるべきである。
(4)独立監視機関は、訴えられた報復措置に関する法的手続きが公正且つ法の適性手続きに則って行われることを確実にするため、あらゆる努力を払うべきである。
(5)独立監視機関は、関係する公的機関に対し、是正措置又は復元的措置を行わせる権限を付与されるべきである。これらの措置には、復職、復任、並びに/若しくは、法的措置の経費、その他の適切な経費、未払いの賃金及び賞与、渡航費、及び/又は損害賠償の支払いが含まれるが、これらに限定されない。
(6)独立監視機関は、公的機関に報復措置を禁ずる権限を有するべきである。
独立監視機関は、通報された報復措置に関する調査を合理的且つ法で定められた期間内に完了するべきである。
(8)独立監視機関は、案件の関係者に対して、少なくとも調査の完了を通知し、且つ可能な限り、講じられた措置又は行われた提言を通知するべきである。
(9)また案件の関係者は、情報開示に対する行為が報復行為もしくは救済措置又は矯正措置にあたらないとする独立監視機関の決定について、司法当局に異義を申し立てる権利を有する。


D.証明責任

 公的機関が何人に対してであれ、何らかの不利益をもたらす行為を行った場合、当該公的機関は、その行為が当該情報開示と無関係であると証明する責任を負う。


E.権利及び救済措置の放棄の否定

 原則37から原則40までに定めた権利及び是正措置は、いかなる合意、施策、雇用形態又は雇用条件、若しくは紛争仲裁に先んじて行われる合意によっても、放棄又は制限されてはならない。これらの権利及び救済措置を放棄又は制限させるいかなる試みも無効とみなされるべきである。



原則 42:保護された開示の勧奨並びに促進

 は、公務関係者が保護された開示を行うよう勧奨するべきである。保護された開示を促進するため、国は全ての公的機関に対し、原則37から原則40までに効力を与える指針を発布させるべきである。
注記:当該指針は、最低限次の事項を規定するべきである。(1)不正行為を開示する権利及び/又は責任に関する助言、(2)開示されるべき又は開示されてよい情報の分類、(3)開示する際に必要な手続き、並びに、(4)法律による保護。



原則 43:公務関係者のための公益的保護
(a)公務関係者が、本原則により別段に保護されない情報開示を行ったことにより、刑事訴追若しくは民事訴訟又は行政処分の対象となった場合、法は、当該開示による公共の利益が非開示による公共の利益にまさる限り、公益的保護を保障するべきである。
注記:この原則は、開示された情報が原則37で規定される分類のいずれにも該当しないために、又は原則37で規定される分類のいずれかに該当する情報が含まれているが原則38から原則40までに規定される手続きに則ることなく開示されたために、保護されていないすべての情報開示にも適用される。
(b)情報開示による公共の利益が非開示による公共の利益にまさるか否かの判断において、検察庁及び司法当局は次の事項を検討するべきである。
(i)開示の程度が、公益情報の開示のために合理的に必要な程度であるか否か。
(ii)当該開示が引き起こした公共の利益の損害の程度及びその可能性。
(iii)開示を行う者が、当該開示が公共の利益に適うと信じる合理的理由を有していたか否か。
(iv)開示を行う者が、原則38から原則40で規定される手続きに則り、内部手続を通じて、及び/又は独立監視機関に対して、及び/又は公衆に対して、保護された開示を試みたかどうか。
(v)情報開示を正当化する急迫した状況の有無。
注記:無権限の情報開示に対する刑事処罰を規定するあらゆる法は、原則46(b)と一貫していなくてはならない。この原則は、公務関係者が既に有しているあらゆる表現の自由、又は原則37から原則42及び原則46により保障されるあらゆる保護を制限するものではない。





第7章 :公衆への情報の流出に対する制裁又は制約行為の制限

原則 44:情報取り扱い公務員が誠実に行った合理的な情報の流出に対する制裁からの保護

 公衆からの情報請求に応じる責任がある者は、合理的且つ誠実に、法にしたがって開示し得ると考えた情報を流出させたことによって制裁を受けるべきではない。



原則 45:情報の廃棄及び開示拒否に対する処罰
(a)公的機関の関係者は、公衆を情報へアクセスをさせない意図をもって、故意に情報を廃棄したり改ざんした場合には、処罰されるべきである。
(b)裁判所や第三者機関によって情報開示命令が出されたときに、当該情報が合理的な期間内に開示されなかった場合、法の定めた手続にしたがって申し立てが起こされない限り、その情報非開示の責任者及び/又は当該公的機関は、相応の処罰を受けるべきである。



原則 46:公的機関の関係者による情報の流出に対する刑罰の限度
(a)公的機関の関係者による情報の流出は、第6章によって保護されない場合であっても、刑事処罰の対象とされるべきではない。しかし、秘密取扱許可を取り消されたり、免職処分を受けたりといった行政上の制裁を受けることはあり得る。
(b)それにもかかわらず、情報を公にする意図で、公式な許可を得ずに社会や個人に情報を流出する行為に対して、法によって刑罰が規定されている場合においては、以下の条件が適用されるべきである。
(i)刑事罰は、法に明確に定められた厳密に分類された情報の流出のみに科されるべきである。
注記:開示すれば刑事罰の対象になり得る情報カテゴリーが法に定められている場合、国家安全保障に与える特殊性と影響力の点で、以下と同程度でなければならない。核兵器に関する技術データ、情報源、暗号、情報収集方法、外交暗号、秘密諜報員の身上情報、政府が所有権を有する知的財産で、それを知られることで国家の安全が害される可能性のあるもの。
(ii)その流出によって、重大な損害を引き起こす現実的、且つ特定可能なリスクがなければならない。
(iii)法に規定され、適用される刑事罰は、情報の流出によって引き起こされる損害に相応したものでなくてはならない。
及び、
(iv)当該公務員は、情報を流出したことによって生じる公共の利益に依拠する保護を、原則43で概要を示したように、求めることができるべきである。



原則 47:公務員以外の者による機密情報の保有及び流布に対する制裁からの保護
(a)公務員以外の者は、機密情報の受領、保有又は公衆への流出に関して、制裁を受けない。
(b)公務員以外の者は、情報を求めたり入手したりしたという事実を理由に、共謀その他の容疑で訴追されるべきではない。
注記:この原則は、情報の入手又は複写に対する刑事訴追を防止することを目的にしている。しかしながら、この原則はその他の犯罪 、たとえば情報を探索又は入手する過程での不法侵入や恐喝のような犯罪の免責を目的とするものではない。
注記:第三者機関による開示は、過度の機密指定の蔓延を正すという重要な役割を果たす。



原則 48:情報源の保護

 公務員でない者は、公式の許可を得ずにメディア又は公衆に対して行った機密情報の流出容疑の取り調べにおいて、秘密の情報源や公表されていない資料を明かすことを強制されるべきではない。
注記:この原則は、公式の許可を得ずに行った機密情報開示容疑の取り調べにのみ適用され、その他の犯罪には適用されない。



原則 49:事前の制限
(a)国家安全保障のために公開を事前に制限することは、禁止されるべきである。
注記:事前の制限とは、司法当局やその他の公的機関によって下される命令で、公務員以外の者がすでに保有する、特定の資料の公表を禁止するものである。
(b)どのような方法であれ、合法的であるか否かに関わらず、ある情報が一般的に公衆が知ることが可能になっている場合に、その情報がすでに一般社会に存在する形態での、それ以上の公表を阻止しようとするいかなる試みも効力がないと推定される。
注記:「一般的に知ることが可能」とは、その情報が十分広範囲に流布されており、その情報を機密にしておく実効的な方法がない事を意味すると理解される。





【宮内庁】皇后陛下お誕生日に際し(平成25年)




皇后陛下お誕生日に際してのご近影


「5月の憲法記念日をはさみ,今年は憲法をめぐり,例年に増して盛んな論議が取り交わされていたように感じます。主に新聞紙上でこうした論議に触れながら,かつて,あきる野市の五日市を訪れた時,郷土館で見せて頂いた「五日市憲法草案」のことをしきりに思い出しておりました。明治憲法の公布(明治22年)に先立ち,地域の小学校の教員,地主や農民が,寄り合い,討議を重ねて書き上げた民間の憲法草案で,基本的人権の尊重や教育の自由の保障及び教育を受ける義務,法の下の平等,更に言論の自由,信教の自由など,204条が書かれており,地方自治権等についても記されています。当時これに類する民間の憲法草案が,日本各地の少なくとも40数か所で作られていたと聞きましたが,近代日本の黎明期に生きた人々の,政治参加への強い意欲や,自国の未来にかけた熱い願いに触れ,深い感銘を覚えたことでした。長い鎖国を経た19世紀末の日本で,市井の人々の間に既に育っていた民権意識を記録するものとして,世界でも珍しい文化遺産ではないかと思います。」








人間ナメんなよ!


でわっ!