2013年12月11日水曜日

「ツワネ原則」 第四章、第五章

  
「国家安全保障と情報への権利に関する国際原則(英語:Global Principles On National Security And The Right To Information)」

通称: ツワネ原則

日本語訳:日本弁護士連合会

※未定訳※一部字句修正等を行う可能性があります。




第4章 :国家安全保障と情報への権利の司法的側面

原則 27:司法による監視についての一般原則
(a)法によって定められた、正当で、独立した、公平な法廷による公正な裁判を受ける基本的な権利は、国家安全保障が持ち出されてもこれに依拠して損なわれてはならない。
(b)公的機関が国家安全保障を理由に、いずれかの法的手続きに則って、情報の非開示を試みた場合、裁判所にはその情報を調査し、非開示にして良いかどうかを決定する権限が与えられるべきである。裁判所は通常、情報を調べることなく、異議申立を退けるべきではない。
注記:裁判所は原則4を踏まえて、秘匿の必要性のみを主張しながらその主張を支える根拠を述べていない要約書や宣誓供述書に依拠すべきではない。
(c)裁判所は、情報の入手を試みる個人が、可能である最大限の範囲で、政府によって提出されたその情報の非開示申請について知り、異議を申し立てられることを保障するべきである。
(d)裁判所は、公的機関による主張の適法性及び妥当性について裁定を下すべきであり、その上で情報を開示するよう強制し、部分的又は全体的な非開示となった場合には、刑事訴訟における訴えの棄却を含む、適切な救済を行うことができる。
(e)裁判所は、公的機関が情報非開示に対して援用する根拠が適正であるか、独立的に評価するべきである。情報開示請求に関しては、情報が機密扱いであることが決定的な問題だとされてはならない。同様に裁判所は、公的機関が主張する損害の性質と、 損害が起こる可能性、そして情報を開示した場合の公共の利益について、原則3に従って評価しなければならない。



原則 28:訴訟手続へのパブリック・アクセス
(a)公衆が訴訟手続へアクセスする基本的な権利は、国家安全保障が持ち出されてもこれに依拠して損なわれてはならない。
(b)判決文は、裁判所による全ての命令を明記し、重要な事実認定と証拠と法的推論を記載し、18歳未満の子どもの利害に関わる場合を除き、公開されるべきである。
注記:国際法によれば、国家安全保障を理由に判決を公に発表する義務を軽減させることは許されない。

少年裁判所の裁判手続の記録は公開されるべきではない。その他の、子どもが関わる訴訟手続の記録は通常、18歳未満の子どもの名前と、身元の特定につながるその他の情報が修正されるべきである。
(c)公衆が司法にアクセスする権利は、この権利の縮小が本原則に従い正当化される場合を除き、次に述べるものへ公衆が速やかにアクセスできることを含むべきである。(i)裁判における法的推論(ii)個々の裁判の存在と、その経過に関する情報(iii)法廷に提出された意見書(iv)法廷審問と対審(v)裁判手続の中で有罪判決の根拠となった証拠。
注記:公正な裁判の要件に関する国際法によれば、裁判所は次の様な場合には、部分的又は完全に公衆を審判から排除することができる。すなわち、民主主義社会における国家安全保障・倫理・公の秩序・裁判の当事者の私生活における利害を理由とする場合 、又は法的公正さが損なわれることを回避する場合である。ただしあらゆる案件において、このような制限が行われる場合には、その必要があり、且つ必要の程度に対応していることが条件である。
(d)国家安全保障を理由として、公衆の訴訟手続へのアクセスの制限が絶対に必要だとする、公的機関によって発せられるあら ゆる主張に対して、公衆は異議を申し立てる機会を有するべきである。
(e)裁判所が、訴訟手続への自由なアクセスの制限を承認するかどうかについて裁定を下す場合、原則3に則り、特殊な状況下にある場合を除いて、裁判所は書面により事実(具体的な根拠と法的分析)を公的に入手できるようにすべきである。
注記:本原則は、ある国家における、通常は公衆がアクセスできない準備手続について規定している現行法の修正を目指しているわけではない。本原則は、それ以外の場合において、裁判所が公衆によるアクセスを許しており、なお且つそのアクセスを却下しようとする試みが国家安全保障を根拠にしている場合にのみ、当てはまる。

裁判手続と資料にアクセスする公衆の権利は、以下を促進する上でのアクセスの重要性に由来する。すなわち(i)訴訟手続にお ける実際上及び認識上の平等性と公平性(ii)裁判の当事者による適正且つ一層誠実な行為(iii)パブリック・コメントの精度向上。



原則 29:刑事訴訟の当事者による情報へのアクセス
(a)裁判所は、被告人が自身の裁判に出廷することを、国家安全保障を理由にして禁止してはならない。
(b)いかなる場合でも、被告人が証拠について精査、反論する機会を持たないまま、有罪判決を下したり、自由を剥奪したりするべきではない。
(c)法的公正さの点から、公的機関は被告人と被告人の弁護人に対し、その個人が問われている容疑と、公正な裁判を確実に行うために必要なその他の情報を、たとえ機密扱いの情報であっても、原則3~6、10、27、28に従い、公共の利益を考慮した上で、開示するべきである。
(d)公正な裁判を保証するために必要な情報の開示を公的機関が拒んだ場合、裁判所は審理を停止、若しくは起訴を棄却すべきである。
注記:公権力は、情報を秘匿することで起こる不利益を自ら被ると決断してもよいが、情報の秘匿を求める際にその情報を公権力の都合のために援用するべきではない。
注記:原則29と30が、公衆による情報へのアクセスに関する本原則の中に含まれているのは、司法による精査と、それと関連 して起こる司法の監視を背景とした情報開示とが、情報公開のための重要な手段であることが多いためである。



原則 30:民事訴訟の当事者による情報へのアクセス
(a)民事訴訟における、公権力におる情報非開示の要請は全て、原則3~6、10、27、28に従い、公共の利益を考慮した上で、精査されるべきである。
(b)人権侵害の被害者は、被った侵害についての情報公開を含む、実効的な救済及び補償を受ける権利を有する。公権力は、こ の権利に矛盾するような方法で、被害者の主張のために不可欠な情報を秘匿してはならない。
(c)また公衆は、重大な人権侵害や、国際人道法の重大な違反に関する情報への権利も有する。





第5章 :安全保障部門を監視する機関

原則 31:独立監視機関の設置

 国家がまだ安全保障部門の組織を監視するための独立監視機関を設置していないならば、これを設置するべきである。監視項目には、機関の活動・規則・指針・財務・管理運営が含まれる。このような監視機関は、監視対象機関からは、組織・運営・財政の面で独立しているべきである。



原則 32:任務の遂行のために必要な、情報への無制限のアクセス
(a)独立監視機関が、その責務を遂行するために必要な全ての情報にアクセスできることは、法によって保証されるべきである。情報の機密性のレベルに関わらず、合理的な安全保障上のアクセス条件を満たしていれば、アクセスに制限を設けるべきではない。
(b)監視機関がアクセスできる情報には以下のものが含まれるべきであり、しかもこれに限定されない。
(i)安全保障部門の機関が保有する記録、テクノロジー、システムの全て。その形式と媒体、その機関によって作成されたものであるか否かは問われない。
(ii)所在場所、備品、施設・設備。
(iii)監視職員が、監視職務に関わりがあると判断した個人が保有している情報。
(c)機密性を保持する立場にある公務員が負っているあらゆる義務は、彼らが監視機関へ情報を提供することを妨げるべきではない。このような情報の提供は、守秘義務を定めた法律又は契約の違反とみなされるべきではない。



原則 33:情報へのアクセスを保証するために必要な権限、資源、手続き
(a)独立監視機関は、責務を遂行する上で必要とみなされるあらゆる関連情報にアクセスし解釈できるために十分な法的権限を有するべきである。
(i)上記の権限は少なくとも、現在と過去の行政府の成員と公権力の被雇用者及び契約業者に質問し、関連がある記録を要求・検査し、さらにその物理的な所在場所と施設を視察する権利を含むべきである。
(ii)また独立監視機関は、必要な場合には法執行機関による十分な協力のもと、これらの人物を召喚し記録を取り寄せ、責務を達成する上で必要な情報を保有していると判断された人物に、宣誓の上で証言させる権限を与えられるべきである。
(b)独立監視機関は、情報を処理する際と証言を強制する際には、自己負罪に対する保護やその他の適正な法の手続きが求める条件とともに、とりわけプライバシーに関する法律を考慮に入れるべきである。
(c)独立監視機関は、その責務の効率的な実行に関わる情報の特定、アクセス、分析を可能にするために必要な財的・技術的・人的な資源へのアクセスを有するべきである。
(d)法は、独立監視機関が責務を遂行するために必要な情報にアクセスし解釈できるように、安全保障部門の組織による協力を義務付けるべきである。
(e)法は安全保障部門の組織に対し、監視者が責務を達成するために必要と判断した特定の種類の情報を、積極的且つ速やかに、独立監視機関へ開示することを義務付けるべきである。これらの情報には、法や人権基準の違反の可能性についての情報が含まれ、しかもそれだけに限定されるべきではない。



原則 34:独立監視機関の透明性

A.情報へのアクセスに関する法の適用可能性

 公権力の保有する情報へアクセスする公衆の権利の行使を規制する法は、安全保障部門の監視機関に対しても適用されるべきである。


B.報告
(1)独立監視機関は、定期的に報告書を作成し、その報告書を公に入手できるようにしなければならない。報告書には、少なくとも、監視機関の責務、人員、予算、実績、そして活動についての情報を含む、監視機関自体についての情報が含まれるべきである。
注記:報告書には、こういった情報を公に入手できるように自分ではしていない安全保障部門の組織の責務、体制、予算、そして全体的な活動についての情報が含まれるべきである。
(2)また独立監視機関は、主題ごと及び具体的な個別事例の分析・調査に関連した、公開用の報告書も提出するべきであり、また原則10に記載されている種類の情報を含めた、可能な限り多くの、公共の利益に関わる情報を提供するべきである。
(3)独立監視機関は、公開用の報告書の中で、関係のある全ての個人の、プライバシーの権利を含む諸権利を尊重するべきである。
(4)独立監視機関は、監視の対象である組織に対し、公開される報告書を速やかに精査して、その中に機密扱いされても良いような資料が含まれていることについて、懸念を提起する機会を与えるべきである。何を発表するべきであるかを最終的に決定するのは監視機関自身である。


C.アウトリーチとアクセス可能性
(1)その責務と権限を含む、監視機関の法的根拠は、公に入手可能であり、容易にアクセス可能であるべきである。
(2)独立監視機関は非識字者や、マイノリティー言語の使用者、又は視力や聴力に障害がある人たちが、機関の活動に関する情報へアクセスできるための方法と設備を設置するべきである。
(3)独立監視機関は、遠隔地に住んでいる個人を含む公衆に対し、監視機関と連絡を取ったり、不服を扱う機関へ不服を申し立てたり懸念を表明するために自由に利用できる各種の方法を提供するべきである。
(4)独立監視機関は、こういった不服申立の機密性と申立人の匿名性を実際上保持できるための仕組みを有するべきである。



原則 35:安全保障部門の監視機関が扱う情報を保護するための対策
(a)法は、独立監視機関が、保有している情報を保護するために必要な対策を実行するよう義務付けるべきである。
(b)立法府は、(1)立法府における監視委員会の成員と、(2)独立した、立法府に属さない監視機関の長と成員が、その就任に先だって人物調査を受けるべきであるか、決定する権限を有するべきである。
(c)人物調査が必要とされた場合、その実施は(i)ふさわしい時機に(ii)確立されている指針に沿って(iii)政治的な先入観や意図から離れて(iv)可能である限りは、人物調査を受ける成員若しくは職員の所属する機関による監視の対象ではない組織によって、行われるべきである。
(d)第6章、第7章中の原則に従い、独立監視機関の成員や職員が、機密扱いその他の秘匿情報を、その機関による報告のための通常の枠組の外で開示した場合、その人物は行政、民事、刑事の、ふさわしい処分を受けなければならない。



原則 36:立法府が有する、情報公開の権限

 立法府は、行政府が国家安全保障を理由に秘匿の権利を主張する情報を含むあらゆる情報を、そうすることが必要と判断した場合には、立法府が制定する手続きに従って、公衆に開示する権限を有するべきである。







【宮内庁】皇后陛下お誕生日に際し(平成25年)




皇后陛下お誕生日に際してのご近影


「5月の憲法記念日をはさみ,今年は憲法をめぐり,例年に増して盛んな論議が取り交わされていたように感じます。主に新聞紙上でこうした論議に触れながら,かつて,あきる野市の五日市を訪れた時,郷土館で見せて頂いた「五日市憲法草案」のことをしきりに思い出しておりました。明治憲法の公布(明治22年)に先立ち,地域の小学校の教員,地主や農民が,寄り合い,討議を重ねて書き上げた民間の憲法草案で,基本的人権の尊重や教育の自由の保障及び教育を受ける義務,法の下の平等,更に言論の自由,信教の自由など,204条が書かれており,地方自治権等についても記されています。当時これに類する民間の憲法草案が,日本各地の少なくとも40数か所で作られていたと聞きましたが,近代日本の黎明期に生きた人々の,政治参加への強い意欲や,自国の未来にかけた熱い願いに触れ,深い感銘を覚えたことでした。長い鎖国を経た19世紀末の日本で,市井の人々の間に既に育っていた民権意識を記録するものとして,世界でも珍しい文化遺産ではないかと思います。」







人間ナメんなよ!


でわっ!