2013年12月14日土曜日

「公共の福祉」と「公共の利益」

  
 自民党の「改憲案」の中では「公共の利益」という表現が、日本国憲法における「公共の福祉」という文言の代わりに用いられています。

 ワタシとしてはこの「書き替え」に引っ掛かりを覚え、以前述べたように、「福祉」というのは「無償の行為」であり、「利益」という概念とは相容れない・・・と、考えるワケです。

 で、先般「ツワネ原則」に目を通してみると、「ツワネ原則」の中にも「公共の利益」という表現が用いられており、「お前もかw?!」・・・と、若干の警戒心を持っています。

 ただ「ツワネ原則」では、「公共の利益」という表現を以下のように説明しています。


「国家安全保障と情報への権利に関する国際原則
(英語:Global Principles On National Security And The Right To Information )」


通称: ツワネ原則

日本語訳:日本弁護士連合会

※未定訳※一部字句修正等を行う可能性があります。



語句の定義

「公共の利益となる情報」とは、

 公衆に関連のある、又は公衆の役に立つ情報のことであり、単に個人的な利益のある情報のことではない。そしてその情報が公開されることが、例えば、政府の活動を公衆が理解するために有用であるなどの理由で「公衆のため」であるものを指す。


第1章 :一般的諸原則

原則 3:国家安全保障上の理由に基づいた情報に対する権利の制限のための要件

 「公共の利益」は本原則では定義されていない。積極的に公開されるべきであり、且つ決して非公開であってはならない公益性が特に高い情報カテゴリーのリストは、原則10に明記されている。公衆に関連性が高く、且つ公務員が報復の恐れなしに開示すべき、及び開示可能な不正行為のカテゴリーのリストは原則37に明記されている。


第2章 :国家安全保障を理由に秘匿され得る情報と開示されるべき情報

原則 10:公開することが望ましいと強く推定される情報又は公開による利益が大きい情報のカテゴリー

A.国際人権法及び人道法上の違反

B.人間の自由と安全に関する権利の保護、拷問及び虐待の防止、生存権の保護

C.政府の構造と権力

D.軍事力行使又は大量破壊兵器の入手の決定

E.監視

F.財務情報

G.憲法・法令違反及びその他の権力乱用に関する説明責任

H.公衆衛生、市民の安全又は環境


第6章 :公務関係者による公益的開示

原則 37:不正行為

(a) 刑事犯罪

(b) 人権侵害

(c) 国際人道法違反

(d) 汚職

(e) 公衆衛生と公共の安全に対する危険

(f) 環境に対する危険

(g) 職権濫用

(h) 誤審

(i) 資源の不適切な管理又は浪費

(j) この分類のいずれかに該当する不正行為の開示に対する報復措置

(k) この分類のいずれかに該当する事項の意図的な隠蔽



 以上を読む限りでは、「ご尤も」・・・と言う他はありませんが、それでもまだ?「公共の利益」という語句に何か恣意的な匂いを嗅ぎ取ってしまうワタシがいるワケで、「福祉」と「利益」の違いについて再考してみる気になったワケです。

 以前は「無償の行為」であるか否かを「福祉」の基準と考えたワケですが、それだけでは物足りないようにも思え、もう少し詰めて考えた末に、やはり・・・


人間回帰


・・・に基づくのではないか?と。

 人間は一個の「コップ」のようなもので、その大きさはみんな同じです。中には「大食い」と呼ばれる人たちもいますが、それは「特殊な例」であり、一日に摂取が必要なカロリーに大差は無く、過剰摂取すれば逆に健康を害するくらいです。

 「福祉」はコップに水を満たすようなもので、いっぱいになれば外にこぼれ出ますが、一方、水が少ししか入っていないコップもあるのが世界の現状であり、この格差は「利益」の追求から生じると考えられます。

 すでに水が溢れているのに、それでも水を注ぎ続けようとするモチベーション=利益追求が、水を必要とする他のコップの分の水を・・・「搾取している」・・・とも言えます。

 「バカの壁」に書かれているように、あのビル・ゲイツ氏がどんなにお金持ちだろうと、生きている間に使いきれない財産を溜め込んでもしょうがないワケで、だったら他の人にまわしなさいよ・・・という話もアリなワケです。

 もちろんビル・ゲイツ氏は財団を設立し、慈善事業に励まれているようですが・・・。



人口削減のススメ@TED

 
 優生学、人口抑制については話が逸れれるので別な機会にしますが、


みんなで一緒に生きたい


・・・と思うワタシとしては、


お金の使い方が違うんじゃないの?


・・・としか言えません。

 話を「福祉」に戻すと、「水が満たされた状態」=「福祉が充実した状態」だとすると、更に水を注ぐという行為・・・即ち「利益」を求めるという行為は、「福祉」の目的からは逸脱していると考えられ、それ故、「公共の福祉」を「公共の利益」と書き換えた自民党の改憲案に、「或る作為」を感じるワケですw。

 また「ツワネ原則」にしても同様で、「公共の利益」という語句に「自由主義」の影を感じさせる部分であり、是非、「公共の福祉」と書き改めていただきたい・・・と。

 欧米哲学に対抗?するには、日本人も「理論武装」する必要がある・・・ということは以前にも述べましたが、「真理」は普遍的であり、東洋も西洋も包括するものです。

 明治維新以降、日本は西洋文化を一方的に吸収し続け現在に至ったワケですが、「文明開化」のスローガンの下に、十分な検証も無く、無防備に欧米文化を輸入してしまったのは、失敗だったと言えます。

 そうした「軽薄な西洋化」に、夏目漱石なども苦言を呈してはいますが、「富国強兵」に待った無しの社会状況だったのでしょう。

 ま、明治政府においては、「知力」よりも「軍事力」の優先度が高かったが故に、「武力としての文化」という側面もあったのでしょうが、時代が下り現代では、「軍事力」の優先度は低下し、「政治力」=「知力」の優先度が高くなっています。

 したがって、「猿まねの知性」では欧米に太刀打ちできないということを理解し、「日本人の知性」を確立するためにも、欧米の哲学に対して「検証」を行い得る知性の獲得が求められるワケです。

 で、そうした「検証」の足掛かりとなるのが、「人間」という普遍的な存在であり、「人間」を基準に考えれば東洋も西洋も関係ないワケで、その点で「日本国憲法」の前文=理念はこの「人間」を基準に書かれているが故に、


普遍的に通用する


・・・というのがワタシの見解であり、また、「人間回帰」の考え方にも合致するという理屈です。はい。


【IWJ】2013/12/12 「トレモロされた日本」とは何か 田中角栄の遺産を「トレモロす」安倍政権 安冨歩・平智之のモーレツ!政治経済教室


 上記の動画を興味深く拝見させていただいたのですが、終盤近くで平智之氏から・・・


アジア全体を包括する福祉組織


・・・という発言があり、日本がその「事務局」になるという、「夢のようなヴィジョン」を語られているのですが、それを実現させるにしても「日本人の知力次第」であり、少なくとも現在の安倍(歪)政権の下では、「特定秘密保護法」で「知る権利」は制限され、したがって日本人の「知力の底上げ」には、


百害あって一利なし


・・・と言わざるを得ませんw。








人間ナメんなよ!


でわっ!